Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

落ち着き払ったメータ指揮

2019-04-16 | マスメディア批評
連日のフェスティヴァル訪問は近いと言っても大変だ。月曜日の新聞にベルリン、ザルツブルク、バーデンバーデンのフェスティヴァルの評が全面に別けて書かれている。見出しは空間内の巨象である。

地元のロッテ・ターラー女史の評は、中々上手く纏まっている。オペラ批評としてどうしてもウイルソンの演出に紙面が多く割かれるが、そのいつものような絵や意匠をして、特に地球儀などバロック的としている。同時に一人だけの純なデズデオーナは白塗りの白い衣装を与える ― 月曜日に登場したペコちゃんの衣裳やピエロ姿ではない。

そこに情景に合わせて赤い玉や線が出て来る背景にブルーとグレーがあり、生と死と感じられるとする。そして影の中で演技するような歌手には極度の集中力と身体の制御が求められて、主役たちはまるで運命に翻弄される操り人形のようだとしている。そして二人の愛情は、肉体的な制御の効かないものであるよりも、近づく近づかないの接近と遭遇以上のものではないとしていて、この見方は心理的にも劇場的にも面白い。

四幕で「柳の歌」が歌われるときに、ウイルソンが取ったゆっくりとした動きがここへと全て向けられてなされていたことに気が付いたとしている、つまり若い二人へのレクイエムとなる。それでも序曲代わりの巨象とその小象のプロジェクターの意味は読み切れないようだ。

そして最もこの演出の素晴らしさは音楽に全ての自由を与えていることであり、フィルハーモニーコーアの素晴らしさにも言及しつつ、メータの指揮について批評する。

落ち着き払ったその指揮は、ベルリナーフィルハーモニカーを演出に沿った完璧なレクイエムへと導き、後期のヴェルディのオペラを衝撃的にモダーンにしたという。そのヴァークナーの「トリスタン」のような管弦楽的質を四幕へのイングリッシュホルンで、そのあとでのオーボエのエコーで聴かせ、コントラバスの響きは ― 今回これは幾つかの重要な場面で音楽的に重要な意味を示していた ― 雷の場のブラス以上にスリル満点だったとする。そして弦のトレモロは、私たちの死への恐怖となったとしている。

中々上手な書き方をしている。地元のヴェテラン批評家として、来年以降もしっかり書いてもらいたいと思う。その内容に満足であり、出来るだけこうした劇場感覚が聴衆の共通感覚となって欲しい。



参照:
Zubin Mehta überwältigt mit den Berlinar Philharmoniker durch Subtilität. Lotte Thaler, FAZ vom 15.4.2019
華が咲くオペラ劇場 2019-04-14 | 文化一般
芸術の多彩なニュアンス 2019-04-16 | 文化一般
ブラインド聞き比べ 2018-04-12 | マスメディア批評
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