Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

維新への建前と本音の諦観

2015-11-21 | 歴史・時事
ネットで伝えられるところによると、大阪のやくざ政治グループが選挙に勝利するだろうとある。五月の住民投票にも関心をもったが、今回はその影響が大きいと言われる。大阪で完全勝利すれば、恐らく橋下徹は遅かれ早かれ改憲発議政府の副首相になるのだろう。

橋下が世界的に脚光を浴びたのは2013年の慰安婦問題の時で、その時の記事を読み返す。「建前と本音」を上手に操作する人物として、安倍首相が発言できない本心を公然と発し、口から出まかせでその場の追及を逃げる人物として報道されている。

ポピュリズム政治家共通の人心掌握術に長けているが、既にその時に凋落は始まっていたようで、これまたその状況に合わせて人々の関心を集めてその都度脚光を浴びるのもこの種のポピュリズム政治家の特徴である。

オーストリアのケルンテン首相であったハイダー法学博士が、政党を駆使してヴィーンで好き勝手に権力を振るい、ベルギーなどを散々口汚くけなし、パリなどにも喧嘩をうり、外交問題を起こし、一度退いてからも再び地元から政党を再編するなど、不慮の死まで政治家として生き延びたことをどうしても思い起こさせる。

住民投票の時にも触れたが、大阪はケルンテンとは違い古い都市であり文化もある。それだけの判断が示されたと思ったが、安倍政権の支持率が異常に高いのと同じく、こうした真面でない政治グループに支持が集まるのがやはり解せないのである。

支持グループとそのターゲットを最も熟知しているのは本人たちであろうが、守旧から改革への掛け声でそこに乗ろうとする有権者は、中産階級の上昇の夢から覚醒した所謂B層と、もう一つは攻撃的ななにかで不満の解消を求めようとする層なのだろう。要するになにか掛け声が掛かればそれでよいのだ。B層であるから、政治権力者から下級役人までの人数を減らせば、それだけ「うらやましく妬ましい」中産階級が少しでも減ってくれると思い込んでいる人たちなのだろう ― ポピュリズムであるから、自らの理念よりも大衆の思いを声にする。

上の新聞の記事にもあったが、極東的な「建前と本音」の使い分けは、同じように有権者にも当てはまり、そのように振る舞うということだけではなくて、そのように思考するということなのだ。つまり大阪の有権者は、「建前では民主主義とか語っても、結局現実は違うやろ」という本音で投票するという秘密投票がなされる。その結果の権力集中と愚民政策に甘んじることになる。

安倍政権への支持も大同小異であって、現実環境への諦観のような人生哲学があって、そうした有権者が居て政治があるのだろう。要するに社会構造とか世界の構築、宇宙観と呼ばれるような科学的な思考に結びつかないのは、近代化で科学を学び世界で有数の高学歴国民でありながら、実はその核心は殆ど江戸時代の民と変わっていないからなのだろう。そしてそのような憲法しか作れない国民とうことになる。



参照:
Hashimotos Doppelgesicht, Carsten Germis, FAZ vom 27.5.2015
異常なI’m not Abeな事態 2015-04-30 | マスメディア批評
本音と建前の二枚舌 2013-05-29 | 歴史・時事
活発化への大阪特区構想 2015-05-18 | 歴史・時事
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