ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

傷んだ心に

2009年09月12日 | 素敵な曲
ショスタコーヴィッチの「24のプレリュードとフーガ」という曲、ご存知でしょうか?何年か前に一度ご紹介したものですが、昨晩久しぶりに聴きました。

傷んだ心に、手を差し伸べてやさしく語りかけるように、始まります。この最初の1番のプレリュードがとても好きです。これが流れると、ふっと力が抜け気持ちがふんわりします。そして、あたたかく、しかし、遠慮がちにやわらかい音楽で包み込まれ、固い気持ちが溶けていくような感じになります。厳しい状況にある時は、涙さえうかんできます。

ショスタコーヴィッチは、1906年ロシア、サンクトペテルブルクに生まれます。早くからピアノの腕を磨き、第1回ショパンコンクールにソ連代表の一人として参加しました。同時に作曲を手掛け、多くの作曲はスターリン賞、レーニン賞などを獲得し、ソ連で作曲家として第一人者となりました。しかし、社会主義リアリズムを強制されての作品も多く、彼自身葛藤や苦しみを抱えながら、作曲をします。しかし、スターリン没後、大きく作風が変わり、哲学的で透明感のある、ある意味人生を達観したような作品となります。この曲もそのような、透明感をもっています。

昨晩は、私がこれを聴こうと思ってかけたのではなく、偶然、家族の一人がこれを選んでかけていたのです。思いがけずこの曲を耳にして、突然、手を差し伸べられたような気になって、心が救われました。
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