ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

ラプソディ・イン・ブルー

2012年09月06日 | クラシック豆知識
昨日は、久々にじっくりピアノの練習ができました。秋のコンサート、それぞれの本番で弾く曲が全部違うのでたくさんの曲を抱えています。一日で全曲を練習するのは不可能に近いのですが、昨日はとりあえず一通り全曲弾いて、出来栄えによって今後の練習計画を考えました。

先週、コンクール審査の前日にデュオ・ロイーヴの2回目の合わせ練習をしました。その中の曲の一つに、ラプソディ・イン・ブルーがあります。何年か前に、同じロイーヴで演奏した曲です。

さて、この曲、1924年にガーシュインが作曲した曲ですが、クラシック音楽にジャズの要素を取り入れた名曲として知られています。「ラプソディー」というのはクラシックの世界では「狂詩曲」と訳される言葉ですが、もともとは古くからその土地に伝わる叙事詩を即興的に自由奔放に演奏するものです。そういう経緯から生まれたジャンルなので、それぞれのラプソディーは「ハンガリー狂詩曲(リスト)」や「スペイン狂詩曲(ラヴェル)」などのように、それぞれの民族音楽の香りを伝える曲になっています。19世紀の末にニューヨークのブルックリンで生まれた生粋のニューヨーカー、ガーシュインはアメリカ独特の民族音楽「ジャズ」を取り入れてこのラプソディーを作ったのでしょう。

ガーシュインがこの曲を作曲したときの有名なエピソードがあります。それは彼が出張でニューヨークからボストンへ向かう列車の中でのことでした。ガタンゴトンと列車が走るその音とリズム、鋼鉄の車輪と線路のレールがきしむ音、そんな「騒音」が容赦なく聴こえてくるなか、突然、頭の中に「音楽」が聴こえてきたというのです。

「そのとき突然聴こえてきたのだ。それどころか、譜面の上に全部見えたのだ。このラプソディーの完全な姿が。初めから最後まで全部だ。(And there I suddenly heard, and even saw on paper – the complete construction of the Rhapsody, from beginning to end. wikipediaより)」

これこそまさにラプソディーの本質をついたエピソードではありませんか。決して意図したものではなく、その人の身体に刷り込まれている民族的な感性(ここではジャズ)が、何かのきっかけで刺激を受けて、音楽となってリズムとなって内側からほとばしる。即興的で自由で、そしてどこか人間臭い。この曲を弾いているとマンハッタンのエネルギッシュな喧騒を想い出します。きらびやかな光とその影も。

この曲は、もともとはオーケストラとピアノのための協奏曲ですが、今回私たちは、ピアノデュオの連弾で演奏します。乞うご期待です。さあ、張り切って練習練習!

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コメント (2)
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