群馬大学病院(前橋市)で、腹腔鏡を使う高難度の肝臓手術を受けた患者8人が死亡した問題で、保険適用外の手術に診療報酬を不正請求した疑いがあるとして、厚生労働省が今月、病院への監査に本格的に着手したことがわかった。
不正請求を確認すれば返還を求める。組織的な不正など悪質性が高いと判断された場合、保険医療機関の指定を取り消す行政処分が行われる可能性もある。
群馬大病院によると、問題の起きた旧第二外科では、2010年12月~14年6月に保険適用外とみられる腹腔鏡手術が計58例行われ、うち35例で診療報酬が請求されていた。本来は保険適用外とみられる腹腔鏡手術を、保険適用された腹腔鏡手術や開腹手術として請求していた。
監査では、カルテやレセプト(診療報酬明細書)を調べるなどし、こうした請求が不正に当たるかどうか確認。不正請求額を確定したうえ、返還請求することになる。
保険医療機関の指定が取り消されると、患者の全額自己負担になり、診療に大きな支障が出る。腹腔鏡手術を巡り、同様の不正請求が発覚した千葉県がんセンターは先月、不正請求があったとして厚労省から戒告を受けた。