Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

火の酒ブックコーナーの道

2013-10-12 | アウトドーア・環境
水曜日にシュナップスヴェークを登った。嘗て別な記事で核心部の写真を使ったルートである。都合登るのは二度目であるが、一度しっかりとリードしてみたいと初夏からリスト入りしていた。技術難易度からすると完璧に熟さないと満足いかないのだが、今までは岩の状態や待ちが出ていたので試せなかったのである。そこで前者の状態は無視して、誰も居ない雨上がりの水曜日に試したのである。

流石に渇きは悪く、岸壁全体裾は湿っていて色も変わっている、特に苔蒸した場所はつるつるである。それでも良く伸びられているルートだけあって砂岩のがさがさが剥き出しになっていて十分な摩擦は効いている。

このルートの特徴は美しい凹角のを登り切るところにあって、最後の抜け口が核心部となっている。所謂絵にが書いたようなブックコーナーもしくはディェドルと呼ばれるものである。前回登った印象では適当に右に回避するのが難しかったことぐらいである。既に5年ほど前の事であり、当時は殆ど体が出来ておらず、昔の杵柄だけで登っていたのであった。だから完璧に熟すことを自分自身に課していたのだが、実際に梃子摺ったのは、最上部の核心部前にしかないリングボルト以外の、容易である筈の中間確保地点の設置であった。特に下部は状態が悪いので通常以上に重要でそれだけ時間を掛けた。そしてちょうど中間ぐらいでしっかりした砂時計に、先日購入したケブラーのシュリンゲを押し込んだ。あまりにしっかりしているので、一回りすることが無く、延長して伸ばす必要が生じたが、一発で通せるのはケブラーの硬直性にお蔭だった。120cm長が欲しくなるところである。

それからリング前のポデストに立ち上がり本格的にピアッツァ流でリングに手が伸びるまでの一歩までは全く技術的に問題とはならなかったのだが、中間支点の楔の設置は不可欠であった。そのようなことでそこまで可成り時間を掛けて登り、いよいよの核心部である。前回の印象ではそのリングから右へ抜けるように登ったのだが、そこは緑色の岩肌で良い足場が見つからない。そこで更にコーナーの割れ目を使って登ることにした。だが肝心の割れ目の中が湿っていて手が馴染まないのである。そしてその上部のとっかかりに指を嵌めないと下方向には荷重が出来ない。そこで初めて上部のバンドの角に手が届くのだ。

試行錯誤の結果、割れ目上部にもう一つ楔を噛まして、被ったバンド状の横に太く走った割れ目に立ち上がってみることにした。勿論立ち上がれなくてひっくり返ると再び頭から転落することになる。一メートル上には割れ目の続きの手掛かりが見えるのだが、立ち上がってそこまで手が届くかどうか。先ずはバンドに手を掛けて上部を調べ、次に肘を掛け体を腰まで持ち上げる所謂マントルシェルフと呼ばれるものでマントルピースの棚に登るのと似ている。但しここでは下が中空になっていないので容易なのだが、立ち上がる動作は上が被っているだけに難しい。

そして左足を先ずは今まで手掛かりとしていた割れ目の突起に掛けて、その間に右足をバンドまで持ち上げ、そこから今度は左足を左方後方にあるバンドの反対側へと乗せるのである。この動作が最も重心が外向くところで下で確保していた相棒は冷や冷やしたようである ― なにせ今年は石切り場で頭から落ちて逆摺りになったことがあるのだ。。

そうして立てたのは良いが、上部が被っているのでエビ澱状態で良くない。もはや左へと足を進めるしかないが、手掛かりが良くなく、右方向へと牽きながら、右足を大きめの手掛かりに乗せるぐらいしかなかった。そして体重を右へと移動して何とか湿った丸い岩角に立ち、もう一つ中間支点を設置して抜けた。

後程懸垂下降しながら観察すると、立ち上がった引き続きの割れ目の手掛かりにもう一つ中間支点の楔を噛ますことで更に上部へとコーナーを登ることが可能なことが分かった。しかし、明らかにこのルートに与えられて難易度は優に超えそうである。今後の楽しみにしたい。あれだけ美しいコーナーを最後の最後に本当のオヴァーハングのマントルで越えられたらどれだけ素晴らしいことだろう!

その後、5.10越えのルートをトップロープで試したが、条件も悪く更に核心部の拳での楔が決まらずに敗退した。如何に湿っていて条件は悪かったかと言うことなのだが、それはそれなりに熟せる実力もついてきたことを実感している。最終的な目標であるアルプスの大岩壁での5.10の登攀のためにはこうした条件でどんどん登って行く経験が役に立ちそうである。嘗ては日本の岩場の悪さが話題になり、乾いた素晴らしいところでの技術的な向上を夢見た訳だが、その次には再びこうした条件の悪さでの熟し方へと戻ってきている。日本の登山家がアルプスでもある程度の成果を上げたのは必ずしも神風の特攻隊精神だけではないのは当然なことなのである。

言い換えると、技術難易度限界域から半スカラーほど落としたところで持続して登れる技術の習得である。今回のそれは中間支点の設置に時間を掛けたが、あとで足が疲れたことは気がついても登るストレスなどはほとんど感じなかった。それを更に進めると、大きな標高差を持続して登る実力となるのではあるが、これがなかなか難しくそれがビックウォールを登る実力となる。



参照:
筋力よりも脳を鍛えろ 2013-09-06 | アウトドーア・環境
ボルダーの素晴らしい環境 2013-10-07 | アウトドーア・環境
ケブラーでしゃっきっと 2013-10-01 | アウトドーア・環境
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