Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

スカラ座からの初日中継

2018-12-06 | 文化一般
車中のラディオがミラノの街の様子を伝える。スカラ座シーズンオープニング前の街の清掃などのお話だった。ハプスブルク家の歴史的なことに触れつつのミニドキュメントだった。金曜日にミラノからの中継があるのでSWRバーデンバーデンやARTEのジャーナリストが前のりしたのだろう。兎に角、金曜日夕方からの「アッティラ」中継が楽しみだ。なぜならばイタリア人指揮者シャイーのオペラは1980年2月9日のミュンヘンからの中継録音放送しか聞いたことがないからである。その印象は間違っていなくて、オペラでそれほど成功していないらしい。

そしてこれを書きながら手元にあるエアーチェックのカセットテープを回してみる。ドルビー無しで録っているようだが、サーのノイズにあまり気にならない一方、音も割れていない。なぜか上手に録音していて、オリジナルの質も何かすごくいい。先ずこの演奏がお宝ものだ。

最初のプロローグのさざ波のテーマからして驚くほど明晰な音を出している。サヴァリッシュ時代だと思うが監督がこれほどまでにシャープな音を出した覚えがない。指揮者のシャイーは僅か27歳になる数週間前である。しかし歌手陣はまさに決定版のストレーレル演出のアバド指揮のそのままの陣営だ。つまり、カプリッチリ、ギャウロフ、フレーニ、ルケッティというとんでもないキャストで、恐らく新演出だったのだろう。調べてみるとオットーシェンク、ローゼの名前が載っていて、二日前に初日を迎えている。そして管弦楽団が現在の水準かと思う以上にシャープな弦を弾いている。

まさにこの世界一のトレーナ指揮者の特徴が出ているが、それにしてもあの会場で当時の録音でこれほどまでにエッジの立った響きを実現させる手腕は今考えると驚異だ。当時はアバド指揮よりも率直なカンタービレで驚いたのだが、当然のことこれらを位置付けるだけの知識もなかった。しかし、その後にコンセルトヘボーやゲヴァントハウスを再び世界の頂点に持っていくだけの手腕はこの若造指揮者に宿っていたことになる。そうした手腕を持たない同じように若いうちから起用されたベルント・ハイティンクが若造を妬むのも当然だろう。

歌手との辛みでは大歌手に合わせながら自己主張もしていくというような協奏曲指揮のような塩梅に聞こえるが、それにしても見事だ。コンセルトヘボーの指揮者ガッティがMeTooで失脚したが、そもそも前々任者36歳のシャイーに比較すると大きな期待はできなかっただろうと思う。そのアバドの下でアシスタントをしていた指揮者のスカラ座でのこの三年ほどの成果が聞ける。それどころか時差で映像が楽しめる。これまた見逃せない - 後日NHKでも放映されるらしい。


参照:
生中継の妙、色々 2018-08-19 | 雑感
親しみ易すすぎる名曲 2017-10-24 | 生活



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