整音とは、文字通り、音(音色)を整える作業です。
具体的には、弦を打つハンマーの形状や硬さ、弾力などを適切な状態に整えることにより、心地良い音色に揃えることです。
しかし、音色の調整をハンマーだけで解決しようとすることは、大変危険な誤りです。実際、すぐにハンマーを触りたがる調律師も少なからずいらっしゃるようですが、ピアノの音は弦振動なのだという事実を見失ってはいけないのです。
ハンマーは、弦を振動させる部品に過ぎません。
つまり、整音は弦をどのように振動させるかを追求する作業なのです。
その為には、弦を打つ際のハンマーの力や角度、スピード、弦との接触時間、接触面積、弦のどの場所を打つか、三弦の高さは揃っているか・・・・等、整音以前の整調で解決すべき問題がたくさんあるのです。
もっと言えば、響板やボディに効率良く振動が伝わる状態なのか、弦そのものに劣化はないか、また、駒や響棒、フレーム等に起因する問題・・・・等、オーバーホールなどの修理によってしか解決出来ない問題が潜んでいることもあります。
逆に言えば、修理を要さないピアノできちんとした整調を施し、正しい調律で倍音列とユニゾンを揃えて、初めて整音に取り掛かれるのです。
しかし、この一連の流れを無視し、いきなりハンマーに針を入れる調律師が、少なからず存在することも事実です。
もちろん、現場で行なえる作業には限界がありますので、応急的な音創りとして、理解した上での処置ならば致し方ないでしょうが、全てをハンマーだけで解決しようとする誤ったメンテナンスは、知らず知らずの内に、ピアノをダメにしてしまう恐れがあります。
ピアノラボでは、定期的にタッチと音を揃え、最良のコンディションを保持することがメンテナンスだと考えております。
従って、定期のお客様に関しましては、整音も基本料金内での作業の一部と考えてますので、別料金を頂くことはございません。
音とタッチを切り離して考えるのではなく、いかにして音とタッチをコーディネートするか・・・ピアノのポテンシャルを見極めながら、様々な環境を考慮し、程好いバランスを創り上げることに注力します。