物言わぬ者の声

2010-06-25 22:36:17 | インポート
近頃はかなり足の調子が昔のようにはいかなくなってきたものの、この季節になると。ただ花を見たり、写真に取るためだけ。季節の変化を自分の目で確認するためだけ、いつもは足を向けない少し遠くの地域まで出かけて、ひたすら歩いて、周囲の風景をよく見てくることにしている。

年年歳歳花相似たりで、ご近所の庭先や生垣越しに見る花も木もそれほど変わらないのだが、秋冬を越えて再びその姿をみるとなんともうれしい。昔は植物にはまるで関心がなかったというのに、ある時に、全く動かない、口も聞かない、植物が実は犬や猫と同じく一個の生命であることに気が付き、しかも、へたをすると、人間一人の寿命を遥かに超えて生き延びていく生命であることに気が付いて、それ以来見えるものが違ってきてしまったのだ。

人間たちの世代が何代も移り変わっても植物の中にはさらに生き続けるものもある。一年毎に生まれては枯れ、生まれては枯れる草花の生命も一個の種の生命の永続性ということでみれば実は大変なものなのだ。人間は、人間だけはどうも少しおかしなものになってしまったようだ。