Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

もぞもぞとした地所の味

2018-11-05 | 試飲百景
ボストンからの生中継を録音した。上手くいったようだ。同時刻にアーカイブ録音として、エッシヘェンバッハのアメリカデビューをセル指揮でというのがあった。クリーヴランドの楽団からも「いいよ」を貰ったが聞けなかった。やはり過去のものよりも現在のトレンドの方が重要な情報だ。その過去もそのモーツァルトのピアノも嫌というほど聞いているので確かめるだけでしかなかったからだ。実は寝入ったのは、放送が始まる午前一時の十分ほど前だが、起きだすと三時まで眠れない。徹夜する価値はない。両方を録音することも可能だが、これも睡眠に影響を与えるので断念した。

最初のハイドンの交響曲もボストンのあのアンサムブルの妙が心地よく、同時に鳴りは小澤の時よりも遥かに良い。なるほどライプツィッヒでは出来ないことも可能としているので、二足の草鞋は続くのかもしれない。高名なホールの音響も綺麗に捉えられている。生放送の鮮度が違うのだろうか?

タネージの新曲は、意外に交響楽団が発音に慣れていないような感じで、なぜかゲヴァントハウス管弦楽団の方が初演慣れして遥かに上手いという先入観を覆す印象である。確かに小澤のころからボストンはぐずぐずした発音が特徴で、メリハリがない代わりにボストンサウンドのようなものを形作っていた印象がある。何か当時は、ケンウッドかトリオか東芝がそのようなキャッチフレーズで観音開きのステレオ家財道具を販売していたような記憶がある。シックと称するそれは、些かもこもこした音がしたのだろう。

そうしたなにか歯切れの悪さは後半のエルガー作「エニグマ変奏曲」には向いているのかもしれない。その意味ではいかにもな感じだったが、総合的にゲヴァントハウスとの演奏比較は、芸術性文化性を度外視しても、一長一短であり、よほどのことがない限りアンドリス・ネルソンズがゲヴァントハウスを投げ出す根拠はないと思う。

試飲会に出かけた。結論からするとそれほどいいものは見つからなかったが、悪くもなかった。三種の一級地所からの三種類を比較するのに熱心になった。毎年は出ないギメルディンゲンの「マンデルガルテン」と称する地所のものが出ていたからだ。それの問題はアルコールが13.5%もあって糖が三グラムとなる。要するに栄誉たっぷりなのだが酸が乗っていて、同類のナーヘのシェーンレーバー醸造所の「ハルガンツ」などよりも軽く感じる。いくらでも飲めそうなのが厄介で、飲み過ぎ食い過ぎになりそうだ。日本酒感覚ならばこれでもよいのだろうが、小さな食事と合わせるとやはりぶつかる。今すぐ飲み干すならば香りも高く一番上手かったかもしれないが、半年も置いておくと丸くなって退屈しそうなのだ。だから結局クラシックな選択で「ビュルガーガルテン」を購入した。これは、もぞもぞとしたミネラルで2017年産は特別な出来ではなかったが二年ぐらい掛けて熟成して開いてくる可能性高いからである。要するにがぶがぶ飲んで無駄をすることがないリースリングだ。価格も20ユーロを切っているので文句はない。それに比較すると29ユーロのグローセスゲヴェクスならよそで更におもしろいものが買える可能性が高い。



参照:
赤みが薄い今年の紅葉 2018-11-03 | 生活
還元法は十五年も前のこと 2015-05-06 | 試飲百景

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