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アジア・オセアニア地域の通信社が配信する記事から『中国の領土紛争問題』を伝え日本の安全保障などのニュースブログ。

日ロ安保協議を4日開催 (時事通信)

2016年07月01日 | ロシアのニュース
日ロ安保協議を4日開催
時事通信 2016/07/01-11:50)

 外務省は1日、安全保障に関するロシアとの初の高官協議をモスクワで4日に開催すると発表した。石兼公博同省総合外交政策局長とリャブコフ外務次官が出席する。 
 日ロ安保協議は、4月の外相会談で合意した。安保政策をめぐり相互の信頼性を高め、北方領土問題の進展につなげる狙いがある。日ロ間では2013年に外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開催されたが、ロシアのクリミア併合などを受け中断している。


「南シナ海」仲裁裁判 中国が不利な判断に備え対策検討 (NHK NEWSWEB)

2016年07月01日 | 安全保障と南シナ海紛争
「南シナ海」仲裁裁判 中国が不利な判断に備え対策検討
 NHK NEWSWEB 6月30日 19時10分


 南シナ海を巡っては、ほぼ全域に自国の管轄権が及ぶと中国が主張しているのに対して、フィリピンが「国際法上、認められない」として国連海洋法条約に基づいて仲裁を申し立て、オランダのハーグで行われてきた仲裁裁判の判断が来月12日に示される予定です。
日中の外交関係筋がNHKに明らかにしたところによりますと、ことし3月下旬、北京で、国家海洋局や外務省の幹部、それに国際法などの著名な専門家ら20人余りが出席して仲裁裁判への対応策が話し合われたということです。

 この中で、国家海洋局の幹部は中国に不利な内容の判断が示される可能性が高まっているとの見方を示し、「幻想を捨てて準備するよう」呼びかけたほか、外務省の幹部も裁判の行方を楽観できないという見方を示したとしています。

 これを受けて、国家海洋局の幹部や専門家からは、判断が示される前に中国による支配の既成事実化を急ぐため、フィリピンのルソン島に近いスカボロー礁に人工島を造成するとか、南沙諸島(英語名・スプラトリー諸島)でフィリピンが実効支配しているセカンド・トーマス礁を奪い取るべきだという意見が相次いだほか、南シナ海に防空識別圏を設定すべきだという意見も出たということです。

 一方、中国外務省の幹部はフィリピンに続いてベトナムやインドネシアなどが仲裁手続きをとることへの懸念を示したということです。
これに対して専門家からは、中国が東南アジア諸国との間で策定作業を進めている南シナ海での法的拘束力を持つルールに第三者の介入を認めない条項を追加して、仲裁手続きへの道を封じるという対応策が示されたとしています。

 会議でのやり取りからは、中国政府内に強硬な対応を求める意見と外交交渉を通じた解決を目指すべきだという意見があることがうかがえ、この会議を受けて、中国指導部が具体的にどのような対応をとっていくかが焦点です。


仲裁裁判とは

 この仲裁裁判は、南シナ海のほぼ全域の管轄権を主張する中国に対して、フィリピン政府が、国際法上、認められないとして2013年1月国連海洋法条約に基づいて仲裁を申し立てたものです。

 国際司法裁判所では、裁判を始めるには原則として当事国双方の同意が必要ですが、国連海洋法条約に基づく仲裁裁判は双方が条約を締結しているとどちらか一方の申し立てでも仲裁手続きが行われることになっています。
フィリピンの申し立てを受けた仲裁裁判はオランダのハーグで行われ、これまで3年にわたって仲裁手続きが進められてきました。

 中国はこれまで仲裁裁判所に管轄権はないと主張してきましたが、仲裁裁判所は去年10月、フィリピンの申し立ての一部を認め、裁判所が審理を管轄するとして中国側の主張を退け、来月12日に判断が示されることになっています。
仲裁裁判所の判断は当事者の間で法的拘束力を持ちますが、従わなかった際の罰則規定はありません。


中国政府の主張

 この仲裁裁判について、中国政府は「受け入れも参加もしない」という立場を繰り返し表明しています。中国外務省の担当者は先週、国営の新華社通信のインタビューに答える形で、その理由を「3つの『ない』でまとめることができる」と説明しています。
 1つめの「ない」は、「フィリピンは法を重んじない」です。フィリピンの申し立ての内容は、実質的には南シナ海の一部の島の領土主権の問題に関わるもので、国連海洋法条約の適用範囲を超えているとしています。また、フィリピンは中国との協議を経ず、一方的に仲裁の申し立てを行ったのであり、このことも国際法や中国との過去の合意事項などに反していると主張しています。

 2つめの「ない」は、「仲裁裁判所には管轄する権限がない」です。今回の申し立てはフィリピンの違法行為の上に起こされたものにもかかわらず、仲裁裁判所が国連海洋法条約を曲解し、みずから権限を拡大して審理を強行しており、こうしたやり方は国際法違反だと述べています。

 3つめの「ない」は、「仲裁裁判所の判断に効力はない」です。法に反したフィリピンと法を曲解した仲裁裁判所の共謀によって出される判断には当然、法的効力はなく、南シナ海の島々やその周辺海域に中国が主権を有するという歴史と事実は変えようがないし、中国の権利に影響は及ばないと強調しています。


 専門家「中国は主張が国際法上弱いと認識」

 今回の会議について、南シナ海の問題に詳しい日本国際問題研究所の小谷哲男主任研究員は「中国は南シナ海で九段線に基づいた主張をこれまで繰り返してきたが、今回の議論を見るかぎり、その主張に国際法上の根拠がないことを半ば認めている。国際法上の主張が弱いと認識しているのが分かり非常に興味深い」と指摘しました。

 また、中国が対抗措置を検討していることについては、「中国は、対外的に自分たちの主張を押し通すだろう。また、仲裁裁判の内容が中国に不利なものであれば国内世論が大きく反発する。中国は、その反発を抑えるためにも実効支配の強化を国内に見せる必要があると認識している」と分析しました。

 そのうえで、30日、フィリピンでドゥテルテ大統領が就任したことに触れて、「3月の時点では、当時のアキノ政権が中国に対して強硬だったので懲罰を与えようとする議論をしているが、ドゥテルテ大統領は中国に対して交渉の用意があるという発言を繰り返しているので、経済的な協力を通じてフィリピンを懐柔しようとするだろう」と述べ、経済協力をてこにフィリピンの動きを抑え込もうとする可能性があると指摘しました。


 中国主張の「九段線」とは

 中国のいわゆる「九段線」は南シナ海を囲うように点々と描かれた9つの線のことで、中国の地図などで用いられています。
1950年前後から中国の地図に描かれたとされ、中国南部の海岸線からベトナムやフィリピン、それにマレーシアの沿岸まで南に張り出して描かれ、その内側には西沙諸島(英語名・パラセル諸島)や、南沙諸島(英語名・スプラトリー諸島)などが含まれています。

 2009年に中国は「九段線」を描いた地図と文書を国連に提出し、「中国は南シナ海の島々と周辺の海域に議論の余地のない主権があり、関連の海域と海底に主権的権利と管轄権がある」と主張しました。
しかし、その国際法上の根拠は明らかでないうえ、9つの線の位置や長さも地図によって異なると指摘されています。

南シナ海問題で来月仲裁判断、中国拒否なら「無法国家」の声も (ロイター)

2016年07月01日 | 安全保障と南シナ海紛争
南シナ海問題で来月仲裁判断、中国拒否なら「無法国家」の声も
ロイター 2016年 06月 30日 16:40 JST

 
[北京/アムステルダム/ワシントン 30日 ロイター]

  オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は29日、南シナ海の約90%に主権が及ぶとする中国の主張に反発してフィリピンが提訴した仲裁手続きについて、7月12日に判断を下すと発表した。

 これに対し、中国外務省の洪磊報道官は「仲裁裁判所はこの問題で裁判権を持たず、審理を開いたり、裁定を下したりすべきではないことをあらためて強調する」と反発。「フィリピンが一方的に提訴したことは国際法に反している」と述べた。

 また、「海をめぐる領域や紛争の問題について、中国は第三者による解決策、強制された解決策はいかなるものであっても受け入れない」と表明した。

 一方、フィリピンのコロマ大統領府報道担当官は「地域の平和と安定を促進する、公正かつ公平な判断を期待している」と述べた。

 米国務省のリッチー・アレン報道官は、米国は仲裁裁判所を支持すると強調。「われわれは平和的な南シナ海の紛争処理を支持する」とした。

 中国国営メディアの新華社は、仲裁裁判所について「法の侵害」だとし、今回のケースは南シナ海の領有権問題を悪化させるだけだと主張。「フィリピンは、そのような仲裁が南シナ海でさらなる問題を引き起こし、当事国の利益に少しもならないということを理解していない」としている。


 九段線

 中国は、いわゆる「九段線」を基準に自国の領有権を主張している。九段線は東南アジア中心部の海にまで広がっており、その範囲内には各国が領有権を争う多くの島嶼(とうしょ)や岩礁、豊かな漁場、石油やガスの鉱床が存在する。


 フィリピン側の弁護団を率いるポール・ライクラー氏は、フィリピンに有利な判断が下されることをまったく疑っていないとし、中国に不利な裁定は「中国から主張の法的根拠を奪う」ことになると、ロイターに語った。

 さらに同氏は、仲裁裁判所による裁定を拒否することは、中国が法の支配を尊重しない「無法国家と宣言しているようなもの」との見方を示した。

 フィリピンは2013年、中国の主張が国連海洋法条約(UNCLOS)に違反し、同条約で認められた200カイリの排他的経済水域(EEZ)に含まれる南シナ海で開発を行う自国の権利が制限されているとして、仲裁裁判所に提訴した。

 一部の東南アジア諸国が、統一された前線を築こうとする米国の努力に応じるべきか、二の足を踏む兆候がみられる一方で、ベトナムやインドネシア、マレーシアといった領有権を争う他の国々からも、裁定に従うよう求める圧力に中国は直面することになると、ライクラー氏は予測する。

 「無秩序な無法状態をつくり出すことからは、得るよりも失うことの方が大きいということに、中国は気づくようになるだろう」と同氏は述べた。

しかしフィリピンにとって南シナ海の領有権問題が重大である一方、優先事項は国内のイスラム武装勢力の壊滅だと、同国の新国防相に就任したデルフィン・ロレンザーノ氏はロイターに語った。


 同氏の発言は、南シナ海問題をめぐるドゥテルテ次期大統領の方針に対する不透明感をさらに増すものだ。ドゥテルテ氏は中国と相対すると語る一方で、対話を通じて関与するとも述べている。


 米当局者らは、中国に不利になるとみられている裁定に対し、同国が2013年に東シナ海で行ったように、南シナ海でも防空識別圏を設定するというような反応を示すことを懸念している。また、南シナ海で人工島の建設や要塞化を強化するような態度に出ることも考えられる。

 そのような中国の動きに対し、米国は、外交的圧力に加え、東南アジア諸国への防衛支援とともに、米艦船による「航行の自由」哨戒作戦や米戦闘機による上空通過を、さらに加速させて対応することが可能だと、米当局者らは語る。

 仲裁裁判所の判断を控え、南シナ海をめぐる緊張が広がっている。インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、同国領ナトゥナ諸島付近の海域での海底油田探査や商業的漁業の拡大を命じた。ナトゥナ諸島では、インドネシア海軍の艦艇と中国漁船との間で衝突が発生している。