日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

友あり 遠方より来る

2011-06-12 21:07:06 | 建築・風景

タイトルに二言書き加えて本稿をスタートしたい。

「友あり 遠方より来る アイレイと共に また楽しからずや!」。

共に来たアイレイは、CAOL ILA 12 である。
僕が愛飲しているBOWMORE 12 には、スコットランドISLAY島の草いきれや潮風が漂ってくるような強烈な味わいがあるが、CAOL ILAはFresh、Sweetly、and smooth-bodiedとパッケージボックスに書かれているそのとおりで、すっきりしていて品が良く、シングルモルトの清冽な香りもあって僕の思い描いていたISLAY(アイレイ)島のイメージが揺らぐ。

僕のアトリエに訪ねてきたのは、イギリス(UK)の建築家マイケル・ポプキンス卿の下で設計をしている若き建築家南雲要輔さんである。年賀状のやり取りをし、時折メールがきたりする旧知の仲なのだが、ふっと考えたら会うのは初めてなのだ。
そうなのに、昨年渡邊研司東海大教授が率いたDOCOMOMO JapanのUKツアーで、ポプキンス事務所の見学を薦め、南雲さんを訪ねるよう紹介したりした。

ある時、広島の建築家からJIAに入りたいという建築家がいるので推薦状を書いて欲しいと依頼があった。いいですよっと言ったら入会書類が送られてきた。そのときの南雲さんはロンドンのAAスクールに在学していて日本にはいなかったのだ。経歴を見ると日大を出て竹中工務店の設計部に勤務していた時に担当した建築が写真と共に記載してあった。さて何年前だったのか!

ポプキンスがプロジェクトのサポートをした新丸ビルの担当者として来日をしたときに、僕のブログに記載したBOWMORE12を空港の売店で買ってお土産に持ち帰り、友人や父親に喜ばれたと言う南雲さんとはまずアイレイ談義。そしてプレゼントをしてくれたマイケル・ポプキンスの作品集をめくりながら、話が弾んだ。

鉄やテントを多用しながらも、木やレンガの質感を大切にするポプキンスの空間構成に惹きつけられた。アクロバット的な形態で話題を呼ぶ最先端の建築家が多い中で、建築界への貢献によって王室からKnight(ナイト)の称号を与えられて、ポプキンス卿と呼ばれることから窺われるどこかに品のある建築群、UKの伝統を引き継いでいるような気もして、南雲さんはいい建築家と出会ったのだと思う。

場所を「三国一」に移した。諸国名物手打ち麺処、ホテル新宿京王プラザの前にあるので、外国からきた人にも人気のある旨いうどん屋、気に入っている店だ。東北地方の地酒を酌み交わしながら話し込む。原発報道がUKではどうなされているのか気になっていたが、冷静な報道がされているようでほっとする。

世代の違いが吹っ飛んだ正しく旧知、初めて会ったとは思えなかった。彫刻家安田春彦に言わせれば、70歳なんて青春じゃあないか、「風たちぬ、いざ描かん」。そうかとも言い切れないがまあまあ!僕も・・
聞くに、南雲さんは何はともあれAAスクールに行きたかったのだという。だから僕たちは知り合った。その前の広島の建築家との出会いがあった・・人との出会いは不思議だ。ブログを介したMOROさんとの出会いなんてこともあるし・・・妻君との出会い、があるから愛しき吾が娘(こ)がいる。

UKに戻った南雲さんとメールのやり取りをした。親父とCAOL ILA を酌み交わしてすっきりしていいアイレイだねと愉しんだのだとある。親父さんは僕と同世代なのだ。多分。
南雲さんは、9月に行われるUIA(世界建築家連合)の大会にあわせて再来日する。丸の内ギャラリーで行うDOCOMOMO150選展を観てもらい、鎌倉に案内して地元に在住する若い(?)建築家を誘い、鎌倉近美を見たあと一杯やるのはどうか?

返事はいうまでもないだろう。