Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

岩との戦い酸との戦い

2009-05-29 | 試飲百景
クリストマン醸造所のピクニックは、今年はレーブホルツ醸造所を優先させて遠慮した。その分、金曜日の夜の一時間半なりを十分に試飲に費やせた。VDP会長の若旦那さんに挨拶しながらも、日本の最近噂に関しては今回は敢えて控えさせて貰った。

早速はじめたリッター瓶は残糖感があってあまり良くなかった。「酸との戦い」が上手く行かなかったのだろう。グーツリースリングも酸が勝っていて今一つである。フォン・ブールやビュルックリン・ヴォルフが香りを発たせて上手く醸造しているのに比べると、如何にも自然酵母への拘りが其処に感じられて美味くないのである。なにも天然酵母を飲む訳でなく、美味しいワインを探しているだけなのだ。此方は、どこかのマニアのような物好きではない。ルッパーツベルクもギメルディンゲンも昨年と比べると魅力が薄く、2008年産のえぐさがあるだけだ。

それでも、今年は2007年産と2008年産を直接比較して試飲出来るものが多くて楽しめた。リンツェンブッシュなども「一年経って落ち着いたもの」と「ぴちぴちとしながら個性の強い新しいもの」では、前年のものを選ぶ。ビエンガルテンは今一つで、モイスヘーレでは、一年経ったものに砥石風のミネラルが楽しめる半面新しいものはまだまだ独特のミネラル風味が出ていない。オェールベルクが醸造所内では評判が良いようだが、私にはあまりに何もかもが張り過ぎていて厳しい。なにも苦労して飲むほど美味くはないと感じたのも事実である。ここの醸造所のリースリングは天然酵母に拘っているため都会的な軽みやデリケートさが出ないのでプファルツの田舎臭さが炸裂している。この手のワインをこの地域の代表とするのは一体どこの誰なのか?

二番手ワインのルッパーツベルクSCや、ホーヘンモルゲンとランゲンモルゲンを含むダイデスハイマーSCとの差があまりなくて失望した。ギメルディンゲンSCは、昨年のような派手なマンデルガルテンの下品な果実みがない分、もしかすると上品かもしれない。マンデルガルテンGCはだから期待出来るだろう。

しかし結局はシュペートブルグンダーの2005年産オェールベルクを選ぶ。同じ種であってもブランデノワールは、ここでもレープホルツVDP支部長の所と同じで色が出過ぎのようだ。ここは味が漬物臭く、先方は素っ気無さ過ぎる。

この日は、評価本信奉者には出会わなくて喧嘩を吹っかける事は出来ずに不満であったが、醸造所の女の子にここ暫らくのご無沙汰を紹介した寿司屋の話しを交えてした。

「この赤ワインは何時から売りに出ている?」と、オェールベルクのピノノワールに不意を突かれながら聞く。

「大分経っているのと違うかしら、いやあれはSCの方だったから、ここ数週間の事かしら」と答える。

「そうでしょ。ここ二か月は余所の石切り場で働いていたから、一寸寄れなくて失礼しましたが、来週からまた此方の現場に参りますので予約で置いておいて下さい」とお願いする。

さて、今年は低位のリースリングはあまり買えそうにないから、グローセス・ゲヴェックスでもその時に注文しようかと考える。

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2 コメント

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印象深いもの (yokun)
2009-05-30 18:41:23

クリストマンでは
あまり心に留めるようなものは
なかった様子ですね。

結局ピノ・ノワールだけでしたか?

「天然酵母に拘っているため都会的な軽みやデリケートさが出ないのでプファルツの田舎臭さが炸裂している」
と言う表現は、ファルツのワインを知っているからこそのお言葉として、参考にさせていただきます。(手厳しい)



裸の王様の住人 (pfaelzerwein)
2009-05-31 13:42:54
2006、2007、2008の三年だけを比べてみれば醸造所の個性はハッキリしています。

フランスの白ワインを愛好する人ならば、ここの田舎臭い白ワインも高級ワインに入るのでしょうが、天然酵母に拘るとどうしても現代的な味覚から離れて仕舞いますね。

その点で赤ワインは問題が少ないのですね。

レープホルツとクリストマンはそういう意味でプファッルツの双璧でしょう。決して誰にも美味いワインではないです。

なにも知らぬのにこの二つの醸造所のワインをありがっている初心者などは典型的な裸の王様の住人ですね。

私は今年はここのグローセスゲヴェックスを初めて予約します。

田舎臭いとは、人が言う評価であって、私は人の言うことを素直に参考にする自我の弱い性格なので、どうしてもこうした発言になってしまうのですね。

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