安倍首相、積極的な外交政策について語る WSJ会見 (抜粋記事)
ウォールストリートジャーナル
2014 年 5 月 27 日 06:39 JST
By GERARD BAKER And JACOB M. SCHLESINGER
前文省略
5月15日、自衛隊に課されている厳しい制限の緩和につながる憲法解釈変更案を進める計画を発表したが、これによって今までで最も激しい議論が巻き起こっている。安倍首相の目標は、アジアの秩序を保つ上で、日本を米国のより対等なパートナーにすることだ。米国防総省が予算削減に直面する一方で中国が国防費を増やしており、米国は日本に立ち位置の変化を促している。
首相はインタビューで、「国民には理解しにくい課題であり、強い反対があることは認めざるを得ない」と述べた。
日本では無力で短命の首相が相次いだが、安倍政権は珍しく安定しており、首相の人気も高い。安倍首相が総裁を務める与党・自由民主党は衆院選と参院選で圧倒的勝利を収め、両院で大多数の議席を獲得した。だが首相の権力と人気は、長期にわたる景気低迷からの脱却を目指す経済政策「アベノミクス」によるところが大きい。
集団的自衛権の行使容認によってアジアで日本が米軍を支援する能力をどのように高めるかという質問に対しては、首相は連立を組む穏健派の公明党に不安を抱かせることなく、米政府を満足させるようなメッセージを作り上げるのに苦慮している様子だった。首相は「今、具体的に答えるのは困難だ」としたうえで、「(日米という)同盟国の力を合わせてそれが(アジア各地の脅威に対する)抑止力になっている。その考え方のもとに日本近海で発生するさまざまな出来事にどう対応していくか、という観点からも議論を進めていくことになると思う」と語った。
すでに安倍首相は日本の役割強化に動いている。南シナ海で起きている中国との領有権紛争では、フィリピンとベトナムを支持する公式声明をたびたび発表。尖閣諸島をめぐって中国と対立する日本の立場との類似点を示唆してきた。
これに対し中国は反発。外務省の洪磊・報道官は23日、「日本は自国の隠れた政治的目的を追求するために南シナ海紛争に干渉している」とし、「日本側はすべての挑発的な言動をやめるべきだ」と述べた。
日本は、中国と対立するフィリピンとベトナムに対し、規模は大きくないものの象徴的な意味が大きい支援を行ってきた。昨年12月、フィリピン沿岸警備隊に巡視船10隻を供与。同様の援助についてベトナムとも協議することを表明している。
安倍首相は22日にベトナムのブー・ドク・ダム副首相と会談した際、ダム副首相から「巡視船の供与についてぜひ早急にお願いしたい」と言われたという。安倍氏はインタビューで、検討を加速させたいと語った。
ベトナムと中国間の対立は最近、艦船同士の衝突や放水銃の発射など物理的な争いになっている。日本製の巡視船が現場海域に展開することを想定しているかどうかは明らかにしなかったが、「地域の安定・平和に資するという考え方の下にこの船を供与したいと思っている。しかし、これから造るということなので、すぐ出せるわけではない」と述べた。
ウォールストリートジャーナル
2014 年 5 月 27 日 06:39 JST
By GERARD BAKER And JACOB M. SCHLESINGER
前文省略
5月15日、自衛隊に課されている厳しい制限の緩和につながる憲法解釈変更案を進める計画を発表したが、これによって今までで最も激しい議論が巻き起こっている。安倍首相の目標は、アジアの秩序を保つ上で、日本を米国のより対等なパートナーにすることだ。米国防総省が予算削減に直面する一方で中国が国防費を増やしており、米国は日本に立ち位置の変化を促している。
首相はインタビューで、「国民には理解しにくい課題であり、強い反対があることは認めざるを得ない」と述べた。
日本では無力で短命の首相が相次いだが、安倍政権は珍しく安定しており、首相の人気も高い。安倍首相が総裁を務める与党・自由民主党は衆院選と参院選で圧倒的勝利を収め、両院で大多数の議席を獲得した。だが首相の権力と人気は、長期にわたる景気低迷からの脱却を目指す経済政策「アベノミクス」によるところが大きい。
集団的自衛権の行使容認によってアジアで日本が米軍を支援する能力をどのように高めるかという質問に対しては、首相は連立を組む穏健派の公明党に不安を抱かせることなく、米政府を満足させるようなメッセージを作り上げるのに苦慮している様子だった。首相は「今、具体的に答えるのは困難だ」としたうえで、「(日米という)同盟国の力を合わせてそれが(アジア各地の脅威に対する)抑止力になっている。その考え方のもとに日本近海で発生するさまざまな出来事にどう対応していくか、という観点からも議論を進めていくことになると思う」と語った。
すでに安倍首相は日本の役割強化に動いている。南シナ海で起きている中国との領有権紛争では、フィリピンとベトナムを支持する公式声明をたびたび発表。尖閣諸島をめぐって中国と対立する日本の立場との類似点を示唆してきた。
これに対し中国は反発。外務省の洪磊・報道官は23日、「日本は自国の隠れた政治的目的を追求するために南シナ海紛争に干渉している」とし、「日本側はすべての挑発的な言動をやめるべきだ」と述べた。
日本は、中国と対立するフィリピンとベトナムに対し、規模は大きくないものの象徴的な意味が大きい支援を行ってきた。昨年12月、フィリピン沿岸警備隊に巡視船10隻を供与。同様の援助についてベトナムとも協議することを表明している。
安倍首相は22日にベトナムのブー・ドク・ダム副首相と会談した際、ダム副首相から「巡視船の供与についてぜひ早急にお願いしたい」と言われたという。安倍氏はインタビューで、検討を加速させたいと語った。
ベトナムと中国間の対立は最近、艦船同士の衝突や放水銃の発射など物理的な争いになっている。日本製の巡視船が現場海域に展開することを想定しているかどうかは明らかにしなかったが、「地域の安定・平和に資するという考え方の下にこの船を供与したいと思っている。しかし、これから造るということなので、すぐ出せるわけではない」と述べた。