Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ラインガウへの途上で

2015-09-27 | 試飲百景
ラインガウへと向かう途上、ラディオは伝えていた。VWがディーゼル車のリコールをするということだ。グループ全体で一千百万台ということはドイツ市場でも可也の数になるのだろう。そのなかで多くはVWの銘柄のようだ。

本来ならばEURO5で車検も通っているのだから、大都市圏でも問題なく進入でき、リコールなどの必要は無いのだが、政治筋がそれを求めたとある。これで、ドイツをはじめ多くのVWオーナーは落ち着き、満足するだろう。

そもそもあまり整備をしないからディーゼルが煤を吐くので、無料で調整や新たなカタライザーを付けて貰うならば、文句を言う者は殆どいないだろう。間違いなくクリーンになる。

それにVWやAUDIのネッツは本国ではとても充実していて、どこでも手軽に車を持ち込める企業力がある。近所の整備工場に持ち込むことで更なる販売網の充実ともなるのである。この辺りがVWグループの強さである。

今回の件は、EUのNoxよりもCO2の環境政策戦略と合衆国のそれとの代理戦争であることが分かる。TTPI交渉の前にパンチを食らわせておこうという反則技で、当然のことながら合衆国の盗聴やスパイ行為の一つの結果である。そして日本からの反響をそこに被せると、一体日本社会の特にマスメディアはワシントンの手先となってなにをしようとしているのかと思わせる。

さて、ロベルト・ヴァイル醸造所での試飲は、これまた価値があった。最近は年二回通うことで内部情報を得やすくなって来ている。彼是二十年以上のお付き合いだから、古い常連さんということでもあるので当然だろう。

先ずは、グーツリースリング、最初からデザートの甘いものを口に含んでいたので、酸が口の中の成分を溶解して薬臭い感じがしたのだが、春の鋭い酸が感じられない。裏エティケットをみると50となっていた。尋ねてみると、三回目の瓶詰めのようで、その分樽の中で熟れている。それと、次のキードリッヒのオルツリースリングを代わる代わる比較する。こちらの方がこなれた酸が効いていた。しかし同時に2014年の特徴である苦味も奥にあるような感じはある。それでも春の時に出来損ないの感じは全く無い。こちらも55なので三度目だろう。

感心したのは、クロスターベルクとテュルムベルクで、前者は最初に口にしたときにこれほどこの地所で好印象を受けたことが無い感じだった。しかし、後で戻ってくるとやはりこの地所のミネラルは鈍くて、田舎臭い。テュルムベルクの方もとても熟れていて、酸がむしろキードリッヒよりも丸い。いよいよ予約していたグレーフェンベルクである。流石に若いが、それでもその透明なミネラル感は予想以上であった。50%の木樽はとても成功している。

一方、期待していたシャルタの方は、雑味が気になった。出来上がりはキードリッヒよりも完成していたが、ストレートなミネラルの出方などを比較するようになると、薄つくりの「カビネット」とか称するものなどと同じで、今後とも醸造されていくのかどうかはとても疑問に思った。なるほどアルコールの低い「カビネット」などは日本などのアルコールに弱い地域向きに出されるのかもしれないが、その程度のワインはネゴシアンものにしていくのではなかろうか?しかしワイン産地では、スーパーで購入した人の評判も悪く、春も今回も口すらつけなかった。

結論は、2014年産は二年ほどかけて楽しむリースリングが良い。キードリッヒも先二年ほどは間違いなく楽しめるだろう。フォム・ブントザントシュタイン、ビュルガーガルテン、フリューリングスプレッツヘン、キードリッヒはとてもよい勝負をしている。グーツリースリングの13ユーロもとても微妙な価格で、「オェコノミーラート」のような個性は無いのだが、食事の合わせる幅が大きく、熟成してきたので可也良くなってきた。



参照:
木樽とその不可欠な効力 2015-05-24 | 試飲百景
我々のライフスタイルを代表 2014-09-30 | 試飲百景
血祭りに上げられるVW 2015-09-22 | 生活
コメント (2)
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