ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ピアノをやめる理由

2013年10月15日 | レッスンメモ
私の教室に通っている大人の生徒さんたちの中には、それまで本当にまったくピアノ未経験という方もいますが、でも、ほとんどの方は子どもの頃に多少なりともピアノを習っていたことがあるという経験者の皆さんです。小学生の頃に習い始めて中学生や高校生になる頃、ピアノを辞めたという人が多いようです。そこからピアノとは無縁の生活を10年、20年、人によっては30年も送った後に、「もう一度ピアノを始めよう!」と思い立って教室にやってくるのです。

そうした生徒さんの中には、ピアノをやめた理由と再開する理由を問わず語りに話してくれる方もいます。ピアノを再開する理由については、皆さん同じです。「やっぱりピアノが大好き」ということ。そしてレッスンに通える生活環境が整ったということ。大人の場合、この二つがそろわないとレッスンを再開しようということにはなりません。

一方、子どもの頃にピアノをやめた理由は人によって様々です。ピアノの専門の道に進むわけではないのでどこかでやめる、というのは同じでも、そこに至る理由は人それぞれです。「思うようにうまくならないから」、「ほかにやりたいことがあるから」等々。たとえ専門の道を目指さなくても、それならそれで趣味として負担にならない程度に楽しみながら続ければいいのにと私などは思いますが、なかなかそういうわけにはいかない場合もあるようです。

私が驚いたのは、ピアノをやめた理由として、「先生が怖かったから」という人が少なからずいるということです。教室のある生徒さんは、子どもの頃からピアノが大好きで、とても熱心に教室に通っていたそうです。親御さんも一生懸命にサポートしていてグランドピアノまで購入してくれました。将来はピアニストに、というまわりの期待もあったそうです。ところがそのピアノの先生の指導があまりにも厳しくて怖くて教室に通うのが嫌になってしまったそうです。せっかくその気になって応援してくれている親には「医学部目指して勉強するから」と宣言してピアノの道を絶ったのだそうです。

この方、そうして本当にお医者さんになったわけですからすごいと思います。今ではハードなお仕事の合間を縫って、お子さんたちと一緒に教室に通って練習に励んでいます。いったんやめたとはいえ、小さな頃からピアノをやっていたことがとても良かった。我慢強さ、集中力、続ける精神力を養ってくれた。そして頑張った後の爽快感と喜びを教えてくれたし、身の回りのありとあらゆるものごとについて繊細に感じる感受性を育むことができた、と言います。大人になってつくづくそう思うとの事でした。だから自分の子どもたちにも、できるだけ長くピアノを続けさせたいということでした。

ピアノ教師の立場からいえば、「厳しい」ということと「怖い」ということは必ずしも一致しません。私自身はどちらかというと(生徒の皆さんが言うには)優しい先生らしいのですが、曲の指導については甘やかしているつもりはありません。むしろ厳しく、なかなか合格させなかったり、妥協しなかったり、できるまでしつこくやらせたりします。そう言う意味で、自分では、厳しめの先生だと思っています。しかしだからと言って、生徒に恐怖を感じさせたり委縮させてしまうような言葉遣いや、叱り方、感情表現などをすることはしません。この辺は亀の甲より年の功かもしれませんね。色んな経験を経てこの歳になると少々のことではカッカしなくなるものです。

様々な理由でピアノを習うことをやめるお子さんがこれからも出てくるかもしれませんが、そういう中で、私たちピアノ教師は少なくとも「先生が怖いから」ピアノをやめるという生徒さんが出ないように、気をつけたいものですね。

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