ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

レッスンメモ 8 メトロノームのすすめ

2008年06月25日 | レッスンメモ
今更ながら、メトロノームの効用に気がついています。メトロノームは、時を刻む機械的なものとしてのみ、とらえていた時期が私にはありました。なんだか、非音楽的なのでは・?とさえ思ってしまい・・・。しかし、しかしです。

最近、コンサートなどで特に感じることですが、良かった!と思う演奏の時は、必ず音楽が常に停まらず、とめどなく流れていてかつ、躍動していると思います。たとえ、スローなテンポであろうと、テンポルバート(楽曲の中でテンポを自由に加減してひくこと)をしようと、音楽が滞らない演奏のものに、満足感を得ます。きっとそれは、心地良い呼吸をすることができ、安心の中に感情の起伏の世界や美しさを聞くことができるからかもしれません。

さて、この音楽を滞りなく弾くということは、単に止まらずに楽譜どおり弾くということではありません。常にその音楽に存在する呼吸というか、拍感というのがとても大切です。そして、それは、フレーズとは一致していない時もあり、フレーズをうたっていたら、拍感を見失うこともあります。

例えば、モーツァルトのソナタを弾いていて、出だしのテンポと再現部のテンポが違ったと言う経験はありませんか?途中の展開部で、とても気持ちが入っているうちに、遅くなったり展開部はたいてい華やかなので、テクニックが追いついていかず、知らず知らず、遅くなり・・・なんて経験。もし、御自分はそんな経験なくても生徒の半分以上はそんな風に最初なったりします。

今の例は、単にテンポのみが問題のようですが、気がつかないうちに。。。というのは、けっきょく拍がきちんと動いていないのです。最近オーケストラを聴いていると、特に感じますが、指揮者はどんなに音楽が動いても、棒を振り続けます。(時として、棒自体は動かないけど、指揮者の心の棒が常に動いています)これこそ、音楽が流れているということ。

ピアニストは、演奏者であり、指揮者でもあります。オーケストラを自分ひとりでやってるようなものです。これに指揮者も兼任しなければなりません。ちょっと、弾くのに余裕がない、練習の時、メトロノームに手伝ってもらいます。ルバートのときは、いくつか、カチカチを無視すればよいです。そして、ちゃんと拍のおちない感覚をつけて、その基本ができてから、自分の本当の音楽の流れや呼吸をつくっていくのです。とても、効果があります。
コメント (3)
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