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アジア・オセアニア地域の通信社が配信する記事から『中国の領土紛争問題』を伝え日本の安全保障などのニュースブログ。

日印原子力協定が大詰め 核実験、再処理の扱い焦点 (時事通信)

2015年12月10日 | インド・南アジアニュース
日印原子力協定が大詰め 核実験、再処理の扱い焦点
時事通信 2015/12/09-19:21)

 安倍晋三首相の11日からのインド訪問を前に、原発輸出を可能にする日印原子力協定交渉が大詰めを迎えている。合意すれば、核拡散防止条約(NPT)非加盟国とは初めてとなる。日本の原子力技術の平和利用を担保するため、インドが核実験を再開した場合の協力停止や、インド側が求める再処理の条件をどう盛り込むかが焦点だ。

 外務省幹部は9日、「折り合っていない部分があり、そこが埋まらなければ今回は見送りだ」と述べ、交渉は予断を許さないと指摘。4日に東京都内で開いた外務次官級協議に続き、8日には大菅岳史アジア大洋州局審議官をインドに派遣した。

 日印両政府は2010年に交渉を開始。インド側は電力需要の急増を踏まえ、日本の原発技術に大きな期待を寄せる。一方、安倍政権も原発輸出を成長戦略の柱と位置付けるが、インドはNPT体制を否定して2度の核実験を行っており、「核廃絶」を国是とする日本の立場とどう整合させるかが課題だ。

 交渉の焦点は、インドが核実験を再度行った場合のペナルティーを協定にどう反映させるかだ。インド側は1998年から続く核実験の一時停止(モラトリアム)を「自主的なもの」と主張、08年の米印原子力協定でも協力停止の明記を拒んだ経緯がある。しかし、日本側は核を忌避する国民感情などから「米印とは事情が大きく違う」(政府関係者)として、協力停止を何らかの形で担保したい考えだ。

 また、インドが核燃料サイクルを進めるため、日本の資機材を使った再処理を認めるよう求めていることも難題だ。日本は核不拡散の立場から、各国との原子力協定で相手国に再処理を禁じている。ただ、米国はインドに対し、国際原子力機関(IAEA)の査察下に置くなどの条件で再処理を容認した。日本も、再処理した核物質の厳格管理などを条件に、インド側との接点を探っているとされる。


インド特化の円借款制度創設へ 日印、都市鉄道建設で大筋合意  (時事通信)

2015年12月10日 | インド・南アジアニュース
インド特化の円借款制度創設へ 日印、都市鉄道建設で大筋合意
時事通信 2015/12/09-19:03)

 【ニューデリー時事】

日印両政府がインドのメトロ(都市鉄道)建設事業に特化した新しい円借款制度の創設で大筋合意に達したことが9日、分かった。特定の国を対象にした円借款制度は異例。「特別な戦略的グローバルパートナー」に位置付けるインドとの経済連携を強めるとともに、同国のインフラ分野で「タイド(ひも付き)」型支援の適用事例を増やすことによって、日系企業が事業を受注しやすい仕組みをつくるのが狙いだ。
 
安倍晋三首相は11~13日に首都ニューデリーとヒンズー教の聖地バラナシを訪問する。インドの新幹線方式導入で合意するほか、防衛装備品・技術移転協定や情報保護協定に調印する見通し。南シナ海やインド洋で影響力を拡大する中国を意識し、経済、安全保障の両面で協力を強化する。
 
関係者によると、通称「修正STEP」と呼ばれる円借款の新制度は、既存の「本邦技術活用条件(STEP)」のローン適用条件をインド向けに緩和した。事業の主契約者が日本企業かインド企業、日印による共同事業体(JV)のいずれかであれば、供与条件を満たす。
 
STEPでは、主契約者を日本企業、あるいは日本企業を主幹事とする借り入れ国企業とのJVだけに絞っていた。
 新制度でもSTEPと同様、借り入れ国は日本製の資機材を契約額の3割使用することが義務付けられるが、通常の円借款より低い年率0.3%の金利で融資を受けられる。
 
インドは最大の円借款供与先で、日本はインドの主要6都市におけるメトロ建設事業に累計1兆円以上の円借款を供与してきた。だが、インドがタイド型支援を敬遠したため、STEPの適用はほぼ皆無。このため、韓国などの企業が受注するケースが相次いでおり、日本企業に恩恵をもたらさない円借款の在り方に疑問の声が上がっていた。