音楽家ピアニスト瀬川玄「ひたすら音楽」

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◆リストの楽譜に「tremolando」という指示があったら ~ 《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》より

2011年11月11日 | リスト Franz Liszt
リスト作曲《波を渡るパオラの聖フランチェスコ》
曲の始まり・冒頭については、
作曲者自身による貴重な助言を得ることができました。


全音出版のリスト楽譜が素晴しく、
その充実した解説の中に、なんと
晩年のリスト自身が生徒にレッスンした際の詳細なメモが掲載され、
それを日本語で読めるのです。

まるで、リスト自身からレッスンを受けているかのような!?
作曲者をより身近に感じられる嬉しいレッスンノートです。

それによると、
曲の冒頭について、以下のようにリストは言ったようです。



「主題はかなり強めにはじめること。1段目すべてを。
 2段目の主題のところから、はじめてmfにする。
 ここの左手はつねにトレモロで、かっちり32分音符にはしないで」




1段目のmf(低音のユニゾン)と
2段目のmf(曲のテーマ)とを、
違ってとらえることを、リストは要求したということですね。

1段目の力強いユニゾンの響きには、
なんとも偉大な神々しさが感じられはしないでしょうか。


そして
もうひとつ興味深いのは、
2段目以降の左手の演奏の仕方。

楽譜には詳細に32分音符のオクターブのトレモロが書かれていますが、
しかし、よく見てみると、
音符の下には「tremolando」という指示があり、
これは、この曲《波を渡る・・・》が収められている曲集《2つの伝説》の前の曲
《小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ》においても、
第104小節にて同様の指示「tremolando」があります。

それを作曲者は生徒のレッスンにおいて

「右手のトレモロはできる限りたくさんの音符を入れて」


と要求したのだそうです。
ゆえに、
リストの楽譜に「tremolando」という指示があった場合は、
音符の数をかっちり揃えることなく、
「響きとしてのトレモロ」
として演奏できる・すべき?ということが
作曲者リスト本人と生徒とのレッスンでのやり取りの結果から判ってきました。

これは大変貴重な情報ではないでしょうか。



(つづく)











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