Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

精霊降臨のハイビット処理

2016-05-20 | 
新たに設置したUSB-DACを使って、聖霊降臨祭の月曜日に録音した楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を二幕終わりまで聞き直した。前奏曲では少し走りかけたところもあったようだが、目指した音楽的脱パトス化に成功していた。二幕のザックスとエーファーの場面は秀逸だった。舞台演出はその後のフィナーレまでがクライマックスだったとされている。二幕にはとても感動した。楽匠が創作した最も素晴らしい創作がここにあると思わせるに充分だった。

その他多くの箇所で素晴らしい音楽が聞こえてくるのだ。ザックスを歌うヴォルフガンク・コッホが言うように「このように天才と思うような音楽家には会ったことが無い」とされる指揮のキリル・ペトレンコは、初演後150年近い歴史の経過で初めて楽譜からその真価を引き出している。それは確かである。但し、書記ベックメッサー役のデビューを飾ったアイへが語っていたように、初日では簡単にはその全貌は実現化していない。当然である。歌手の調子もあれば、管弦楽も、合唱もとても難しいことが求められている。まさしく十六分音符一つに拘って演奏しているのは、楽譜を目にして、まざまざと聞き取れる ― 昔大阪の交響楽団が「半音ぐらい負けといてや」と言ったという笑い話があるが、ヴァークナーの演奏なんて五時間の間に幾らでも堪忍しているのが音楽劇場なのだ。いつものようにペトレンコ先生のお蔭で楽譜が綺麗に視覚的にも浮かび上がってきた。先ずは月末がとても楽しみである。

さて、DACの効果は、前奏曲での副調整室の修正がまざまざと分かり、指揮者の強い気合などが手に取るように聞こえることでも、そのCDへの焼き直しとの差異は明らかだ。音響空間の再現が大分違う。それでも肝心の元の配信の音質程度を確実に評価するには至らなかった。要するに、CDとハイレゾリューションの相違というのは直接比較してみて初めて分かることで、正直オペラ劇場からの実況中継程度ではなかなか判断がつけられない。ヘッドフォンでも試聴してみたが、オリジナルの調整を知らないので中々判断し難いが、少なくとも今まで以上にあの劇場の音響は捉えられていて、その拍手の音は大分生のそれに近い。

出力は、FoobarでWASAPI出力設定にして直接のデジタル出力でないと鮮度が完全に落ちる。更に違う形式のものも聞くと、やはり高Bit処理のものは悪くはないが、画像についているAACなどは全然駄目だった。逆にMP3の方が、32Bitハイビット処理されることで大分聞きやすくなっていて、音響空間などは分からないのだが、音質としては高音もそこそこ出ていて、臨場感はなくとも実況録音としては使い物になるようなものがYouTubeにもあった ― シュターツカペレベルリンとの「抒情交響曲」を聞き直したい。

MP3を、同様なDACを積んだCDプレーヤーで流した時よりも明らかに繊細さが増している。高音の出方とか低音とかの問題ではないデジタルDSD処理の精度だろうか。CDコピーよりもこのDAC再生のそれの方が質が高いとは思わないのだが、一度直接比較試聴してみなければいけない。

DATで録音した16Bitの低サムプリング32kHz録音もDSD処理をすると繊細になった。それを聞くと当時は全く気にならなかった低サムプリング処理における高音の落ち方も気になるようになって、調べると当時のドイツのDSRラディオ放送の規格は16Bit32kHzサムプリングのPCM放送で転送速度1,024 Mbit/sが出ていたようだ。要するにCD規格44.1kHzよりも落としていたのだ。

また、なによりも使いやすいと思ったのは、タブレットのFoobarControllerで早送りも巻き戻しも自由自在で、CD-ROMに編集して焼き付けてもインデックスなどを入れないことには使い難いので、PCオーディオは大分手軽である。



参照:
「マイスタージンガー」の稽古 2016-05-17 | 音
批判的に処する冷静な感覚 2012-05-16 | 雑感
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