Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

残糖感 - 試飲百景

2005-12-26 | 試飲百景
クリスマス前に幾らかワインを買い足した。手前知ったる試飲部屋に入ると、そこには先客が居た。何処かで一度見かけたような30代前半の男性である。試飲を終えてワインを注文をしていた。先方から挨拶しないところをみると初対面なのかも知れない。車はダルムシュタットナンバーで、一人で来ていた。

気になったので尋ねてみた、「好いもの見付かりましたか?」。

「ううん、僕は辛口が好きなんで」と、またこれは聞き覚えのあるような若干低く潰れた声で答えた。

「僕もそうですよ」。

すると、急に勢いついて喋り出す、「ここのワインは、まだ甘くてね。もう少し辛口が本当は好いのだけど」。

「そうですか。ここのワインは結構辛口の方だと思うのですが。」と間髪を入れずに反論する。

するとメガネの奥の眼を光らせて、「ここは残糖値の分析値が6グラムぐらいでしょ。」。

こちらも勝手に言わせて措けないと思い、「最近の傾向は、寧ろ半辛口と辛口が合体して仕舞った傾向がありますから、むしろ多くはリッターあたり9g近くまで広がっていますよ」。

すると「1gという所がありますよ。」と笑みを浮かべながら勝ち誇ったように言う。

私は何時もの調子で、「もしかして、糖尿ですか?」と不躾に聞く。

彼は、「違いますよ。」ときっぱりと否定する。

「いや、そう言う訳でなくて。糖尿病向けワインにも好いものが」と言い掛けると店の者が勘定書を携えて入って来た。

私は、何時ものワインと比較的新しいお試しのワインを携えて、夕刻のワイン畠を左右に車を走らせた。「そうだったな。僕も、以前は。あれは、辛口原理主義者と言うのだろうな。」と考えると、何気なく口元が緩んだ。

これを書きながら、試しに買った安い辛口ワインの仄かな甘みが気になり出している。



参照:
試飲百景-前書き [ ワイン ] / 2005-01-22
意志薄弱なワイン談義-試飲百景 [ ワイン ] / 2005-04-18
試飲百景-アイラークップの古いワイン [ ワイン ] / 2005-01-22
試飲百景-深い香りの中で [ ワイン ] / 2005-03-02 2005-03-01
意志薄弱なワイン談義-試飲百景 [ ワイン ] / 2005-04-18
プレゼンテーション上手-試飲百景 [ ワイン ] / 2005-04-26
大馬鹿者たち-試飲百景 [ワイン] / 2005-06-18
ワインの適温-試飲百景 [ワイン] / 2005-07-02

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2 コメント

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興味深く読みました・・・試飲百景。。 (apapamama)
2005-12-28 01:39:39
ご無沙汰しております。。

pfaelzerweinさんのブログは 私には 高尚過ぎると言うか~ 哲学的過ぎると言うか~ 率直に言うと 難しすぎる~

しかし 今回のこのネタは 思わず“クスッ”でございました。。意外とお茶目な方なんだ~ なんて思ってみたり~

それで 過去の“試飲百景”も とても興味深く読ませていただきましたよ~。。

私のブログのお気に入りに登録させてもらっても良いですか??

って言うか させてもらいますね~
反省一入 (pfaelzerwein)
2005-12-28 04:38:43
apapamamaさん、こちらこそご無沙汰です。ご意見、真摯に拝聴致します。この文章のように簡単に書けてしまう事もあるのですが、なかなか難しいですね。



このシリーズは、記憶を辿れる時間的精神的余裕さえあれば、幾らでもネタがあるので、続けて行きたいと思います。



お茶目と言うより唐突でいけません。反省一入です。

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