Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

そこから始まる上級志向

2010-09-28 | 試飲百景
怒涛の如くのグランクリュ試飲をして、明くる日の早朝ロカルノへと向った。可也の量をゴックンした筈だけれども、それは最高級のドイツリースリングである、不調をきたすようなことは全く無い。準備もあって前夜が睡眠不足であったので、夜もよく眠れた。

試飲のついでに購入した単純なリースリングを六リッターと三本、お迎えの車に詰め込んだ。現地でも赤ワインを購入したので、ビールと合わせて延べ七人で十分に飲んだ。飲み専門の者が居れば足りなかっただろうが、スポーツ的能力を追及する者にはこれで十分であった。

カビネットの三本は小ワイン試飲会となって、これもそれなりに皆に楽しんで貰った。意外に評判の良かったのがフォン・ブール醸造所のリッターリースリングで、その清潔感溢れる飲み口がやはり地元の者にはその名前といい大変に高級感としての実感を与えたようだ。流石に地元民の質への感受性は恐ろしく高い。

逆に、ミネラルなどのテロワーを強く出すカビネットはその複雑さがある意味の難しさとなったに違いないが、その意味合いは十分に実感して貰った。上の評判の良かったリッターリースリングも毎日のように飲んでいれば、飲み飽きするところから所謂高級リースリングが始まる。

簡単に整理すると次のようになるだろうか。先ずは初心者は「美味いとか不味い」で判断するが、直ぐに愛飲家は「質」に気がつく、そしてそれを繰り返しているうちに初めて「深みとか旨み」に意識が到達するのだろう。要するに、気に入ったワインを最低半ダースぐらいは飲まないことには、高級リースリングは理解できないに違いない。

今回は谷間を登っただけなので日本の岩壁と似ていて特に感慨は無かった。その一つは穂高の屏風岩や谷川岳程度の大きさであったが、上部と下部の岩質が異なりその登攀の内容のキャラクターが全く異なっていたので面白かった。決して難しくは無いのだが、黒っぽい安山岩的な下部と白っぽい千枚岩的な上部の花崗岩摂理の違いは、特に馴れない岩質に気を使いながらまるでダンスのステップを踏むように登る心身ともに気が抜けない下部の後の上部での疲れを感じさせた。そして最後の関門自体が下りの崖道にあるとなると、谷に降りてきたときには冷や汗びっしょりであった。

同じような下部斜面を上へ上へと歩みを進めるのはまさに耐久戦であり、爆発力の必要な上部のそれを十分に楽しむにはそれなりの力の配分が必要だと感じたものである。
コメント
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