Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

待ち焦がれた破局の興奮

2007-12-10 | アウトドーア・環境
原子力発電所の近くの住民に子供の白血病が増えるとの報告が出た。早速ガブリエル環境相は、原子力発電所の環境汚染と健康被害の実態を調査・再検討する方針を打ち出した。

サイエントロジーが漸く禁止となりそうである。ネオナチ団体の禁止もなかなか進まないが、影響範囲が小さく弱い内に禁止することで、虫歯のように根絶してしまうことも重要である。本年開館したベルリン本部には訪れていないトム・クルーズだが、映画撮影の合間にシャルロッテンブルクの教会にはお忍びで通っているという。

戦中世代の戦後西ドイツを代表する作曲家カールハインツ・シュトックハウゼンが死亡したと知った。新聞で大きく報道されることも無く、その訃報には気がつかなかった。晩年の特に「2001年9月11日芸術発言」から、干された傾向がこうした扱いに反映しているかもしれない。

その作風や芸術的価値とその扱いの妥当性についての議論以上に、その問題となった発言を振り返ってみると面白い。ハンブルクの記者会見で、事件直後、彼は語っている。

「あそこで起きた事は、― 今あなたがたは発想を転換しなければいけないのです ― 偉大な芸術であり、それがなされたのです。ある行動をなんでも貫徹することは音楽においてなかなか夢想することが出来ないもので、連中は十年間も狂ったように訓練して一つの演奏会に全てを懸けて死ぬのである。これは、宇宙に存在するものの中で最高級の芸術作品です。想像して御覧なさい、あそこで起きた事を。つまり連中は一つの上演に集中して、一瞬の内に五千人の人々が復活に追い遣られるのです。こんなことは私には出来ません。作曲家としてはお手上げです。想像して御覧なさい。私が一つの作品を創造して、あなた方は驚愕するのみならずその場で死ぬのですよ。死んで復活するのです、なぜならばそれはあまりにも狂っているからです。芸術家の幾人かは、それでも考え得る限界を越えて突き進む可能性を試みているのです。そうして、覚醒して他の世界を開くためにです。」

事件の驚きのなかでの発言としても著名芸術家としてはあまりにも稚拙な表現に違いなく、その後の英文での釈明もその立場からすると全く見当外れである。この芸術家の個性と言えばそれはそれまでだが、ここから少し異なる視点も得る事が出来よう。

つまり、あの事件をお茶の間で観ていて、興奮のあまり手を叩いた善良な市民は世界中に少なくはない筈である。それらはビンラーデンの親派とかイスラム者とは限らず、あのニューヨークの威圧する摩天楼が一瞬の内に瓦礫の山と化す破局は、多くの市民の深層心理において、「未だか未だかと待ち焦がれていたこと」でもあるからだ。そうした、心理をもっとも上手に政治的武器としたのが子ブッシュ政権とその取巻き連中であったことに留意しておけば、その後の世界情勢や今も引き続くテロ対策の全貌を静かに見定めれるのではないだろうか。



参照:
悪夢の特命潜入員 [ 雑感 ] / 2005-09-01
デジャブからカタストロフへ [ アウトドーア・環境 ] / 2005-02-19
核反応炉、操業停止 [ アウトドーア・環境 ] / 2005-05-27
悪は滅びて、善は光り輝く [ 歴史・時事 ] / 2005-09-05
現実的エネルギー政策 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-10-18
温暖化への悪の枢軸 [ マスメディア批評 ] / 2006-11-17
不可逆な一度限りの決断 [ 女 ] / 2006-01-25
人命より尊いものは? [ 生活 ] / 2007-12-06
永遠に続く生の苦しみ [ 文学・思想 ] / 2007-12-09
コメント (3)
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