Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ワイン療法の今昔

2005-02-01 | ワイン
今から130年以上前のこと、ダルムシュタットにあったエリザベート・ホスピタルではワイン療法が行われていた。1871年のある6ヶ月間、755人の患者に対して投与された量は以下の通りである。
  • 白ワイン - 4633本
  • 赤ワイン - 6233本
  • シャンペン - 60本
  • ボルドー - 60本
  • ポルト - 60本
これは決してとある大使館の消費量ではない。病院の治療用である。ざっと頭割りしただけでも十分遣っていける。効用は今更上げる必要はないかもしれないが、各々上から順に症例別に、腎臓疾病、下痢、吐き気、不明、貧血症状と投与された。 不 幸 にも全ての症状に苦しむとなると…。ただし、敗血症の熱や結核症、精神衰弱には投与されない。「常時空きベットのなかったこの病院の患者が呑み潰れない限りは、常に朦朧と過ごしていた事が分かる」と、お馴染み男性専門医ディーツ博士。しかしこの様を見て、「医師が誤った治療をしていたとは言えない、なぜならば医学の伝統を継承していただけだから」と云う。現在の抗生物質、鎮痛剤、ホルモン剤の大量投与も、将来からみれば同じように映るというのである。

これらは中世の高名な学者、毒物学の創始者通称パラケウルス氏の有名な定理「全ては毒である。毒でない物はない。ただ適量こそが、それを毒としない。」に準じなければいけない。更に遡ると、アルコールの効用とワインを治療に使った医学の祖ヒポテラクスに辿りつく。しかしそれだけでなくギリシャでは、神話でのワインの多義性が示すように、自由人男性のワイン需要はかなり多かったようだ。しかし「ビールは消費、生産に手間のかかるワインは儀式用」の図式は、既に有ったようである。その反面ビールも、マケドニアなどの一部地域を除いてはもっぱら薬として飲料されていたらしい。

エジプトの葡萄種は、BC3000年以前にカウカズスや小アジアからもたらされたと云われている。ワインの需要は、ファラオーの宮殿などに限られていた。エジプトでは、イジスが葡萄を摘まんで食し、妊娠、ホールスを産んだとされている。BC2000年頃には6種類の葡萄種が存在していた。宗教や葬儀と関わっていた。

そして現代においては、ワインの対症利用は嘗てのようには見做されないが、薬学的な間隙を埋めていると云う。アルコールの特にワインに含まれる葡萄に存在するフラボノール、ケルシトリン、レザーヴァトロルは制癌、血管系や心臓器官に有効であることは広く知られるところである。これら1990年代の研究結果は、助剤としてのワインに再び光を当てた。禁酒するよりも適度に飲酒する事によって、34%も死亡率を下げる事が出来ると云う。休肝日を作り、肝臓を休ませる事が出来れば、心筋梗塞や大腸癌等各種の疾病を防ぐ事が出来る。感染症予防には飲酒が特に薦められる。個人差もあるが一本を二日ぐらいに分けて飲めばよい。更に長寿のためには若い頃から 備 え る ことも当然という。これらの学術研究成果は、あくまでも習慣的なアルコール依存症にならない、肝臓へ負担をかけない量を前提として、個人の分解酵素等の資質等を度外視しての、愛飲家への朗報であるということを断っておかねばならない。
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