Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

滋味溢れる響きの経路

2016-10-12 | 文化一般
クロームキャストの光学ケーブルのアダプターが待ち遠しい。それで、冬籠りのオーディオ関連は、なんとかなりそうである。それでもアナログ接続の良さは、別途にUSB-DACに電源を入れなくてもそれなりの音は鳴るのでとても便利だということになる。反対にスタンバイモードが無いために常時2Wの消費になるらしい。差し込みなど使い方を検討しなければいけないだろう。さて内蔵コンヴァーターを使うアナログ出力と高級コンヴァーターへと繋ぐデジタル出力の音質の差が明白に出るのかどうか。勿論、出なければ、どこかおかしいのである。

クロームブラウザーで再生不可な動画のキャストには、PCのためのVLCプレーヤー3.0以降が使えるという。まだ正式版ではないので安定していない。実際に試してみるが殆ど上手くいかない。それでも直接クロームキャストに送れるようになっているので、正式にリリースされればこれで全てが解決されるだろう。ただアンドロイドの方は、通常の動画のクロームキャストとは異なって、動画音声のみを送信する可能性がほとんど見つからないことであろうか。週末はアナログ出力乍らBGM代わりに鳴らして、音質的にそれほど苦にはならなかった。それどころか、この経路で五時間掛かる「マイスタージンガー」動画を通して何回鳴らしただろうか。

繰り返し観ると音楽を除外しても、様々な点で上質な演出上演であることが分かって来る。なによりも優れているのはドイツの聴衆に全く違和感なくマイスター達が舞台に登場することであろう。登場人物が殆ど自らの身近な人々になって、その設定も皆が住んでいるその町そのものなのである。この効果は終幕の意外性を余計に際立たせる。まさしくそこで初めて劇場効果が万遍なく発揮される。

カメラが指揮者の笑い顔を捉える。第三幕二場で、ユンカー出身のフーテンのヴァルターに靴屋の親方のザックスが、真面な衣装を着せてやる場切れである。こうした喜劇的芝居が高品質で、イタリアのそれなどとは異なり殆どフーテンの寅さん並のハンス・ザックスになっている。ある意味、日本でいう所の昭和の風景をドイツにそれを思う風景そのものなのである。この制作は音楽を抜きにしても定着するのではなかろうか。

来年の日本公演はどのように計画されているか知らないが、現在のドイツの音楽劇場を示す制作として、楽劇「影の無い女」よりもこの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の方が優れているように感じだした。もう一つは予算さえ適えばオペラ「サウス・ポール」であろう。

それにしてもべルカントのヴォルフガンク・コッホのザックスは現代におけるヴァークナー歌唱の頂点で、これほど喜劇的で素晴らしいハンス・ザックスの歌唱はなかなかなかったのではないかと思う。まさか、こんなに素晴らしい滋味溢れる管弦楽の音色でこれほど立派なヴァークナーの音楽が響くなどとは考えてもみなかった。まさしくドイツの響きそのものである。

歌手陣に不満があっても、何度繰り返して流しても飽きるどころか、どんどんと音楽の深みに吸い込まれてしまうのである。晩年を迎えようとしている楽匠ならではの深みある音楽喜劇なのである。



参照:
ミュンヘンのマイスター 2016-10-10 | 雑感
キャストによるデーター転送 2016-10-08 | 暦
コメント
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