minority resistance

pcfx復活ブログ

まんがタイムきららMAXとかREDいちごとか

2011年06月21日 | マンガとかアニメとかほんとか
何度か既に書いているが、pcfxはマンガ家のkashmirの作品が非常に好きだ。最近までは単行本を
購入して読む程度だったのだが、遂に我慢しきれなくなって掲載雑誌の購入にまで至った。

で、困ったのがその雑誌の見分け方についてだ。ここ数年マンガ雑誌を買って読むことがなかった
ので、その辺の出版事情に疎くなっていた。どうやら「まんがタイム」という雑誌らしいのだが
本屋に行くとなんか種類がいっぱいある。どれだったのか確認してこなかったので出直し、後日
それが「まんがタイムきららMAX」というものだと覚えたつもりだった。しかし本屋にあったのは
「まんがタイムきらら」だけで、「MAX」の文字がない。雑誌は輪ゴムで閉じてあり、表紙には
掲載マンガ家の一覧がない。仕方ないのでまた家に帰り、kashmir氏のサイトと芳文社のサイトを
確認し、「MAX」で間違いない事を確かめた。後日また数軒の本屋に行ったのだが、「MAX」は
ない。しょうがないのでまた家に帰り、雑誌の発売日を確かめると、次号は半月後に発売らしい。

と、このような池沼的なガキの使いを繰り返した挙句、ようやく発売日になった。今度こそ大丈夫
とばかりに勇んで本屋に行くと、「まんがタイムきららMAX」は無い。中年のpcfxが羞恥プレイ的
に店員に「あのう、まんがタイムきららMAXはありませんか?」とたずねると、「売り切れ
ました」との返事。くそう、もうこうなったら意地だ。何がなんでも購入してやるぜ!と謎の
闘志を燃やして本屋巡りの旅の末、4軒目でやっと見つけた。発売日の午後3時で既に売り切れ
続出というのは意外だった。そんなに売れてる雑誌だったのか。

購入して本屋の駐車場で即輪ゴムを解き、真っ先に最後のページの目次を見る。

あった。「◯本の住人 kashmir」の文字。言いようのない安堵感と達成感を感じ、その場でその
マンガを読み終わった。平日昼間に本屋の駐車場でマンガ雑誌を見て吹き出す中年男を、行き交う
人々が怪訝そうに見ている。通報されそうな勢いだ。その場を逃げるように去るpcfx。


家に帰り、せっかくだからとお目当ての「◯本の住人」以外のマンガも読んでみた。

が、なんか目が滑って「読めない」。どうしたことだろうか?なんか体に異常でも起こったの
だろうか?

pcfxは「萌えマンガ」にさほどアレルギーがあるわけではない。だがしかし、なんか読んでも
内容が頭に入らない。ヒトコマヒトコマを順に追えず、文字通り目が滑ってまともに読めない
のだ。

割と衝撃的な体験だったが、努力してなんとか全マンガを読み終わった。読み終わってみると
中には面白い作品もあったが、ホイップクリームのように軽く手応えがない。そこに実在を確かに
認識できるのはkashmirの「◯本の住人」だけで、あとは夢を見ているような不安定な感覚だ。

そして「なぜkashmir氏のマンガがこの雑誌に掲載されているのだろう?」という疑問に変わる。
だが見方を変えると、他の人にはkashmir作品も他の作品と同じようなカテゴリとして認識され
ているのかもしれず、雑誌のタイトルの「きららMAX」とは適当につけただけのものではなく、
むしろ雑誌の性格を明確に表していたのではなかったか。つまり、「キラキラした美少女を」
「最大限(MAX)に強調した雑誌」というものではないのか。

そう考えてみると、間違った認識をしていたのはpcfxだけであり、出版社も作者も、さらに
それらを求めている読者層も自然で当然の位置にいると思えてきた。


いや、まて。しかしなんだかそりゃおかしい。あやうく騙されそうになっていた。やはり自分は
間違ってはいないのではないか。

確かにkashmir絵はかわいい。だが「かわいい」というのが売りというのとはちょっと違う。
またkashmir氏のギャグの次元は、やはりこの雑誌の他のマンガと違う。どちらかというと調和を
乱している存在だ。それが巻末にあるのならまだ理解もできる。巻末マンガという位置がデザート
的・実験的・特異的な存在を許す不文律になっているからだ。しかし「まんがタイムきららmax」
では雑誌の中ほどにkashmir作品が「さりげなく混ぜられて」いる。

これを「常識破り」と見るのか、「新しい価値観」と見るのか、または「編集が作品や作家を
理解してない」と見ていいのか、判断がつかない。色々と調べてみると、「◯本の住人」は
掲載当初、連載の予定ではなかったと聞く。数回の単発掲載の末になし崩しに連載になった
ようだ。たしかに当初の絵柄は現在と違っており、「雑誌の性格に配慮」した作風に見える。
しかし2話から段々といつものkashmir作風に変わって来ており、暴走キャラ「ちーちゃん」が
登場している。5話あたりではもうすっかり「The・kashmir」だ。

これまで単行本しか読んでなかったpcfxにとって、まさか「◯本の住人」がこのような環境で
掲載されていたとは夢にも思わなかった。全く意外であり驚きだった。少し調べたところ、
どうやら「◯本の住人」はkashmir氏の一般商業誌デビュー作のようだ。ということは芳文社の
編集者がkashmir氏を見出した可能性も考えられ、そう考えると「作品や作家を理解してない」
どころか「物凄く見る目がある」ということになる。


以上、これらはpcfxの私見であり想像に過ぎない。とにかく雑誌をみて驚いたということだ。




さて、pcfxは単行本しか読んでなかったため、まだ単行本になってない「彼女はUXO」を読んだ
ことがなかった。そこでそれが掲載されている雑誌「チャンピオンREDいちご」というのも
買って読んでみることにした。

こちらも驚きだった。半分エロマンガ雑誌だ。どこにも18禁の表示はないので一般誌なのだろう
が、ということはkashmir氏の「彼女はUXO」という作品はエロマンガ系なのか?という不安と
期待に震えながら雑誌を閉じているヒモを外してみた。なんかオマケがついている。タオルの
ようだが、巨乳キャラの絵が描いてある。最近の雑誌はすごいな、と思いつつ目次を見る。
この雑誌でもkashmir作品は中程に掲載されており、ということは巻末の特異な扱いではなく
「雑誌の性格に合った作品群」の中の一つという扱いなのだろう、などと予想しながらページを
めくってみた。

・・・セーラー服の少女の股間に竹槍が生えている。やはりそういう傾向のマンガだったのか?
数ページめくると、いきなり「目がイッっている女性」が登場した。

「ああよかった」という安堵感が広がる。確かにこれはpcfxが期待していた方向のkashmir作品の
匂いがする。以前を読んでいないので話の展開はさっぱりわからないが、304Pのヒトコマ目の
絵を見ただけで安心する自分がいた。そして既に立派なkashmir中毒者になっていたのだなあと
おかしな感慨にふけっている。


雑誌に掲載されている他の作品の多くが半エロマンガ的な作品だが、ここでもkashmir氏は
「雑誌の性格に配慮」しながらも、やはり独自の世界を構築している。その一貫性や頑なさに
さわやかな風を感じ、同時に「ああ、やっぱこの人壊れてるわ」という尊敬と崇拝を感じた。

pcfxは既に中年であり、この雑誌の他のマンガで「実用的な利用」をできないが、中学生くらい
なら十分に興奮できる内容だ。高校生でもいけるかもしれない。オマケもその筋の若い人ならば
喜べるものなのだろう。


作者のkashmir氏がどんな人物なのかは知らないが、とても興味深い人である事は確かだろうし、
またとても「中の人が一人」とは思えない幅があり、男女が重なりあったような精神を感じ、
達観しているようで幼児性があり、ハードに論理的でありながら統合失調的でもある。

年齢も性別も精神も論理も多重に存在しているかのような、新時代の革命的量子論マンガ家が
kashmir氏だ。pcfxはkashmir氏に畏敬を感じている。現代の神はkashmir氏に宿っている。