ピアノの音色 (愛野由美子のブログです)

クラシックピアノのレッスンと演奏活動を行っています。ちょっとした息抜きにどうぞお立ち寄り下さいませ。

光と影

2007年02月05日 | Weblog
2月の太陽の光は、もう春の明るさを持っています。どんなに寒い日でも晴れた日の陽の光は、光度とその雰囲気がちがいます。

どんなに寒くても春はやってくる。いろいろな国の人々が昔からそれぞれの国の言葉で言い伝えてきたセンテンスですね。絶望している時に、そうやって励ましながら人は生きてきたんですね。ベートーヴェンも、ブラームスもラフマニノフも寒い地方にくらし、春を毎年待ち望んだことでしょう。

でも、寒い国にくらさなくとも、人間生きていれば、心のなかに寒いものを抱えながら春の暖かさを、求めることだってあるはずです。

私が中学生の頃、夢中で聞いたベートーヴェンのムーンライトソナタ。それを弾いていたピアニストは、ベートーヴェン弾きとして世界中で有名だったウィルヘルム・ケンプ。世界のスターだった彼は、光り輝く人生だったかのようにみえました。でも、そんな彼に障害を持つお子さんがいたことを、先日知りました。80歳を過ぎてもなお、かくしゃくとして、私が学生の時、大学に来てコンサートをしました。もちろん、ベートーヴェンのソナタを弾き、その時の光景は今でもよく覚えています。
バレンボイムは、難病を抱えた奥様と共に生きていました。(現在は亡くなり、女流ピアニストと再婚)この冬は彼のメンデルスゾーンのピアノをCDで一番たくさん聴きました。

みんな、なにかを抱えたり背負ったりして、なお春を求めて生きていくのです。
自分だけでなくみんなそうやって生きているんだと思います。そして、音楽がどれだけ救ってくれたことでしょう。

光と影、明と暗は、背中合わせ。その中にドラマがあり、音楽が生まれるんだと思います。
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