元町の夕暮れ ~万年筆店店主のブログ~

Pen and message.店主吉宗史博の日常のこと。思ったことなど。

店の世界観

2014-02-18 | 仕事について

お店はきっとどこも何らかの世界観を持っていて、それを掘り下げ、表現したいと追究し続けるものなのだと思います。

その世界観は、店主の生き方や精神的なものが投影されていて、不器用な私たちのような人間はそれしか、表現するものを持ち合わせていないし、それができると思うからお店をしたいと思うのだと思っています。

なかなか上手くいかないけれど、世界観を表現することが終ることはないのだと思う。

自分が今まで生きてきて、考え続けてきてそうありたいと思った世界観のようなものを形にして、いつかお客様の前にそっと置けるようになりたいと思っています。

万年筆はただ気持ち良く文字を書く以上の何か、筆記具以上の何か精神的な思想のようなものを反映したものであって欲しい。

そう考えると重く感じるかもしれないけれど、何か重みのあるものにしようよというのが、当店の世界観なのかもしれません。

自分が求めている世界観をデザインで表してくれているのは、アウロラ88、ファーバーカステルクラシックコレクション、そして当店オリジナル万年筆Cigarで、それらに自分が求め続けてきた世界観が凝縮されていて、これらをもっと広げて、形にしたいと思い続けている。

ただのきれいなデザインとか、書き味が良いとかという表面的であったり、感覚的なサラッとしたものではない、人間のもっと奥底にある、その人を動かしている部分と共鳴するようなもの。

そんなものが本当にあるのかと言われるかもしれないけれど、いつもそういう万年筆を用意したいと思っています。

個人的にはコンパクトで胸ポケットにいつも差していて、いつも使っているようなものよりも、1本差しのペンケースに入れて持ち歩くような大太刀とも言えるようなもの。ペリカンM1000やオマスパラゴンのようなものが自分にとってのとっておきの万年筆だと言えて、そういう万年筆はちょっとやそっとのことでは出てこない、特別な時間に使いたいと思っている。

それは人ぞれぞれ違うものであっていいと思うし、そういうものだと思うけれど、そういう万年筆と出会える店でありたいと思っています。