大塚実の取材日記

記事で書ききれなかったことなどを補足していこうと思ってます

今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議 第5回会合

2010年04月07日 11時08分05秒 | 宇宙
4月6日、「今後の宇宙政策の在り方に関する有識者会議」の第5回会合が開催された。いつものように、会合自体は非公開だが、終了後に泉政務官による記者ブリーフィングが行われた。論評抜きで、取材メモをそのまま添付する(手抜きとも言う)。

4/7追記
提出資料がWEBに公開された。こちらを参照のこと。

ーーーー
泉政務官

今日は16:40から17:40まで第5回の会合を開催した
副大臣だけいなかったがそれ以外は全員出席

資料として5-1と5-2
体制について今日は主に話をした

大臣からは
山崎さんがシャトルで飛び立った
みなさんと喜びを分かち合った

私からは
有識者のみなさんが専門家100名以上を東大に集めて4/2~3に議論
そのときのお礼を申し上げた

それから先生方から資料を使った説明があり
欧州は民需が非常に活発
欧州型の産業構造、市場構造を生み出すべきではないかという
意見があった

テーマ別に宇宙をどう活用できるのか示して
政策課題を解決する視点から
プログラムを策定していくのが大事

これまでは開発研究に重きを置かれていたので
利用について基本法、計画、戦略本部ができたわけだが
いまだエンジンとしては機能するに至っていない状況
早急にそういう体制を作るべきではないかという話

例えば農水省は
様々な農地の調査などに
いろいろと宇宙が使えるという話がある
実地で調べるよりも
衛星を使った方がコストを安くできる
そういったものが徐々に進み始めているが
それぞれの施策を衛星を使ってやればどう変わるのかということを
各省とも構想したことがないのではないか

国交省でも徐々に進んでいるが
取り組みはまだまだ

例としては
ドイツのアウトバーン
トラックの上に通信機が付いていて
それによって自動課金している
そういった取り組みなどは日本はもっと参考にすべき
それがあればETCでゲートがなくてもいい

いろんな施策を検討して実施するにしても
頭脳というかエンジンというか、企画立案部門がしっかりとないといけない

例えば
ガリレオは5名が中核の人材でリーダーシップ
GMESはは2名くらいが意志決定をしている
そういうものを参考にして
あまり大人数で議論ばかりしていても仕方がない

その他諸々いろんな話がでたが
全体を見渡しながら
ポートフォリオ、バランス
そういったものを考えながら、

ここでは研究のために投資、あるいは新規技術のために投資し
ここでは多少損をしてもこちらではしっかりと利用を促進して稼ぐんだと
全体戦略を考えて、そのときに日本政府全体の宇宙政策を実証していく
そういうことが今求められている
そういう人材を育てないといけない

議論は一致している

現在、宇宙基本計画は
年間5,000億円くらいの規模をベースに策定されている
現在政府が出しているのはいま3,000億
まだまだ民間の需要が足りない

政府が5,000億円を出して最初の呼び水にしていくのもさることながら
一方ではできる限り民間の裾野が広がるような投資をして
政府が全部出すのが前提ではなく
民間が利用しやすいような
土壌を作り出すことが大事だと

そういった体制論について今日は話をして
資料5-1にあるように
宇宙庁への権限の一元化が銘打たれているわけで
そういう方向で進めたいというのが有識者の意見だった


質疑応答

Q 日経新聞
その案は有識者会議で
コンセンサスは得ているのか

A 泉政務官
有識者会議のみなさんはよく連携しているので
一致して議論を進めてきていると理解していい

Q 東京新聞
今日の会議では
JAXAの所管問題や組織のありかたについては
出たのか

A 泉政務官
JAXAの中の組織をどうするかについては
今日は出なかった

基本的にはJAXAのこれまでの研究開発を
否定したり削減したりして何かをしようという発想ではなくて、
その成果をいまの時代で
例えば静止衛星では
世界中には260機あって
そのうち日本で打ち上げられたのは2機というか1.5機というか
そのくらいの割合しかない

やはり利用
この部分にもう少し重点をおかないといけないが
現在のJAXAの組織に営業部門を付けても
そこはこれまで研究開発一本できた経緯があるので
何かしら別の部門を作って
これまでの研究成果を活用していく体制が必要じゃないか
そういう意味で宇宙庁というものが出ている

Q 宇宙庁までの移行のイメージは出てきたのか

A 何年に法案を出して、何年までにどうのこうのと
そういう話まで今日はしていない

現在の戦略本部でできることもあるとは思うが
要は今の戦略本部をもっと強化しないといけないし
権限も持って
政府全体の宇宙予算3,000億円
その2/3がJAXAの研究開発に使われているが
その全体戦略を含めて
しっかりと方針を出して
その中に研究開発を位置付けられるという
順序をしっかり整理すべきじゃないか
という方向で進んでいる

Q 読売新聞
来週原案がまとめられるが
その中に宇宙庁や組織論など
すべて盛り込まれるのか

A 泉政務官
今ひとつは公務員の世界のいろんな制約がある
新しい組織を作る場合
定員や局の数の問題がある

これは有識者の構想として
こういった推進体制があればいいなという話だが
実務的にはそれ以外、役所が考えなければいけない部分もある

そのままの提言で出てくるか
それともそういったことを調整した上で現実的なものが出てくるか
まだ煮詰まってない

Q 来週出てくるのは新成長戦略に向けての提言だが
そこにも組織論が入ってくる?

A いろんな新成長戦略に向けての具体的な施策があって
それを今後円滑に推進していくためには
体制の一元化が大事ですよという書き方になっている
順番としては、体制が先に来るわけではないが
いろんな新成長戦略を考えるとこういう体制が必要だろうと提言の中に入る

Q 不明
新成長戦略 2020年まで
という文言があったが
体制に関しては2020年までに、という観点からは
何か記述は入らないのか

A 泉政務官
2020年の時点でのあるべき姿をいま書いているかなぁと
そのプロセスを全く書いていないわけではないが
現時点で宇宙庁を何年までに作るとか
そういうところまでは書いていない

Q 毎日新聞
民間との共同体制をどう作るのか
宇宙庁は役所のイメージなのか

A 泉政務官
議論の中のブレインストーミング的なものでは
新しい株式会社を作るようなイメージかなと
半官半民というと評判は良くないかもしれないが

要はそれくらいの営業感覚を持って
日本の宇宙資源を売り出していくという体制が
必要じゃないかという話はあった

Q 読売新聞
年間5,000億円という数字が出たが
いま国の予算が3,000億円
残り2,000億円は民間に負担をということか

A 泉政務官
いや、負担をしてもらいたいということではない
3,000億円も使い方によってはもっと民需を高めて
同じ100億円でもそこから500億円の成果を出すものもあれば
100億円が100億円として消化される研究もある
そこは予算の使いようと思っている

有識者の意識としては
同じ予算でももっと民需に結びつくものであるべきだし
民間側が積極的に自ら宇宙市場を作っていけるような、
それを後押しするような施策をやれば、
全て政府が出すことありきではない環境ができるのではないか

Q 朝日新聞
今日は大臣からは体制について何か意見や感想は出たか

A 泉政務官
宇宙庁かどうかは別にして
いまから日本が世界に向かって宇宙産業を前面に押し出していく
何らかの体制は必要だと言っていた

Q NHK
JAXAは文科省の所管
文科大臣との調整はないまま出すのか

A 泉政務官
文科大臣の会見ではそういった質問があって
有識者会議で議論されていることについては
有識者会議で議論していることだろうという話があった

今のところ有識者会議は
提言を宇宙担当大臣にするもの

有識者のみなさんが事前に文科省とどこまで調整をするか
必ずしも必須ではないと思う

Q あくまでも提言の段階ということか

A 現段階ではそうだ
しかし有識者の会合には常に大臣が参加しているので
提言だからということではなくて
それなりに提言に重みはある


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