厚生労働省は、9日医療保険制度「改革」案を発表しました。その内容は、老齢化に伴う自然増も含めて見直すという大改悪になっています。
「後期高齢者医療保険」の保険料値上げ、加入者の半数以上に
これまで低所得者には保険料の特例減免の制度があります。2017年度からはこの軽減措置を打ち切るというのです。制度がややこしいのですが、これまで「8.5割軽減」を受けていた人の保険料は2倍、「9割減免」の人は3倍にもなり、健保・共済の扶養家族だった人で後期高齢者保険に移った人は5~10倍もの負担増となります。
「特例軽減」を受けている高齢者は加入者の半数を超える865万人に上ります。特例とはいうものの、高齢者の半数以上が保険料の負担増になります。もともと年金が低いうえに消費税増税やアベノミクスによる物価上昇によって苦しめられている高齢者にこんな負担を増やせば「高齢者の貧困」をさらに深刻にするだけです。
もともと後期高齢者を切り離して「後期高齢者医療制度」を作ったことに問題があるわけで、高齢者を国民健康保険や健康保険に残したままで、低い窓口負担で医療を受けられる、もとの「老人保健制度」に戻すべきです。
入院給食費の自己負担が2倍に。現役世代にも負担増
後期高齢者ばかりではありません。現在給食費の自己負担額は1食260円です。厚生労働省の計画によるとこれを2倍近い460円に増額するといいます。65歳以上の高齢者が460円なので、不公平にならないために値上げするそうです。このセリフどこかで聞いたような気がします。そうです。世代間格差をなくすため高齢者にも負担をもとめる―――というセリフです。都合のいい時に高齢者を基準に現役世代の負担を増やしたり、逆に現役世代に合わせて高齢者の負担を増やしたり。ようするに高いほうに合わせようというご都合主義です。
紹介状なしで大病院受診は5千円~1万円
紹介状なしで500床以上の大病院を受診する際には5千円~1万円の定額負担を導入して、大病院受診を抑制しようとする計画です。
ヨーロッパ諸国では? 以前の日本では?
ヨーロッパ諸国では医療費の窓口負担は、全くないかあってもごくわずかです。
日本でも1980年代までは、健康保険で本人は無料、老人医療費も無料でした。
いつでも、どこでも、健康を害したときにはすぐ受診できる制度があってこそ国民の健康が守られるのではないでしょうか。