Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

痴漢といふ愛国行為

2007-11-26 | 雑感
最近は半世紀以上前の文学や思想を頻繁に扱っている。それどころかヘーゲル教授に直接受講している。そのせいか、どうしても感覚的に、現在の倫理は甚だ別としても、その思想からも程遠い。

エリート大学分けが進んでいる高等教育においても、軒並み精神科学の学び手どころか教師が減らされる。それに限らずマンハイムでは政治学教室が閉鎖されて、卒業生は米国のハーヴァードかどこかでタイトルを狙うかどうかしなければ居場所がなくなる。

それと同時に、マインツ司教レーマンが先日発言した「欧州の文化の歴史的基本としてカトリックが明示されるべき」だとか「妻が家庭に居る基本に対して政治的配慮が必要である」とかは通らない。また、ヘルツォーグ大統領や大蔵大臣候補であったキルヒホッフ教授の後輩である若いディ・ファビオ氏がアデナウワー時代の小市民生活をシステムの基本と据えても、多くのムスリムを抱える都市圏においてはそうした教養の土台が人口比率的に重要視されるのかは甚だ疑問である。

そうした社会の変化の波は甚だしいが、それでも未だ「精神」と「肉体」を分かつ「近代の自我」は存在する。もしそれを認めなければ、民主主義の基本は言うに及ばず、「進化論では、自意識の自動化が待っていて、人類は皆無意識の内にゾンビになる」のは将来のことであるどころか、それが市民のアシミレーション化もしくは均一化・クローン化として現存していることになり、大変不安な気持ちになる。

するとこれは、極東文化研究の上で大変有用なキーポイントとなる。以下の疑問はこれによって悉く溶解する。

一、 唯物主義者もしくは無神論者を自称する日本人は多いが、確信的なマルキストも無神論者も少ない。進歩史観もパラダイス思想も持っている者も殆どいない。
二、 知的創造物の二次利用を含めてコピー文化が盛んな文化圏において、知的活動つまり知的創造物の所有権である著作権を解さなかったりその延長に反対する文化が存在する。
三、 それらの文化圏においては個人の基本的人権が尊重されない傾向が強い。
四、 唯物史観以外の歴史認識が存在し難い。
五、 ある種のフェティシズムや物質崇拝の傾向が強く、倫理的な網を被せる儒教や教育勅語などの現世のシステム構築が必要となる。
六、 知的創造自体に価値が置かれない為、物欲による市場価値や評価が優先される。
七、 ロボット信仰は日本に存在して、汎用技術は極東で改良されて実用化される。
八、 以下略

しかし精神の独自の存在を認めないとする仮定には、意表を突かれた。なぜならばここで言う創作こそは精神的な活動であり、デュラーの語ったように五百年先でも活きていかないといけないとする近代人の意志がそこにあるからだ。しかし、「包括的で集合的な西洋的なライフスタイルを文化と呼び、その解釈されて行動様式となる生き方の枠組みでもあるものを文化とする」と、そこに創作活動はどのように存在するのか?

精神がないならば肉体に直接尋ねなければいけない。条件反射的に機能するのだろう。ゾンビのように。これも古いが日本を代表する戦後の文化勲章受章者の名言を、また昔の政治学者丸山真男の著書「日本の思想」から引用して置く:

普遍者のない国で、普遍の「意匠」を次々とはがしおわったとき、彼の前に姿をあらわしたのは「解釈」や「意見」でびくともしない事実の絶対性であった(そはただ物に行く道こそありけれ ― 宣長)。小林の強烈な個性はこの事実(物)のまえにただ黙して頭を垂れるより他なかった・・・。

「一切が疑はしい。さういう時になっても、何故疑へば疑へる様な概念の端くれや、イデオロギーのぼろ屑を信ずる様な信じない様な顔をしているのであろうか。疑はしいものは一切疑つて見よ。人間の精神を小馬鹿にした様な赤裸の物の動きが見えるだろう。そして性慾の様に疑へない君のエゴティスム即ち愛国心というものが見えるだろう。その二つだけが残るであらう。そこから立ち直らねばならぬ様な時、これを非常時といふ。」(神風といふ言葉について)昭和十四年*

…中略、絶体絶命の決断を原理化した時、彼はカール・シュミットにではなくて、「葉隠」と宮本武蔵の世界に行きついたのであった。



*西暦1939年


参照:
「自意識の近代」の続き (Sweetness)
九条の会第2回全国交流集会 (アドルノ的)
豚とソクラテス、無知の知 [ マスメディア批評 ] / 2007-08-14
死んだ方が良い法秩序 [ 歴史・時事 ] / 2007-11-21
ライフスタイルの都会文化 [ 文化一般 ] / 2007-11-24
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ミニスカートを下から覗く [ 文化一般 ] / 2007-09-17
ジャンル:
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