日々・from an architect

歩き、撮り、読み、創り、聴き、飲み、食い、語り合い、考えたことを書き留めてみます。

あーあ!八王子セミナーハウス宿泊棟の一部が解体 建て替え

2005-08-09 11:17:53 | 建築・風景

友人の建築家鰺坂さんから、八王子大学セミナーハウス宿泊棟の一部が取り壊わされ、Dハウス工業によって鉄筋コンクリートで改築されるという知らせがあった。許可を得たので写真を掲載させてもらうが、第7ゾーンの近くだというこの写真にショックを受けた。こういう情報が入るたびに落ち込んでいては身が持たないと思うが、話を聞いていくうちにいつものことながらなんとかならないものかと腹が立ってきた。

野猿街道から少し入った緑の豊かな丘陵地に、複数の大学が共同で利用するための大学研修宿泊施設として、地形に対応した一連の建築が建っている。荒々しい打ち放しコンクリートの逆四角錘形(楔を大地に打ち込んだとよく言われる)の本館やピラミッド型のセミナーハウス、或いは開放的な講堂は良く知られているが、それらとともに、コンクリートのスラブに合板で組み立てられた宿泊棟が扇型にいくつものブロックに編成されて散在し、集落を構成している風景を見ると、設計者の吉阪隆正(U研究室)が、若き学生が集まって交流するための空間を、自然との調和の中に見出した建築思想を実感できる。

この体感は写真では得られない。
8年前この施設を使ってJIAの保存大会を行ったときに、宿泊した。僕は本館に泊まったが、多くの参加者がこの合板の宿舎に泊まった。
このときも既にかなり痛んでいて、手を入れていかなくては存続が難しいのではないかと思ったが、今回の計画はどうもU研との相談もされていないようだ。

この建築群は、DOCOMOMO20選(今は100選)に選定したが、これをどう捉えるか委員会でかなりの論議がなされたことを覚えている。いわゆるピュアなモダニズムのカテゴリーとしては捉えきれない、言い方を変えればはみ出してしまうのだが、日本の近代化を考えていく中で抜きさしならない建築であることは確かだ。
僕のHP,モダニズム建築のへ旅、長崎の海星高校に記載したように、まさしく「吉阪建築の素性は隠しようがない。不思議に満ちた、遊び心と優しさに溢れる建築」そのものなのに。
あーあ!とため息が出る。
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