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日韓合意、首脳間で履行要請 再交渉には応ぜず 政府 (時事通信)

2017年05月10日 | 日韓紛争
日韓合意、首脳間で履行要請 再交渉には応ぜず 政府
(時事通信 2017/05/10-12:58)

  菅義偉官房長官は10日午前の記者会見で、韓国新大統領に文在寅氏が就任したことを受け、慰安婦問題に関する日韓合意の着実な履行を安倍晋三首相から直接要請する方針を示した。また、文氏が選挙戦で訴えた合意の再交渉には応じない考えを改めて強調した。

 菅長官は日韓合意について「国際社会も、米国をはじめ高く評価している。日韓両国が責任を持って実施していくことが重要だ」と指摘。その上で「韓国側に粘り強くあらゆる機会を捉えて合意の着実な実施を求めていく。(首脳間で)責任を持って進めていこうという話は当然、することになる」と述べた。
 
 首相は同日昼の政府・与党連絡会議で「戦略的利益を共有する隣国として、北朝鮮問題で連携して対処するとともに、未来志向の日韓関係を発展させたい」との意欲を示した。
 
 岸田文雄外相は衆院外務委員会で、「文氏が北朝鮮に融和的という見方があることは承知している」との認識を示す一方、「韓国は戦略的な利益を共有する大切な隣国だ。新政権との間でしっかりと協力を進めなければならない」と語った。


対北朝鮮、韓国新政権と協力 日韓合意の履行要請へ 安倍首相 (時事通信)

2017年05月10日 | 日韓紛争
対北朝鮮、韓国新政権と協力 日韓合意の履行要請へ 安倍首相
時事通信 2017/05/10-01:05)

  政府は韓国大統領選で文在寅氏の当選が確実になったことを受け、北朝鮮の核・ミサイル問題に日韓が連携して対応するため次期政権との関係構築を急ぐ方針だ。安倍晋三首相は9日夜、「できるだけ早い機会に文次期大統領にお目にかかり、共通の関心事項について率直に意見交換できることを楽しみにしている」とのコメントを発表。少女像の撤去を含む慰安婦問題に関する日韓合意の履行も求めていく考えだ。

 首相はコメントで「東アジア地域では、北朝鮮問題への対応をはじめ日韓両国は共通の課題に直面しており、両国が協力することにより地域の平和と繁栄に一層貢献できる」とも強調した。
 一方、対日政策については、新政権の出方を注視する。

 政府は一昨年末、朴槿恵前政権との間で慰安婦問題の「最終かつ不可逆的な解決」で合意した。しかし、昨年末には韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦少女像が設置され、長嶺安政駐韓大使を一時帰国させる事態に発展。政府は合意の履行を迫ったが、韓国側は朴前大統領の友
人をめぐる国政介入疑惑の混乱もあって対応できず、これ以降ぎくしゃくした関係が続いている。
 
 韓国世論は合意への反発が強い。文氏は選挙で合意見直しに向けた再交渉を訴えており、就任早々、日本政府に対して要求してくる可能性が高い。しかし、日本側でも自民党の保守系議員を中心に合意への批判がくすぶり、安易に妥協すればその矛先が首相に向かいかねない。日本政府は「再交渉は国内的には厳しい」(政府関係者)として応じない方針だ。
 
 首脳間の信頼関係づくりには、実際に顔を合わせての会談が欠かせないが、慰安婦問題が足かせになって調整が難航する可能性もある。日本政府関係者は、早くて7月にドイツで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議か、9月の国連総会に合わせての開催になるとの見通しを示した。

未来志向の日韓関係を 文氏に早期会談呼び掛け 安倍首相 (時事通信)

2017年05月10日 | 日韓紛争
未来志向の日韓関係を 文氏に早期会談呼び掛け 安倍首相 
時事通信 2017/05/10-00:50)

  安倍晋三首相は9日夜、韓国大統領選で文在寅氏の当選が確実になったことを受け、同氏に祝意を示すコメントを発表した。首相はこの中で「日韓両国は戦略的利益を共有する最も重要な隣国」と指摘。「今後、文次期大統領と共に手を携えて、未来志向の日韓関係を幅広い分野で発展させていきたい」と意欲を示した。
 首相はまた、北朝鮮の核・ミサイル問題をめぐる日韓協力に期待を表明。「できるだけ早い機会にお目にかかり、共通の関心事項について率直に意見交換できることを楽しみにしている」と、早期の首脳会談を呼び掛けた。 


韓国新大統領に重い課題、成長モデル再構築できるか ( ロイター)

2017年05月10日 | 第二次朝鮮戦争と韓国の内政問題
コラム 韓国新大統領に重い課題、成長モデル再構築できるか
ロイター2017年 05月 10日 08:53 JST

 
Jun Yang

[香港 9日 ロイター BREAKINGVIEWS]

  韓国大統領選が9日に投開票され、最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が当選した。これで韓国の北朝鮮に対する姿勢は和らぎ、何カ月も続いた国内の政治的混乱も収束する。だが文氏は、二極化した国民を結束させて韓国にぜひとも必要な成長モデルの再構築を推進していかなければならない。新大統領はすぐにそうした課題がいかに重いかを実感するだろう。

 有権者が、朝鮮半島の緊張緩和を希求する左派の文氏になぜ引き寄せられたのかは理解しやすい。9年にわたる保守政権下で韓国社会の格差は拡大。サムスン電子(005930.KS)などの巨大企業の経済支配力が強まり、10大グループが国内総生産(GDP)の3分の2を生み出すまでに至った。一方で経済成長率は3%未満まで減速し、若者の失業率は10%を超える。そして「縁故資本主義」がはびこり、これが朴槿恵(パク・クネ)前大統領の失脚につながった。

 文氏は大統領職を直ちに引き継ぎ、5年の任期中にいくつかの改革を実行するのは間違いない。かねて提唱しているのは北朝鮮との関係改善で、ほぼ10年前に放棄された「太陽政策」が復活すると目されている。北朝鮮に外交的、経済的に関与していくという太陽政策に対する主な批判は、北朝鮮に核開発の資金を支援する結果になったというものだ。

 しかしこれまでの北朝鮮を孤立させる政策も、金正恩体制の望ましい振る舞いにつながっていない。それどころか態度をさらに硬化させ、危うい瀬戸際外交を招いている。 どの道、北朝鮮が頭痛の種であるなら、再び平和路線を試みる価値はある。こうした政策は、北朝鮮との大規模衝突があり得ると発言し、今後どう出るか読めない危険人物というべきトランプ米大統領に対する緩衝材になれる。

 北朝鮮情勢が一服すれば、文氏は国内の問題に力を振り向けられる。同氏は創業者一族が経営する財閥の解体を約束し、少数株主の経営への影響力強化を提案している。大企業への依存度を減らす構造改革を円滑に進める上で必要な財政政策の発動余地もある。

 それでも文氏は、これらの措置を軌道に乗せるには、議会の保守派勢力の支持を得る必要が出てくる。保守派はなお議会で大きな発言力があり、文氏の改革に抵抗する公算が大きい。

 韓国国民が大統領選で下した判断は至極妥当であるとはいえ、文氏は前任者の残影を排し、自ら光り輝くためには相当な苦労を強いられるだろう。

韓国大統領選の本命文在寅氏、経済回復重視の穏健路線か (ロイター)

2017年05月10日 | 第二次朝鮮戦争と韓国の内政問題
焦点 韓国大統領選の本命文在寅氏、経済回復重視の穏健路線か 
ロイター2017年 05月 9日 17:55 JST)(Christine Kim記者)


[ソウル 8日 ロイター]

  韓国大統領選挙で最有力とみられている文在寅(ムン・ジェイン)候補は、消防士や教師、警察官の採用を増やすと公約しているが、最重要の目標は、アジアで4番目の規模を誇る同国経済の脆弱な回復を守ることだ。

 文氏は8日投開票の大統領選で本命視されており、9年ぶりの革新系大統領になるとみられている。ただ、増税に踏み切るなど、保守政権の政策を根本的に変える可能性は低いとエコノミストは予想する。

 文氏が経済政策顧問として抱える保守系エコノミストの金光斗(キム・クァンド)氏は、新政権において首相や閣僚に任命される可能性があるとメディアは報じている。文氏のアドバイザーの中には、金氏と同様、減税と規制緩和を長年主張してきた人物がいる。

 文氏の選挙運動に深く関わった関係者は、文氏が、弱い経済回復を傷つけないよう慎重に行動するだろうと指摘。政策の大転換が当面行われなければ、市場には好材料となる。

 だが保守的な政策を継続すれば、文氏が公約する年間50万の新規雇用の創出は難しくなる可能性があり、重要な有権者層に影響するだろう。韓国統計庁によると、15─29歳の就労可能な国民の11%以上が3月に失業しており、国全体の失業率の4.2%を大きく上回っている。

 「文氏は、他の候補者よりもリベラルには見えない。当初は急進的なことをやろうとしていると思ったが、現在は方針を変更し、市場の安定を重視しているようだ」と、メリッツ証券の首席エコノミスト、スティーブン・リー氏は話す。「軟着陸を目指しているようだ」
 最近の経済統計では、輸出は6カ月連続で増加、第1四半期の経済成長率も上昇しており、中央銀行と政府は経済見通しを上方修正した。

 文氏が率いる最大野党「共に民主党」の389ページに及ぶ選挙マニフェストのうち、新規雇用などの社会保障政策向けの財源確保について割かれた箇所はわずか4ページ。それも「富裕層への課税強化」や「不公平な行為に対する罰金強化」などの曖昧な説明に終始していた。


文氏は過去数回の討論会で対立候補から、何万もの新規雇用創出に必要な財源をどう手当てするのか何度も質問されたが、詳細な説明はせず、新たな税金の創設にも言及しなかった。

法人税や所得税の税率を幅広く引き上げるよりも、文氏は富裕層や最上位の給与所得者に着目すると、同氏の選挙アドバイザーは話す。

「政策の基盤はリベラルだが、実行方法は穏健だ。(文氏陣営は)有権者の主流派を心配させたくないからだろう」とある政府高官は指摘する。この高官は、政権移行を円滑にするため、各候補の公約を検証して政策を練る作業を担当している。

<朴氏の元アドバイザー>


 文氏の経済政策を担う金氏は、2012年の大統領選で保守派の朴槿恵(パク・クネ)前大統領のアドバイザーを勤め、同氏の減税や法人規制改革などの公約を立案した。

 朴氏は3月、汚職スキャンダルを巡り罷免された。

 金氏は最近のロイターのインタビューで、昨年文氏から誘いを受けて選挙陣営に入ったとした上で、文氏の経済再生にかける「本物の誠意」に感銘を受けたと話した。今回の記事の取材には応じなかった。

 西江大で教授を務める金氏は、地元メディアでは頻繁に首相や閣僚候補として名前が挙がっている。同氏は、朴政権では公職につかなかった。


ほかに文氏に助言するのは、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で経済補佐官を務め、世界銀行やIMFにも勤務した趙潤濟(チョ・ユンジェ)教授と、過去20年にわたり株主の権利を使ってチェボル(財閥)改革をを求める活動を続け、「チェボルの狙撃手」として知られる金尚祚(キム・サンジョ)教授だ。チェボルは、韓国の同族経営による強力な複合企業体を指す。

 趙氏は、政府ではなく市場が経済を主導すべきだという考えの持ち主として知られる。

 両氏の名前は、政府要職の有力候補として地元メディアに取りざたされている。

 文氏の経済チームは、米国などで保護主義的な傾向が強まるなかで、まだ弱々しい経済の回復を軌道に乗せ、高い若年層の失業率や、拡大する家計負債、急速に進む高齢化に対応しなければならない。
朴前大統領が複合企業体から不正に資金を拠出させたとされる政治スキャンダルの後だけに、チェボルの改革も優先課題となる。

文氏は、チェボルの過剰な権力を制限し、株主本位の企業ガバナンスを促進すると約束している。だが、チェボルは韓国経済の約半分を担っているとの推計もあり、一部で期待されているほどの強硬な改革は実現できない可能性もある。

「文氏は、穏健派の有権者を取り込むことに集中しており、以前行った強硬な発言のトーンを弱めている。急進的な経済改革はないだろう」と、カトリック大のYang Jun-seok教授は指摘する。

どうなる韓日関係 最大の課題は慰安婦問題 韓国新政権  (聯合ニュース)

2017年05月10日 | 日韓紛争
どうなる韓日関係 最大の課題は慰安婦問題 韓国新政権
(聯合ニュース2017/05/10 04:21)

  【東京聯合ニュース】

 9日に投開票が行われた韓国大統領選で進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の文在寅(ムン・ジェイン)候補が勝利し、朴槿恵(パク・クネ)前政権時代に行き詰まりを見せた日本との関係に変化が生まれるか注目される。

 昨年末に釜山の日本総領事館前に旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する少女像が設置され、日本政府が長嶺安政・駐韓日本大使を一時帰国させるなどの対抗措置を取ったことで悪化した両国関係は、新政権の発足によってしばらくの間、調整の局面を迎える見通しだ。

 朴前大統領の罷免以降、対日外交が事実上全面中断した状態だったため、新政権では外交・安全保障ルートを構築しながら対日政策も全般的に見直すとみられる。 

 問題は、今後の両国関係において関係強化の好材料と悪材料が共存している点だ。

 北朝鮮の核実験や相次ぐ弾道ミサイルの発射を巡っては両国の協力が必要であり、文新政権と安倍政権との連携のきっかけになるとみられる。

 北朝鮮の核・ミサイル挑発の脅威により朝鮮半島を巡る国際情勢の不透明性が高まっており、日本政府は文新政権と緊密に協調して北朝鮮の脅威に対応していく方針だ。


 安倍首相は9日、衆議院予算委員会で「北朝鮮の脅威に対処するために(韓国の)新大統領と日韓および日米韓で安全保障面での協力を進める方針で一致したい」と述べた。

 また、安倍氏は早期に新大統領と電話会談を行いたいとの意向を示した。安倍氏の方から先に、文新大統領との対話を通じた関係改善に乗り出す姿勢を見せたといえる。

 北朝鮮への対応と、昨年日本での開催が実現しなかった韓中日の3カ国首脳会談の開催のために韓国の協力が必要なことも反映されたものとみられる。

 木宮正史・東京大大学院韓国学研究センター長は聯合ニュースのインタビューに対し、韓国と日本は対北朝鮮問題、経済事案などの分野で協力しなければならず、協力できる関係だと述べた。文氏の選択によって、両国関係はさまざまな分野で改善可能だという見方だ。

 しかし、両国関係の改善には障害物も少なくない。2015年12月末の朴前政権での慰安婦問題を巡る両国の合意が代表的な例だ。

 文氏は選挙期間中、慰安婦合意の再交渉が必要との立場を取ってきた。3月に釜山で開かれた講演では「日本の法的責任と公式謝罪が含まれない合意は無効であり、正しい合意がなされるよう日本との再交渉を促す」「政権交代すれば、合意が拙速に行われた経緯をきちんと究明しなければならない」と述べた。

 一方、日本政府は再交渉の可能性を否定しており、文氏側と日本政府の立場は全面的に対立している。菅義偉官房長官は大統領選当日の9日、定例会見で慰安婦合意について言及し、「韓国側に対して粘り強く合意の実施を求めていく」と主張した。


  毎年のように繰り返される歴史教科書の独島挑発、外交・防衛白書での独島領有権の主張、戦争可能な国家にするための安倍首相による改憲の動きなど、悪材料も多い。

 安倍氏が2020年の施行を目指すと公言した改憲については、早ければ年内にも衆議院解散・総選挙が実施される可能性が少なくない。

 安倍氏はこれまで支持率が下落の動きを見せると、北朝鮮や韓国を刺激して保守層の結集を図り、局面の打開を試みてきた。

 日本政府は文新政権の発足に合わせて対話と両国関係の改善を掲げているが、日本国内の政治状況によって態度を変える可能性も排除できない。

 静岡県立大大学院の奥薗秀樹・准教授は朴前政権の前半期のように、歴史と慰安婦問題によって両国関係を停滞させてはならないとして、慰安婦問題のせいで安保、経済も協力できないという姿勢には問題があると指摘した。

 早稲田大大学院の李鐘元(イ・ジョンウォン)教授は「歴史問題については日本が再交渉を拒否しており、引き続き問題提起するしかない」とし、「実現の可能性はあまりないが、原則論を強調しながらも政治、経済、対北朝鮮問題について関係回復を図る必要がある」と提言した。

韓国大統領選 文新政権 対北朝鮮・外交・安保で難題山積 (聯合ニュース)

2017年05月10日 | 第二次朝鮮戦争と韓国の内政問題
韓国大統領選 文新政権 対北朝鮮・外交・安保で難題山積
(聯合ニュース 2017/05/10 02:41)

【ソウル聯合ニュース】

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)新政権は朝鮮半島情勢が緊迫する中、約20年間にわたる北朝鮮の核問題を解消し、北朝鮮の挑発に対応する抑止力を確保しながら、交流の再開も図らなければならないという複合的な課題を抱えてスタートすることになる。

ま ず、最大の安全保障問題として、国の生存に直結する北朝鮮の核問題を国際社会と連携しながら解決しなければならない。

 韓国政府当局は北朝鮮の核兵器が5回の核実験を通じて実戦配備の直前の段階にあると判断している。精度は確認できないが、すでに韓国全域を攻撃できるほどの核兵器の小型化と運搬手段の開発に成功したとの見方が出ている。

 一方、チャンスの扉も開かれている。「最大の圧力と関与」を掲げた米トランプ政権は北朝鮮の核問題を最優先の安保懸案に位置づけ、中国の積極的な賛同を引き出し、米中の連携の動きが進んでいるためだ。

 外交関係者らは文政権が過去、北朝鮮との和解・協力政策を展開した金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の路線を継承することから、制裁・圧力に注力した朴槿恵(パク・クネ)前政権とは異なる政策を打ち出す可能性に注目している。 海外メディアは対北朝鮮制裁・圧力を掲げるトランプ政権との連携に支障が出るとの懸念を示している。

 こうした指摘を受け、文氏は先月27日の討論会で、「北が核を凍結してから交渉のテーブルにつくなら、(南北経済協力事業の)開城工業団地と金剛山観光を再開できる」としながらも、「対話ムードがつくられなければ再開も難しい」と述べ、慎重な姿勢を示した。


  ただ、文政権が米国や中国など主要国が賛同できる最適な解決策を打ち出せるかどうかについては期待と懸念が交錯する。文氏の外交安保公約によると、文氏は「韓国が主導し、北と米国を含む関係当事国の同時的な行動を引き出す」として、「中国の役割に依存することなく、韓国の役割を実践的な戦略とし、政策の枠組みをつくり直さなければならない」との姿勢を示した。

 その上で、「完全な核放棄や非核化とともに、(米朝)平和協定の締結を包括的に推進しなければならない」として、非核化と平和協定締結交渉を並行して進めるよう求める中国と同様の主張をした。

 文氏は公約で「(対北朝鮮包容政策の)『太陽政策』を発展的に継承し、北の変化を戦略的にけん引していく」との構想を明らかにした。李明博(イ・ミョンバク)政権と朴政権で停止された南北交流事業の再開は、国内の世論が容認する水準を超えることなく、国際社会とも歩調を合わせなければならない。

 主要4カ国(米国・中国・ロシア・日本)とは、米中との関係を安定的に維持する一方、日ロとも朝鮮半島の平和と南北統一に貢献する方向で関係を発展させていかねばならない。

 とりわけ、安保と経済に大きな影響を与える韓米同盟と韓中協力を並行していくことが新政権の外交の重要課題となる。


 米国との関係では難題が待ち受ける。朴政権末期の約5カ月間の首脳空白期間に、朝鮮半島を巡る議論で韓国が外される「コリア・パッシング」への懸念が浮上した。米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備をめぐっては、トランプ大統領が韓国へ費用負担を求める発言をし韓国内で波紋を呼んでいる。これらの懸案を円満に解決し、韓米同盟を堅調に維持しなければならない。

 THAAD配備問題でぎくしゃくしている中国、旧日本軍の慰安婦問題などで冷え込んでいる日本との関係を修復することも重要課題となる。THAAD配備を受けた中国の報復措置を中断させるため、習近平国家主席との信頼関係構築が必要との指摘が多く、中国に特使を派遣し、早期の首脳会談を推進する必要があるとの声が出ている。

 対日外交では慰安婦合意に反対する国内の世論と、日本との関係を改善しなければならない戦略的な必要性の間で接点を見いだせるかどうかが注目される。

 慰安婦合意の再交渉を主張していた文氏は先月中旬、中央選挙管理委員会に提出した10大公約で、「慰安婦など歴史問題に原則的に対応」と表明して慎重な姿勢を示したが、政権初期に強行な対日世論を乗り越えられるかどうかは未知数だ。