日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

本に埋もれたくない

2005-12-31 14:26:22 | 建築・風景

早い。時の経つのが。大晦日なのだ。
それなのにTVでは `女王の教室`全話 なんてのをやっている。気になって困る。教室にH鋼の耐震補強が入っている。何故こういう設定をしたのだろうか。ドラマには何の関係ないのだが・・・

生徒が鬼女教師に「24人には24人の幸せがあるのでは」と問う。鬼の返事はいつまでもそうだと良いね、という含蓄に富んだ言い方だ。槇文彦さんの「1000人の人間には1000人のモダニズムがある」という言葉を何の脈略もなく思い起こしたりする。同時に鬼は、将来のことばかり気にしないで「今しか出来ないことをやる」のだという。なんとなく情けないが、本当にそうだといいたくなる。この僕がまたもや涙をこらえている!
鬼のこのクラスの最終講義なのだ。最終講義かあ。このドラマに出演した子供たちにとって、この体験は大きいだろう。ドラマだからこんなことを言うのも変だが、鬼も子供に学ぶのだ。時々考え込んだりしている僕を見て、おせちを作っている妻や娘はあきれている。しかし何処かで納得している。

紗のカーテンから柔らかい冬の光が射している。穏やかな大晦日だ。
奇跡的に年賀状の大半を昨日ポストに入れた。でもまだまだだ。部屋も片付けなくてはいけないのだ。本棚の整理もしておきたい・・・が!

本が山済みだ。本棚に置ききれなくて床にも横に積んであったりする。それも読んでいない本が沢山ある。どの本も読みたいのだ。読み返したいし全て読みたい。だから積読とは言いたくない。
半年ほど前ふと思いついて、というより妻に進言(?)されて、エクセルに本のリストを入力し始めた。今開いてみたら155冊リストアップしている。見ると自宅の本棚にある建築関係の書籍だけだ。それもまだ全てではない。事務所にはそれに倍する本があると思うし、僕の好きな写真や美術、JAZZの本もある。茶会記、漢民族の宗教とか`闇の中の黒い馬`なんていうのもあるが、なんと言ってもハードボイルド、スパイもの、考えてみると文庫本はダンボールに入れてトランクルームに預けてある。雑誌も沢山あって入力していない。でも本は捨てられない。

今日本は`建築本ブーム`のようだ。出版不況がうそのようだ。
僕の事務所は新宿にあり、西口地下道に入り口のある丸善によく立ち寄る。さほど人が入っているとも思えないが「建築」の書棚は減るどころか増えている。
次々と気になる本が並ぶ。僕の親しい建築家や建築歴史学者、評論家も堰を切ったように書き連ねるし、更に写真家も建築を撮って本にする。
若手の活躍もすごい。それがすぐ本になる。そしてどれもタイトルが上手い。売り上手だ。なんだか読まないと具合が悪いような気がしてしまう。

さてどうしたものか。本の誘惑は恐い。如何に逃れるか。
建築界が異様な社会不安を巻き起こし市民の信頼を損なっているのに、なんとしたことか。

本に埋もれたくない。

寒そうだしなんとなく泥縄っぽいが、これから車を洗いに表に出る。うちに戻ると部屋が片付いているだろう。手に入れたジョシア・レッドマンのtimeless talesをかけ、のんびりと一年の人との出会いを考えながら残りの年賀状を書く。良い年になることを願って。