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池田直渡「週刊モータージャーナル」:暴走が止まらないヨーロッパ

2020年02月12日 | 山口県庁

池田直渡「週刊モータージャーナル」:暴走が止まらないヨーロッパ

2020年02月10日 07時00分 公開 [池田直渡,ITmedia] 配信より

クルマに関する欧州発のニュースが届いた。

英政府が、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止するという発表だ。欧州の主要国はすでに2040年前後を目処に、内燃機関の新車販売を禁止する方向を打ち出している。

英国政府は、かつて17年8月にも「40年にHVを含む内燃機関の販売を禁止する」と発表し、我が国にもあたかもオール電気自動車(EV)へ向けた規制の発動であるかのように伝えられた。しかしのちに、環境大臣がそのプラン実現のための具体的方策を問いただされ、正式な訂正発表もないまま、いつのまにやら「HVは含まない」と目標を訂正している。

その前例にこりずにまたもや同じような発表を、しかもスケジュールを5年前倒しにして語ったわけだが、今度こそ明確なロードマップがあるのだろうか? こういう取り組みは前倒しにするほど、意欲的であるように見えるが、結局根拠や方策がないまま早い期限を言うだけなら、「来年から」「来月から」「明日から」みたいなもので、小学生の「ボクの方がお前の1億倍速い!」と何も変わらない。5年前倒しの具体的方法論があってこそ初めて意味を持つものである。

英紙の報道によれば、ボリス・ジョンソン英首相は、「世界をリードしようとする気候変動への取り組みはカオスに塗れている」とのべ、「50年までにCO2排出を完全にゼロにする」ことを世界に呼びかけた。

2月4日、議長国を務める国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の関連イベントに登壇したボリス・ジョンソン英国首相(写真 ロイター)

志は誠に美しい。筆者も早期にEVの普及が進むことを祈るスタンスは変わらない。しかし英国政府のやり方は間違っているように思えてならない。例えば、貧富の差をなくすために、年収1000万円以下で雇用することを禁じたらどうなるか? それは雇用の激減を招くだけで、目的はかえって遠ざかる。自動車の環境規制に対して同じようなアプローチを取ろうとしているように見える。完璧にゼロエミッションであるEV(インフラ発電のCO2を見なかったことにして)だけに特化して対策が遅れるよりも、例え完璧ではなくとも、今ある手立てを早期に全部投入する方が成果は大きいはずだ。

普及しなければ環境改善はゼロ

初代テスラ・ロードスターのデビューは2008年、日産リーフは2010年、すでに新世代のEVが登場して10年以上が経過しようとしているにも関わらず、EVの販売価格は未だに庶民の手が届くものになっていない。その結果グローバルでのEVの普及率は、いまだに2%を越えてこない。

この連載ではすでにしつこいくらいに書いてきたように、バッテリーの価格低減と、急速充電器の爆発的普及を経ずして、EV社会はやって来ない(1月の記事参照)。それらEV普及の制約条件解消の目算が立っていないにも関わらず、闇雲に内燃機関の禁止期限を前倒しすることに意味があるのだろうか?

翻ってHVはすでに普及価格に達している。例えばトヨタ・アクアや日産ノート e-POWERは、車両価格200万円以下で、ホンダのフィット・ハイブリッドは210万円程度で購入できる。現実の路上でも普及し、CO2削減に多大な貢献を果たしている。新型フィットはまもなく発売というタイミングだが、先代同様環境に貢献するだろう。何より雄弁なのはトヨタの新車販売台数の4割がすでにHVであることだ。

これもすでに何度も書いているが、EVを1台もラインアップしていないトヨタは、世界のメーカーで唯一(EV専売メーカーを除いて)、欧州の温室効果ガス規制であるCAFE2020年規制をクリアできる見通しを発表している。この実績はほぼ100%HVによるものだ。

パリ協定が求める「2050年までにマイナス90%」というCO2削減のマイルストーンとして、30年の新車販売においてHVとPHVで450万台、EVで100万台(電動車合計550万台)を目標とするトヨタ。その後、計画を5年上回るペースで電動化が進んでいることを発表している(トヨタ資料より)

もし、本気でCO2削減に取り組む気があるのであれば、こうしたHVの普及に加えて、プラグインハイブリッドの価格低減に国を挙げて取り組むべきだ。

年間1万キロ走るユーザーにとって、日割りの平均走行距離は27.4キロに過ぎない。初代プリウスPHVのEV走行距離は26.4キロであり当時のバッテリーの容量はわずか4.4kWhに過ぎなかった。参考までに現在のEVは、最も容量の小さいバッテリーでも容量35kWh〜40kWhと、当時のプリウスPHVの10倍近いもので、それが価格高騰の原因になっている。どんなに性能が素晴らしくても、消費者の手に届かず、リアルな路上を走らない製品は環境問題の役に立たない。

バッテリーを小さくせよ

あくまでも一例だが、仮にプラグインハイブリッドに5kWh以下のバッテリーを搭載し、一定の充電率でなければ始動できない仕組みを組み込んで、ユーザーが必ず充電してからでなければ使えないようにすれば、日常の使用距離はほぼEVとして使用可能だ。エンジンを稼働させるのは基本的に遠距離走行時のみとなる。初代プリウスPHVのデビュー以来、10年の技術進化を加味すれば、30キロ以上のEV航続距離は十分に狙えるはずだ。

もちろん出先でバッテリーを使い切った時に始動できないと問題なので、CASEによる位置時間情報と組み合わせて、自宅で夜間に充電すべきをしていない場合を特定するなどの工夫が必要だが、できないことではないはずだ。不便だと思うかもしれないが、そもそもEVなら充電していなければ走れない。

独フォルクスワーゲンが進める電気自動車(BEV)専用のプラットフォーム「MEB」

間違ってはいけないのは、バッテリーを使い切って、HVモードになることは負けではないということだ。むしろ使い切れないバッテリーのせいで価格が上がることが負けなのである。「毎日ぴったり使い切り」こそが真の理想で、使い残すくらいならむしろ多少HVで走った方が良い。そういう需要がゼロになると、予定より早くガソリンスタンドがなくなってしまい、HVもPHVもインフラを喪失することになる。EVが庶民にも買える程度に価格低減が進む前に、その日がやってくるのはマズい。

もちろん長い間には徐々にスタンドは減っていくだろうが、そうなった頃がEVへと本格シフトを考えるタイミングになるだろう。何しろほかに選択肢がなくなる。そして究極的にはガソリンスタンドの保護より、優先すべきは温暖化問題だからだ。

こうした仕組みであれば、EVが目指すゼロエミッションの8割以上はPHVで簡単にクリアできるだろう。ジョンソン首相が掲げる、15年も20年も先の未来目標に対し、8割がたであれば、今すぐにでも改善できる可能性があるのにも関わらず、それを捨て置くのは罪ではないか? 「他の選択肢を全て切り捨てて、背水の陣で最良の成果を目指す」と言えば聞こえがいいが、いくらでも両立可能な可能性をわざわざ捨てる選択はマゾかバカに見える。いずれにせよ地に足がついていない。

地球環境を本当に心配し、より素早くCO2削減を進めようとするならば、理想主義に引きずられて「いかなる場合もゼロエミッション」とばかりにバッテリーをやみくもに肥大化させるよりも、容量を落として価格を下げ、普及させる方が重要なのは子供でも分かる話だと思う。

不毛な欧州ルール

にもかかわらずCAFEのルールでは、年を追うごとにPHVのEVモードでの義務走行距離をどんどん増やし、今すぐCO2問題を緩和できるPHVというソリューションを、どんどん庶民の手に届かないものにしているのである。これは欧州の病的な完璧主義だと思う。一部には、プリウスPHVを閉め出すために「新型が出るたびにプリウスのスペックを少しだけ上回るEV走行距離に、ルール変更している」という声もあるが、まあ証拠のないことをどうこういっても仕方ない。陰謀論に与したくない筆者としては病気だと考えておく。

トヨタの第3四半期決算に登場したディディエ・ルロワ副社長

さて、ちゃんと検証しなくてはならないのは、ジョンソン首相はきちんとしたロードマップを持ってEVオンリーの社会を提唱しているのかどうかだ。2月6日に行われたトヨタの第3四半期決算で、同社のディディエ・ルロワ副社長は、ジョンソン首相のスピーチに対する記者の質問にこう答えた。

「われわれも皆さんと同じく今週はじめのタイミングで知りました。今週月曜日(3日)の時点で、英国政府と情報をシェアしました。そこで『われわれの発表は決定事項という意味ではない』と言われました。あれは英国政府の望み(wish)とのことで、自動車メーカーやすべてのステークホルダーとディスカッションを始め、これから6カ月をかけて、製品をどうしていくかを確定していく意向だと聞きました」

さて、このトヨタの説明をどう受け止めるかはみなさんにお任せしよう。「トヨタは自分の都合の良い説明をしている」と考える人もいるだろうし、「妥協は良くない。政府が自動車メーカーを説得して、より厳しい基準を作り地球環境を改善していくべきだ」という人もいるかもしれない。

ただ地球環境が本当に待ったなしだったら、今やれることに着手すべきだと筆者は考えるだけである。


筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。以後、編集プロダクション、グラニテを設立し、クルマのメカニズムと開発思想や社会情勢の結びつきに着目して執筆活動を行う。
     
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私のコメント : 令和2年2月12日、クルマに関する欧州発のニュースが届いた。英政府が、ガソリン車、ディーゼル車の新車販売を、ハイブリッド(HV)とプラグインハイブリッド(PHEV)も含め、2035年に禁止するという発表だ。

トヨタ・アクアや日産ノート e-POWERは、車両価格200万円以下で、ホンダのフィット・ハイブリッドは210万円程度で購入できる。CO2削減に多大な貢献を果たしている。新型フィットはまもなく発売というタイミングだが、先代同様環境に貢献する。トヨタの新車販売台数の4割がすでにHVであることだ。

CAFEのルールでは、年を追うごとにPHVのEVモードでの義務走行距離を増やし、今すぐCO2問題を緩和できるPHVというソリューションを、庶民の手に届かないものにしている。

欧州の完璧主義だ。一部には、プリウスPHVを閉め出すために「新型が出るたびにプリウスのスペックを少しだけ上回るEV走行距離に、ルール変更している」という声もある。


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