日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

モダンムーブメントと風土、そして書生っぽいという一言に!

2011-08-11 15:18:16 | 建築・風景

思わずニヤリとしたのは、鈴木博之教授から来たメールだ。
「署名文だから主観的であってもいいし、書生っぽい文章が魅力的」とある。「主観的というのは津山のことですけどね」と追記がある。ああ!あのことかとちょっと意外だったが、鈴木先生も少々こだわっていたのかと妙に納得してしまう。
岡山県津山市の「津山文化センター」を見てきて興奮し、DOCOMOMOの選定会議で撮ってきた写真を皆に見せながらこの建築の魅力を力説したのだった。どうですか?と問いかけると、いい建築ですよね!とやや苦笑気味に(と今になって思う)発言されたのだ。

署名文とあるのは、UIA2011 TOKYO大会の関連行事として行う「DOCOMOMO Japan150選展」のキュレータとしての趣旨文「風土とモダンムーブメント建築」と題した一文で、事例として、札幌の`上遠野自邸`や`京都会館`と共に取り上げた津山城址と呼応した津山文化センターを指しているのだ。

なるほど、鋭いと思ったのは「書生っぽいと」言う一言だ。この6文字で僕の全てが言い当てられている。いくつになっても書生っぽい。どうしようもないと思うことのある僕だが、「良きに連れ悪しきにつれ!と一言添えてみたい。

この150選展では海外から来日する建築家に、日本のモダンムーブメントをわかりやすく紹介するために地域別構成を提案した。地域性でということにした途端「風土」という言葉が浮かび上がった。同時に,DOCOMOMOの「MOMO」、モダニズムではなく「モダンムーブメント」という言い方を試みることにした。展覧会の実行委員会WGの会議で意見が飛び交う。中堅の建築史の研究者は厳しい。

なんだか付け焼刃的だが和辻哲郎の「風土」を読み始める。
この著作は戦前のものなのだがなかなか興味深い。そして鈴木秀夫の「風土の構造」を書店に注文した。

日本を十二、三か所に分けた地域を、風土を見つめながら「リード文」を書き始める。これを参照しながら数編をWGメンバーにも書いてもらうのだ。
北海道、四国、沖縄と書いてきて、その地と深い関係を持つ建築家や人類学の研究者にどうか?と問う。そして、そうか!と学ぶことが多いのだ。
まあわれながら「書生っぽい」と思う残暑、いや酷暑の中の一齣ではある。