元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

組み合わせ

2015-06-14 | 万年筆

店がヒマになるとガラスケースの中の陳列の場所替えを狂ったように、大掛かりに始めることがあります。

不定期だけど、ずっと以前から同僚たちの都合も考えずにその時の店の雰囲気を見て、今だと思ったら一気に入れ替える。

陳列の入替えはやらなければいけないというものではなく、何か欲求に近い感覚ですが、お店だったらやはりやらなければいけないものです。

それまで頭の中で、これの横にこれを置いて、というふうに色々イメージしていて、実際にやってみておかしければ変更したりしています。

私の若い頃のトレンドは色別のディスプレイで、最近はシーン別の陳列とかディスプレイがトレンドのようで、そういう陳列、ディスプレイの仕方を他のお店でよく目にしますが、万年筆の場合そのモノの雰囲気がどうしても合わないものというのがあって、例えるとファーバーカステルの横にアウロラは合わないとかといったことです。

こういうふうに考えると、万年筆の陳列はどうしてもメーカー別、国別になってしまいます。

古くから万年筆店はそうやって陳列してきて、面白味がないと感じるかもしれませんが、私はこの自然な組み合わせのような感覚を大切にしたいと思っています。

それは個人の持つものでも同じで、その万年筆にそのペンケースは合わないというのは必ずあって、その感覚はなかなか伝えられるものではないけれど、一言で言うならば 「趣を揃える」という感覚です。

色とか、素材が同じであればそうそう間違いではないけれど、その他にも合うものはもちろんありますので、私はいろいろ合わせて遊んでいる。

服装でも、ハズシのような突拍子もないものの組み合わせは、女性の場合は許されるけれど、男性の場合余程の力のある服でない限り残念な結果になります。

それは服以外のモノの組み合わせでも同じで、ペンケースの革の色、あるいは木の色とペンの色を相性の良い色にするとか、ペン同士の組み合わせを考えてみるということで、誰もそんなところは見ていないかもしれないけれど、そんな楽しみ、嗜みのようなものも万年筆にはあると思っています。