元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

革表紙のメモ

2019-09-10 | 実生活

革表紙のメモ 本体5400円(税別) 替紙440円(税別)


Writing Lab.のブログ「旅の扉」を今月末で閉鎖します。
Writing Lab.の中心メンバーの一人駒村さんが抜けてからしばらく、Sトー氏を加えて続けていて好評いただいておりましたが、昨年末終了を宣言して、1年近く経ちましたので、潮時だと思いました。

もう6,7年経つかもしれない。
京都のインディアンジュエリーショップリバーメールの駒村さんと知り合って、一緒にいろんなステーショナリーを企画して、双方の店で売っていました。

その時の売れ筋商品にサマーオイルメモノートという商品がありました。
私が自分で革を切ってメモ帳の表紙にしていたものを駒村さんが商品化しようと言い出して実現したものですが、結局こういうメモ帳が一番使いやすいと思っていた。
そのサマーオイルメモノートを「革表紙のメモ」として、また作りました。

台革は厚いサマーオイル革のままですが、表紙の素材を使い込むと艶が出て、色変化する、そして香りの良い革ミネルヴァボックスに変更しています。
中紙は、切り取り用のミシン目を入れました。それもかなり細かいマイクロミシン加工をして気持ち良く切り取れるようにしました。200枚の紙は天のりでまとめて、好きな厚さに割って使えるようにしています。
紙は当店の試筆紙と同じ紙の一番手薄いものにして書き味も良い。


当時できなかったことが、大和出版印刷の川崎さんの仲介で知った村井製本所さんの技術で実現した。

 

2店の協力関係も駒村さんの体調によって休止せざるを得なくなって、行き来が途絶えて、何年も経った。
あまりにも時間が経ってしまっていて、今さら再開しようという気分ではなかったけれど、駒村さんがどうしているか、どう思っているかは気になっていた。

今年になってリバーメールに別件で電話をしたら、いつも出る店長ではなく駒村さんが出た。
駒村さんは、インディアンジュエリーの仕事も順調で、元気に世界を飛び回っていることが分かった。
行き来がなくなって、連絡を絶ってから気になっていたけれど、あまりにも時間が経ってしまい、連絡し辛くなってしまったと素直に言った。

駒村さんが当店との仕事が嫌になって、私たちに見切りをつけたのではないかと半分思っていたので、悪い感情を残していなかったことが分かって嬉しかった。

きっとこれからも当店も、リバーメールもそれぞれの世界でやっていくのだと思うけれど、リバーメールが、駒村さんがどこかでがんばっていることは何となく励みになっていて、駒村さんが当店のことをどこかで聞いた時に、恥ずかしくないようにしたいと思っている。