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司法書士が書くペット信託ブログ

羽田衝突事故でのペットの犠牲をめぐって

こんにちは、司法書士・ペット相続士の金城です。

 

1月2日の羽田空港衝突事故で、【バルク室】に搭載されていたペット2匹が犠牲になったことに関し、「ペットも一緒に客室に乗れるようにしてほしい」との大きな反響が巻き起こっているようです。

 

JALやANAをはじめ、日本の航空会社では、原則としてペットを客室に載せることはできず、【バルク室】に搭載されます。

しかし、スターフライヤーは、2022年3月27日から一部路線で、ペットを客室に載せることができる【FLY WITH PET】というサービスを提供していました。その【FLY WITH PET】が、2024年1月15日から全路線・全便に拡大されます。

 

ちなみに、動物保護先進国の航空会社を見ると、【ルフトハンザ航空(ドイツ)】【エールフランス(フランス)】【エア・カナダ(カナダ)】【フィンエアー(フィンランド)】【デルタ航空(アメリカ)】などでは、ペットの大きさや種類などに規制はあるものの、原則的にペットも客室に乗ることができます。  

 

日本でもペットと一緒に搭乗できるようになれば、飼主としては安心かというと、決してそうではありません。

 

現状、スターフライヤーは、【ぺットを機内に持ち込む際の遵守事項】として「緊急脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」という旨の事項を定めており、飼主に対して搭乗前の同意を求めています。

つまり、ペットと一緒に同乗できたとしても、緊急脱出時にペットの命は救えないことになります。

 

しかし、飼主にとって、ペットは我が子と何ら変わらない存在です。

仮に、飼主が上記遵守事項に同意していたとしても、いざ緊急脱出となった際に、すぐ真横にいるペットを見捨てて脱出する飼主など存在するのでしょうか。

 

現実的に考えるならば、スターフライヤーのこの遵守事項は全く実効性のない空文に等しいものといえます。

 

この遵守事項が定められている理由は明らかにされていませんが、人命優先という観点から、次の①②のような理由が考えられます。

①緊急脱出時にペットも脱出させるとなると、ペットを入れているケージが乗客脱出の妨げになり、乗客の緊急脱出が遅れる。

②緊急脱出シューターで滑り降りる際、飼主がペットを抱いて滑り降りることは危険。

 

スターフライヤーの規則では、客室搭乗時にペットをケージから出すことは禁止されています。

しかし、緊急脱出時のみは例外として、ペットをケージから出し、飼主が抱いて脱出することを認めれば、上記①の問題は解決できると思われます。

 

また、上記②に関してですが、ペットを抱いた状態で緊急脱出シューターを滑り降りたことにより、飼主が骨折等の大怪我を負ったとします。

しかし、ペットを見捨てて無事に脱出することに比べれば、仮に飼主が大怪我を負ったとしても本望のはずで、上記②は問題にならないと考えられます。

 

なお、緊急脱出時のペットの取扱いについて、欧米系の航空会社であるルフトハンザ航空等のホームページを調べてみましたが、現状では約款等には明記されていないようです。

しかし、今回の羽田空港衝突事故を受けて、緊急脱出時のペットの取扱いをどうするか、すでに検討に入っている航空会社があるようです。

 

スターフライヤーには、「緊急脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」という旨の事項を見直していただき、実効性のある先進的な遵守事項を定めていただきたいものです。

 

スターフライヤーが、ペット同伴サービスを皮切りとして、緊急脱出の際のペット遵守事項についても範を示していただければ、JALやANAをはじめ、世界の航空会社も後に続くことになるのではないでしょうか。

 

今回の事故を機に、ペット保護後進国である日本が、ペット保護先進国の仲間入りをするきっかけになれば、犠牲になった2匹のペットも報われるのではないかと思います。

 

 

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