日々・from an architect

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この夏日、オリンピックを観ながら、キャメロン展を想う

2016-08-07 16:32:44 | 文化考

光を受けた積乱雲の漂う夏日、アスリートと彼らを支える人達の、時折浮き浮きし、そして時折涙ぐみたくもなるリオでのオリンピックで戦う選手の様を味わいながら、2週間前に拝観したジュリア・マーガレット・キャメロンの、「視線」とサブタイトルをつけた写真展を想い起こしている。

久し振りに訪れた東京丸の内の三菱一号館美術館。
広くはない展示室を巡り歩くこの美術館は、作品群やその展示構成によって味わい方が異なるので是非交々。でもこの写真創世記の写真展構成とクラシカルな展示室の有様、更にこの時代の女性がトライした写真が醸し出す空気観が折り重なって、得も謂れぬ味わいを醸し出している。
こういう世界があるのだと、会場を改めて見渡しながら感じるものもある。

1815年(江戸時代)にインドで生まれたキャメロンは、英国の上層中流階級の社交界を楽しんでいたが、写真という記録媒体に惹かれ、独自の感性で写真技術にトライしながら上流階級の人々の撮影にトライする。

撮影の対象はキャメロンだからトライできた上流階級の人々であるとは言え、単なる記念写真ではなく作品である。大人と子供のやり取りが聴こえてくるような芝居のささやかな一齣を感じさせるような画面構成、遠くを見つめる女性のプロフィールにしても、その微細な女心の一齣を感じ取れる。
そして乾板作成という技術にトライしてプリントアウトした、ほぼ150年程前になるオリジナルプリントも展示されていている。久し振り写真とは何かということを考えさせられた。

<この写真展は9月19日まで開催されている>


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