Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

白い花は黄色かった

2006-08-04 | アウトドーア・環境
高山植物が特に印象に残った。調べてみるとなるほど、石灰質の地盤のドロミテのような地域では、これらの植物が特別に多彩のようである。

ドロミテは、東部アルプスに属して、且つ緯度がヴェニスなどと殆ど変わらない。この事から植生にも特徴があって、その森林限界は高目となっている。実際にあの辺りの峠を車で越えたりすると、その南側と北側でも幾分風景が異なるのに気がつく。

其処では標高1800メートル付近まで森林があるのも不思議ではない。それに続いて、幾らかの草付等が標高2500メートルまで現れる。其処から其処を越えた辺りから本格的な高山植物の領域となる。

高山植物の内でも、ガレた土壌に藻や地衣、コケなどが生えたあとに根を生やすのがパイオニアと呼ばれて、地盤によってその種が決定されるて最初の群が形成される。それ以降は、気候によっての棲み分けがされるようである。

リナリア・アルピナチェラスティウム・ラティフォリウムヴィオラ・チィエニシアフゥチニシア・アルピナラヌンクルス・グラチアリスなどが典型的な石灰のガレに住みつく植物となる。

それらとは別にナルデゥス・ステゥリクタと云われる芝の這える所に引き続き群落を形成する。これらは、その環境によって種別が異なってくると云うことだろう。そうした所に、エーデルヴァイスやエンツィアンなども見つける事が出来る。

本を紐解くと、エーデルワイスなどは氷河期の終わりにシベリアから移住してきたとあり、学問的にそれらの進化の歴史は低地から高地への移動などと共に興味深いものであるようだ。

この分野では16世紀のチューリッヒの植物学者コンラード・ガスナーからパリのガストン・ボニエールへの「進化の歴史」が語られる。そして中世を超えてリネーやハラーの時代までは、「現状に至る創造の特性が固定されていた」と考えられていた訳で、我々が知る進化は考慮されていない。

しかし、その遠大な時系軸における進化とは別に氷河期が終わった一万五千年前以上の植物の移動も考慮して行かなければならないことは触れた通りである。

こうした学術的考察の助けを借りて、ガレの何処其処で見かけた高山植物の紫外線を強く浴びた色合いや風や乾燥に耐えるその形状を脳裏に探し当て、芝の中に群生して咲き乱れる高山植物を思い浮かべる。

因みにエーデルヴァイスの花は黄色で白く星状に広がった部分は花ではないと初めて知った。色違いの星状の部分の異種とは一対何なのだろうか?

ヒマラヤの5400メートル付近まで生息すると云うアルプスを代表するこの花であるが、意外とあまりお目にかかる事はない。因みにカウカス山脈には生息しないと云う。


参照:
遥か昔の空の下で [ アウトドーア・環境 ] / 2006-07-19
ドロミテ行備忘録二日 [ アウトドーア・環境 ] / 2006-07-23
コメント (13)
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