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アジア・オセアニア地域の通信社が配信する記事から『中国の領土紛争問題』を伝え日本の安全保障などのニュースブログ。

米中が抱える「似て非なる」ジレンマ (ロイタ-)

2013年07月08日 | 中国共産党の市民弾圧と粛清
コラム 米中が抱える「似て非なる」ジレンマ (抜粋記事)
ロイタ-2013年 07月 7日 10:58

JST国際政治学者イアン・ブレマー

 発展途上国では抗議デモの嵐が吹き荒れ、欧州では緊縮策の「酔い」が抜けない中、米国と中国は比較的、優等生であるようだ。米中の成長率はともに堅調さを見せ(過去10年での比較だが)、エジプトやトルコ、ブラジルで見られるような社会不安もない。

しかし両国は、長期的に悪化しかねない解決困難な課題を抱えている。興味深いのはそれが、米国と中国では正反対に起きているということだ。米国では民間セクターの利益が政治システムを支配するが、中国はその逆で、政治家が民間セクターとその富を支配している。

 中略

 中国も似て非なる問題を抱えている。中国では、政治家のカネに対する支配力は絶大だ。政治家やエリート層は国有企業を管理し、そこから富を吸い上げ、自分たちのみならず、一族や友人を裕福にしている。中国の産業は国家が支配しており、故に国家を運営する人たちの財産といえる。

 昨年、国有企業と関連事業は中国の生産高と雇用の半分以上を占めた。米フォーチュン誌が選ぶ2012年のグローバル企業500社の中に、中国本土の企業70社が選ばれたが、そのうち65社が国有企業だった。

 例えば、米議会に億万長者はいないが、中国全国人民代表大会(全人代)には83人いる。ブルームバーグによると、全人代で最も裕福な70人の資産は昨年、米議会の全議員のほか、大統領と閣僚、最高裁判事の資産の合計を上回った。もし中国に属するなら、たとえ中央集権的で腐敗していたとしても、国家資本主義は最高に違いない。

 
 中略


 では、中国の貧困層はどうだろうか。決して裕福とは言えないだろう。中国人の10人に1人は、1日1.50ドル(約150円)相当で生活している。他の新興国では、こうしたことが原因で抗議デモが起きている。

では、中国は汚職に対する国民の怒りをどう鎮めているのだろうか。

 習近平国家主席はとても人気があり、政治腐敗に取り組んでいることのアピールに余念がない。共産党指導部も上層部には害の及ばない地方の役人をやり玉に挙げることで取り締まりに備えている節がある。最富裕層も倹約をしきりにPRしているようだ(中国の外相は公用車をドイツの高級車アウディから毛沢東も乗っていたのと同じ国産モデルに乗り換えた)。

 ただ、こうした行動は間違いなく見せかけだ。一時的に国民の反発を抑えることはできるだろうが、根本的な問題解決には至らない。なぜなのか。それは中国の指導者たちが基本的に問題を解決しようとしていないからだ。何せ問題は彼ら自身なのだから。

 だからといって、中国がこの先、絶望的だと言っているわけではない。根本的に非効率な面はありながらも、中国は米国同様に有力な立場にある。世界の2大経済大国は緩やかな速度で成長を続けており、経済成長は確立された構造的な懸念を覆い隠すかさとなってくれる。米中ともに近い将来に問題を先送りする状況にある。だが、両国ともいずれ、それぞれ最大の問題にぶち当たることになるだろう。それは早ければ早い方がいい

 以下省略



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