日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

韓国建築便り(6) アンヤン アート・パーク

2007-12-23 00:05:48 | 韓国建築への旅

ソウルとスウォン(水原)のほぼ中間にある、アンヤン(安養)市の郊外ピュオングチョンの山裾に、アンヤン・アート・パークができた。
アンヤン市は人口約62万人、ソウルからおよそ25キロ、ソウルの衛星都市(ベッドタウン)として知られており、駅周辺には高層共同住宅が建ち並んでいる。中小規模の軽工業地域として位置づけられていたが、近年ハイテク都市として発展しているようだ。

市はアートによって町のイメージを一変させて、ハイテク都市にふさわしい「ハイグレードシティ」としての町づくりを目指すという。2004年8月に市はパブリック・アート プロジェクト(APAP)のタスクホース チームをつくり、2年前の2005年には1st APAPをオープンさせたのだ。
このプロジェクトは進行中で、アートによる公園づくりから次第に街(ダウンタウン)づくりに移行して行く。

案内されて一帯を歩いたが、既に川の対岸に新しい建築群が出来上がっている。アート・パークのパンフレットがあるが、この川沿いのガラスを多用したシャープなプロジェクトはまだ記載されておらず、誰の設計か僕たちにはわからなかった。(いや実はパンフレットはハングルで書かれていて今みてもチンプンカンプン、ハングルを勉強しなくてはいけない・・とづっと思っている)

訪ねたのは日曜日だった。
大勢の人がリュックサックを背負い、キャラバンシューズを履いて川沿いの並木の紅葉の中を連れ立って歩いている。山歩きをするのだそうだ。韓国の人は自然の中を歩くのが好きなのだと、ユン先生が解説した。この素朴な人々のスタイルと、アートプロジェクトが僕の中ではどうも一致しない。
アルド・ロッシの設計した小さな白い美術館が建っている。このプロジェクト(市)のアートセンターでもあり、この地域、ピュオングチョン・アートホールでもある。まあそれなりの建築だ。(と切り捨ててしまうのは失礼か!)

川を渡りアート・パークに入る。このプロジェクトは、様々なジャンル分けがされているようで、駐車場に建つ小さな展望台と、歩き始めるとまず出会う、上っていくと行き止まりになってしまう歩道は、HOSPITALITYつまり訪れた人を歓迎するシンボルとして表記されているし、道路標識のようなアートはALLURE(魅惑的な誘い込み?)とされている。

木々の茂る傾斜地に様々な作品が点在している。
隈研吾さんの作品があった。ARTに位置付けされている。折り紙のように、鉄板を折り曲げて構成した建築的な作品だ。タイトルは「PAPER SNEKE」。いやいや韓国のここまで隈さんが、となんとなく感慨を覚える。
木の箱や、竹の籠の中を通り抜けていくPILGRIMAGEというジャンル、PAUSEとされた腰掛けて休める作品もある。

僕が気に入ったのは、ビール瓶を納めるような色の違うプラスチックの箱を積み上げて部屋にし、外から入る光によって非日常性を実感させられるバラック建築。ドイツのウオルフガング・ウインターとベドフォルド・ホバートの共同作「ANYANG CRAT OUSE」。この作品はパンフレットやこのプロジェクトのHPでもシンボリック的に掲載されている。面白いと感じるのは皆一緒なのだ。

このアーパークの手前に金寿根さんと並ぶ韓国の代表的な建築家、キム・ジョングアップさんの設計した会社のオフィスプロジェクトがある。残念なことに日曜日なので門が閉まっていて入れない。守衛所が見える。コンクリートでつくられた円形の建築で、只者ではない。
ユン先生はこの一連の建築を文化財として登録したいという。帰国して僕の持っている作品集を見たが載っていなかった。中に入れなかったのがとても残念だ。建築に出会うのは一期一会だと思うので。

<写真 左:隈研吾さんの「PAPER SNEKE」右「ANYANG CRAT OUSE」>