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WINS通信は小売業のマネジメントとIT活用のための情報室

小売業・IT活用・消費市場の今をウォッチング/WINS企画/東 秀夫wins.azuma@sunny.ocn.ne.jp

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第34回 新しい価値を創る「無形の付加価値」受難の時代

2009年11月19日 15時21分19秒 | 今日の気づき
【2009年11月19日(木)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月19日(木) 朝刊 13面


◆記事の見出し

 《CCC、999円のCD》《レコード大手と組み来月発売》《洋楽ベスト60タイトル 販売をテコ入れ》


◆記事の内容

 ★カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はレコード会社最大手ユニバーサルミュージックと同大手ビクターエンタテイメントの2社と組み、PB(プライベートブランド)のCD「ザ・ベスト・バリュー999」を12月4日から同社が運営するCD販売・レンタル店「TSUTAYA」約1,380全店で独占販売する。12月12日からはレンタルも始める。

 ★今回は第1弾となるもので、カーペンターズやスティービー・ワンダーなどのベスト盤60タイトルを一斉に発売する。レコード会社2社が持つ各アーティストの楽曲を再編集しジャケットに共通の帯を付けてPBとしての統一感を出す。今後も洋楽ア-ティスト、邦楽アーティスト作品のPB化を進め、2010年3月末までに40万枚の販売を見込んでいる。

 ★CCCは通常2,000円以上するベスト盤を低価格で販売し集客の目玉にする。一方、レコード会社はCCCの販路を利用することでまとまった出荷枚数を見込め、販促費負担も軽減できる。

 ★日本レコード協会によると、CD生産額は1998年の5,878億円強をピークに前年割れが続いており、現在は11年前の2分の1程度まで落ち込んでいる。CCCはPBの手法を活用した低価格品で音楽ソフト市場をテコ入れする考えである。


●今日の気づき

 ★これからも、いろんな分野で「低価格品」が開発されてくることが予想される。止めようのない大きな潮流と言える。

 ★ある意味では、「無形の付加価値」受難の時代と言える。

 ★品質が保証されたものの低価格化でしか生活者は目を向けなくなっている。かつてよくあった有名な映画音楽を無名のアーティストが演奏する安価なミュージックカセットテープのようなものではない。まして、海外で出回って問題になっている海賊盤でもない。有名ブランド衣料のバーゲンセールが恒常的に行われているような印象である。低価格指向は品質指向でもある。「安かろう、悪かろう」でなく「安かろう、良かろう」でなければ売れない時代になってきた。そうした生活者の「値ごろ感」に対応した商品が、いろんな分野で出てくることは間違いない。

 ★今の「値ごろ感」を言う時には、生活者の収入環境が厳しいので、定量的な判断が優先されがちである。コストと利益の計算が優先される。定性的な無形の付加価値を評価する余裕がなくなってきている。商品の価値は、金額計算の域を超えるような無形の付加価値を大きくすることで、高めてきた。そういう価値形成の構図をいったん否定する時代に入ったとも言える。その時代を経て、新しく「無形の付加価値」が認められる時代になっていくものと思われる。いわば、時代の大きな転換点である。その転換点を引き寄せたのは、経済の低迷、消費市場の成熟、品質の底辺向上の3点である。

 ★100円ショップのわが国消費市場に与えた最大の功績は「100円の価値」を生活者に知らしめたことである。これまで200円で買っていたものが100円でも納得できる品質なので100円のものを買うようにしようとか、あるいは200円で買っていたものは200円の価値があり100円の商品を買うのはやめようというように、「100円の価値」を生活者が認識し、その認識を基準に200円の商品、300円の商品も買うようになった。100円ショップで200円や300円の商品も販売しているが、「100円の価値」が認識できたので、100円ショップで200円や300円の商品が売れているのだと考えている。しかも、200円や300円の商品を選択する生活者は、当たり前のように、無意識に、デザイン性や使い勝手など、感性的な「無形の付加価値」を認めているのである。

 ★商品を提供する側も、商品を購入する側も、今までの価値観をいったん崩壊させ、新たに商品の価値観を再構築する時期に突入したのではないかと感じている。ただ1つ、これまでの価値観を築いてきた環境と、これから価値観を築いていこうとする環境に、大きな違いがある。それは、もの不足からもの充足への過程且つ経済の高度成長という環境と、ものの豊かさ且つ経済の低迷状態という環境の、違いである。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第33回 格の違いを感じさせるホテルの「変化対応業」

2009年11月18日 16時38分34秒 | 今日の気づき
【2009年11月18日(水)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月18日(水) 朝刊 35面


◆記事の見出し

 《プリンスホテル レストラン「前売り券」》《食べ放題など 景品向け需要に狙い》


◆記事の内容

 ★プリンスホテルが東京の品川・高輪地区の4つのホテルでレストランの前売りチケットを発売した。3つのホテルは4,500円、1つのホテルは3,900円のチケットを扱い、4つのホテルで和洋中の18店舗のレストランで利用できる。しゃぶしゃぶの食べ放題やすしの食べ放題、高層レストランでのディナーコースなども選べる。

 ★贈答用や忘年会・新年会の景品向け需要を掘り起こす。企業の経費削減が続く中で、ホテル周辺の住民にも売り込む考えである。12月30日ないしは来年1月末までの期間限定で、計7,700万円の売上を見込む。


●今日の気づき

 ★ホテルビジネスの商魂のたくましさを感じる。「ホスピタリティ」や「コンシェルジュ」といった接客のサービスやおもてなしのサービスだけを学ぶのではなく、ホテルの商魂そのものを、小売業はもっと学ぶべきではないだろうか。

 ★ホテルライフが身近でない一般庶民にとっては、「ホテルは非日常の空間」という意識が頭の中に張り付いている。今や、ホテルのビュッフェスタイルのレストランやランチバイキング、ケーキバイキングは珍しくないが、街中のレストランのバイキングサービスとは区別して考えてしまう。もちろん、ホテルのそれはブランド品のバーゲンセールのような価値があることは認めるが、「バイキング」を求める顧客の「心」には共通した意識があるはずである。顧客の「非日常空間」の意識の中に「日常空間」をぶつけることで、ホテルの敷居を低く感じさせ、「日常空間」にいる顧客をホテルの中に誘い込み、しかも、磨かれた「ホスピタリティ」のサービスを提供することで、ホテルに足を踏み入れた顧客を新しいホテルファンにし、顧客の拡大、顧客層の裾野の広がりを創出しているように感じる。

 ★百貨店に100円ショップや低価格指向の専門店がテナント出店したり、セルサービスの売場ができても、驚くことではないかもしれない。百貨店のたくましい商魂という見方ができるのではないだろうか。

 ★最近では、法事もホテルで行われることが増えている。同じ建物内で結婚式の披露宴と法事が同時に行われても不思議がってはいけないのではないだろうか。当事者が納得していれば問題はない。大観光都市の京都市には、繁華街から少し北にある市役所と鴨川の間に高級ホテルとセレモニーホールが隣り合って並んでいる。高級ホテルのある市内の中心地へのセレモニーホールの建設は、多分、反対運動もあったことと思われるが、ホテルでの法事が珍しくない時代になって、むしろ、先見の明があったのかもしれない。

 ★ホテルの蓄積してきたノウハウ、信用、経験等々、あらゆる有形、無形の資産を総動員してビジネスに生かそうとする「商魂」という視点で見ると、百貨店や総合スーパーは、もっともっと変化に対応してもよいのではないかと思えてくる。「変化対応業」の精神は、ホテル業界の方が、一歩も二歩も先を行っているように感じる。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第32回 SCの新規開業4割減にほっとする

2009年11月17日 02時49分47秒 | 今日の気づき
【2009年11月17日(火)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月17日(火) 朝刊 3面


◆記事の見出し

 《ショッピングセンター 開業 今年4割減に》《郊外規制や投資抑制 地方経済 影響も》《イオン3分の1》《シネコン都心へ》
 《消費の変化に対応後手》


◆記事の内容

 ★日本ショッピングセンター協会によると、2009年のSC開業数は2008年の88か所に対して4割減の50か所程度にとどまる見通し。2009年1~11月の開業は46か所、前年同期は82か所だった。

 ★原因は大手の投資抑制と2007年11月に完全施行された延べ床面積1万㎡超の郊外出店を規制する「改正まちづくり3法」の影響。今後は出店ペースがさらに鈍り淘汰も本格化する可能性が高い。

 ★SC開業はテナント企業の出店、地方の雇用と経済波及効果を生み出してきたので、テナント企業、地方経済にも影響を与えそうである。

 ★SCを主な出店先としてきたシネマコンプレックス(複合映画館)も出店場所を郊外SCから都心へ移す傾向にある。

 ★SCは幅広い客層を人気店の誘致に注力し、結果として、同質化と新鮮味の欠如を招いた。人口減少、成熟社会、節約志向、高齢化で消費のダウンサイジングが顕著になっている。環境問題を意識した車社会への反省もある。ネット通販も伸びている。SCの存在意義が改めて問われている。


●今日の気づき

 ★「4割減」の見出しを見て、ちょっと、ほっとしたような気持ちになる。むしろ、今までが「異常」だったようにも思う。毎年、100か所規模でSCが開業し続けるのは持続可能な形だろうか。自分の買物圏内に大型SCがない生活者にはSC数はまだ足りないと感じるかもしれないが、開業がゼロになるわけでもないので、商業集積過疎地域は別にして、今後は、同質化から個性化、よく言われる「オンリーワン」指向も望まれるのではないだろうか。

 ★日本ショッピングセンター協会のデータによると、1008年末のSC数は2,980か所である。そのうち、30,000㎡以上のSCが284か所ある。10,000坪以上クラスのSCが300近くあることになる。ちなみに、年別の新規開業の1SC当たり平均店舗面積は2003年以降、20,000㎡を超えている。2008年は27,791㎡である。また、2008年の推計総売上高は27兆2,585億円となっている。1SC当たりの平均は91億5,000万円となる。生活者の所得の状況、人口の状況、量的消費市場の状況等を考えると、これまでの成長路線を見直す時期に来ているのではないだろうか。経済社会の低迷が、そうせざるを得ない状況を作っているとも言える。よく言われる「ピンチがチャンス」なのかもしれない。

 ★SCの同質化競争は、いわば、デベロッパーとテナント企業のもたれ合いの結果とも言える。デベロッパーは人気のあるテナント、集客力のあるテナント誘致に注力し、テナント企業は競争力のあるSCへの出店で成長してきた。これまでの成長過程では「正解」かもしれないが、これからは、相手の力に頼るだけでなく、自力で集客できるような実力を持つこともテナントに求められているのではないだろうか。デベロッパーも、テナントが自力を強くできるような環境づくりが求められているように思われる。大事な視点は、見ている先に「生活者」がきちんと見えているかどうかということである。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第31回 時代は変われど「企業は人」は不変の鉄則

2009年11月16日 17時00分52秒 | 今日の気づき

【2009年11月16日(月)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月16日(月) 朝刊 11面


◆記事の見出し

 《追跡 この改革》《サントリーフーズ 「今どきの新人」長期研修》《1年半かけ社会人の自覚》
 《□目標達成 意識付けへ綿密計画 □入社前から毎月リポート □指導役にも講習、成長を期待》


◆記事の内容

 ★サントリーフーズは今年度、18カ月の長期新人研修を導入した。研修は内定式が終わった昨年10月からの毎月のリポート提出から始まり、来年2月の集合研修で終わる。その間、入社前の3月の集合研修、入社後の5月からの中堅先輩社員のマンツーマンによる職場内訓練(OJT)、10月の入社半年後の本社研修などが組まれている。

 ★外部から講師を招き、職場内訓練(OJT)の指導役社員にも研修を行い、向上心を引き出す方法などを学ばせた。

 ★前年度までは主な研修は4月だけだった。今年度になって長期研修に変えた理由は、ゆとり世代の最近の新入社員は目標を達成する意欲が弱いと感じたからだという。入社後にすんなりOJT に入っていけるようにするには入社前から社会人の自覚を醸成する必要があると判断した。2010年度から社員の評価制度も変更する。これまでは担当業務の業績で判断する割合が高かったが、今後は新人育成の実績も重視する。

 ★国内市場の縮小で競争激化が必至の食品・飲料業界で「青田研修」で新人の戦力化を急いでいる。


●今日の気づき

 ★入社後のOJTがスムーズにいくように入社前に社会人教育を行い、OJTに入っても、並行して集合研修など行っていく。「企業は人なり」とは企業が成長していくための鉄則である。鉄則は昔も今も変わっていない。

 ★人を育てるには、人と時間とコストが必要である。人が人を育てるには、育てる側の人も成長していかなければならない。学び続ける人が人を教える資格を持つと言える。教える人の学び場も必要である。人を育てるのは大変な仕事である。

 ★人を育てる大変な仕事を怠ると企業が危うくなる。「人材」を「人財」を表現されることがある。「人財」は決算書に表れない会社の資産である。そうであるなら、会社が存続する限り、「人財」の育成・確保・蓄積への努力を怠ることはできない。時代が変化し、進化し、環境が進化し、新入社員の知識量やITを使いこなす能力が増しても、人としての「核」は変わらない。時代が変化し、進化し、環境が進化し、いわば「遠心力」が大きくなればなるほど、「求心力」である鉄則への回帰、原点への回帰が大事になってくる。鉄則は変化が激しくなるほど、その必要性が鮮明に浮かび上がってくる。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第30回 am/pm店舗のファミマ化への短期実現に注目

2009年11月13日 23時15分25秒 | 今日の気づき
【2009年11月13日(金)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月13日(金) 朝刊 11面


◆記事の見出し

 《am/pm ファミマが単独買収》《きょう発表 店名一本化で調整》


◆記事の内容

 ★コンビニエンスストア3位のファミリーマートは、レックス・ホールディングスから同社傘下の同7位のエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収することで基本合意した。13日に発表する。

 ★当初はファミリーマートの筆頭株主である伊藤忠商事との共同買収を模索していたが、ファミリーマートが単独で買収する。買収額は100億円強。単独買収に決めたのは意思決定を速くし、am/pmの再建スピードを上げるためである。

 ★伊藤忠商事は商品供給や物流面で協力する。

 ★店舗名はファミリーマートに原則一本化する方向で調整する。「am/pm」の商標権を持つ米国エーエム・ピーエム・インターナショナルとam/pmが結んだライセンス契約では、同業のコンビニエンスストアへの売却を禁止する規定が設けられており、今後の課題となるが、最終的にファミリーマートへの売却の実現は米社がカギを握る。


 ★★ファミリーマートでは11月13日付ニュースリリースで、「当社は、平成21年11月13日開催の取締役会において、株式会社レックス・ホールディングス(以下「レックスHD」)が保有する、株式会社エーエム・ピーエム・ジャパン(以下「am/pm」)の全株式および全貸付債権を取得し、子会社化することについて決議しましたので、お知らせいたします。」と、正式にam/pmの子会社化を発表した。なお、同発表による「子会社となる会社の概要」では、am/pmの2008年12月期の店舗数はエリアFCを含めて1,138店舗、個別のチェーン全店売上高は1,515億6,000万円となっている。昨日(11月12日)の本コラムでもファミリーマートのam/pm買収の記事を取り上げたが、店舗数、全店売上高などの経営数値は同記事で報じている数値を引用した。


●今日の気づき

 ★コンビニエンスストア業界のビッグニュースであるので、本コラムでも連続して取り上げた。昨日の記事は正式発表前だが、概要がほぼ紹介されているので、13日の記事は見出しにある「きょう発表」と「ファミマが単独買収」がポイントである。13日に正式発表されているので、発表の詳細は14日に掲載されることと思われる。日経MJでも追いかけるものと思われる。

 ★したがって、13日の記事では、伊藤忠商事との共同買収で調整していたものが、ファミリーマート単独買収に決まったというのが一番の注目点と言える。

 ★単独買収の理由は意思決定を速くしてam/pmの再建スピードを上げるためだとしている。am/pmに「ファミリーマートパッケージ」を移入することを最優先とし、am/pm店舗のファミリーマート化を早く成し遂げて、ファミリーマートの店舗数拡大メリットとam/pm加盟店の経営改善メリットを同時に進めるねらいと見られる。

 ★1,000店舗規模で「ファミリーマートパッケージ」の店舗が短期間で増えることのインパクトは大きい。特に、am/pm店舗の約7割が首都圏に集中しており、今回の買収では、東京および首都圏で、いかに短期間でam/pm店舗のファミリーマート化が実現できるかに、関心が移ってきた。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第29回 ファミマのam/pm買収で価格競争は新局面

2009年11月12日 22時20分29秒 | 今日の気づき
【2009年11月12日(木)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月12日(木) 朝刊 1面/13面


◆記事の見出し

 1面:《am/pm ファミリーマートが買収へ》《伊藤忠と共同 ローソンに迫る》《消費不振、再編促す》
 
 13面:《ファミマ、am/pm買収へ》《価格競争へ規模追求》《伊藤忠連合、存在感増す》


◆記事の内容

 ――1面――

 ★コンビニエンスストア3位のファミリーマートと同社の筆頭株主の伊藤忠商事が共同で、7位のエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)を買収する方向で最終調整に入った。am/pmの親会社のレックス・ホールディングスから全株式を買い取る。買収額は100億円前後と見られる。

 ★買収が実現すれば、店舗数は約8,500店舗(ファミリーマート約7,400店舗、am/pm約1,100店舗)となり、2位のローソン(約9,500店舗)に迫り、首位のセブン-イレブン(約12,300店舗)の追撃体制が整う。最大市場の東京ではセブン-イレブンを抜いて最多店舗数なる。

 ★買収により競争力が強化でき、am/pmの経営も、物流・仕入の共通化や商品の共同開発を通じた運営ノウハウの移転で改善可能と見ている。伊藤忠商事も新たな商品の供給先を確保できる。

 ★消費不振でコンビニエンスストアの飽和感が強まるなか、再び業界再編が動き出した。今回の買収が実現すれば、コンビニエンスストア業界では2001年のサークルKサンクスの経営統合以来となる。

 ――13面――

 ★ファミリーマートと伊藤忠商事がエーエム・ピーエム・ジャパン(am/pm)の共同買収で最終調整に入った。ファミリーマートが上位2社を追うためにはM&A(合併・買収)が重要度を増している。am/pmの店舗数はファミリーマートの年間店舗純増数の約5年分に当たる。東京に限れば、am/pmの約560店舗を加えると約1,700店舗となり、セブン-イレブンの約1,650店舗を抜きトップに立つ。

 ★今回の買収は、コンビニエンスストアの定価販売が崩れるなか、規模拡大を急ぎ、価格競争を高めるためである。

 ★伊藤忠は、サークルKサンクスを傘下に持つユニーと資本提携したこともあり、伊藤忠商事を軸としたコンビニ連合の存在感が増しそうである。伊藤忠商事が関係するコンビニエンスストアのファミリーマート、am/pm、サークルKサンクスの合計店舗数は約14,700店舗となりセブン-イレブンを抜く。少子高齢化や消費不振が進むなか、小売各社は割安なPB商品投入に力を入れ価格競争が激しく、商品開発や共同仕入などで足並みが揃えば同業だけでなくメーカーに対しても大きな圧力となりそうである。

 
 ★★なお、ファミリーマートでは11月12日付で次のようなニュースリリースを発表している。発表文は以下の通りである。「本日、一部報道により当社とエーエム・ピーエム・ジャパンに関する報道がなされていますが、これは当社が発表したものではなく、決定した事実はございません。以上」。


●今日の気づき

 ★わが国のコンビニエンスストアの店舗数は5万店舗で限界に達すると言われてきた。現在の店舗数は約4万5,000店舗と見られている。店舗数は飽和状態に近づき、陣取り競争がさらに激化してきそうである。陣取り競争は一方では同質化競争の表れでもある。同質化競争では価格競争は避けられない。

 ★規模拡大のメリットは理屈では理解できても、規模拡大が競争力強化のすべてではないように感じてならない。am/pmの全店売上高は2008年12月期で1,955億円である。一方、ファミリーマートは2009年2月期で同1兆3,340億円である。1兆3,340億円の販売力は非常に大きな商品開発力とバイイングパワーである。1兆3,340億円のパワーと1兆5,295億円(買収後の両社合計売上高)のパワーの差がわかりづらい。バイイングパワーと商品開発力の強化より、5万店舗飽和説を「是」とするなら、5万店舗のうち、いかに大きな店舗数シェアを獲得するかがコンビニエンスストア業界の最大のテーマになっているのではないだろうか。

 ★価格競争はコンビ二エンスストア間もさることながら、スーパーやドラッグストア、ホームセンタなどとの異業態間競争が激しい。コンビニエンスストア業態を起点とした価格戦略より小売業界の価格競争を基点としたコンビニエンスストアの価格戦略が求められているのではないだろうか。弁当は各地の産品を用いた特色のある付加価値の高い商品の開発なども行われているが、価格面ではスーパーの290円弁当や390円弁当との競争に苦戦している。NB商品の値下げなども行われているが、スーパーの売価には及ばない。アメリカのガソリンスタンドを併設していないコンビニエンスストアは24時間営業のスーパーとの競争で低迷したと言われている。価格競争は異業態間を横串で刺す競争である。紙面ではそこまで内容を広げられず触れていないのだろうが、コンビニエンスストア各社も小売業界の先端を行くトップランナーとして、そういう戦略を練っていることと思われる。コンビニエンスストアが商品開発力とバイイングパワーを背景に低価格競争に参入してくるとすれば、高価格・高付加価値商品の動向と合わせて、日常品消費市場は新たな競争局面を迎えることになる。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第28回 百貨店魂の巨大な底力に期待と注目

2009年11月11日 21時25分57秒 | 今日の気づき
【2009年11月11日(水)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月11日(水) 朝刊 12面


◆記事の見出し

 《スポーツ専門店導入》《大丸・松坂屋、集客力高める》


◆記事の内容

 ★J・フロントリテイリングは傘下の大丸、松坂屋にスポーツ用品専門店を導入する。

 ★11月14日にオープンする大阪の大丸心斎橋店北館(そごう心斎橋本店跡に出店)で10階に関西地盤の「スポーツミツハシ ブラウニー」を導入する。また、東京の松坂屋上野店では来年3月にオープンする別館に地元の「アートスポーツ」本店を誘致する。ランニングや軽登山向けの衣料・用具などを充実させ中高年や若い女性の集客をねらう。

 ★J・フロントリテイリングは紳士服の「はるやま商事」を大丸梅田店(大阪)や同札幌店(北海道)に導入し、カジュアル衣料の「ユニクロ」の梅田店への誘致交渉を進めるなど、専門店の活用に積極的である。

 ★いずれも運営は専門店に任せて、自社社員数を減らして運営コストを抑え、高コスト体質からの脱却を図る。特に、スポーツ用品は、百貨店にノウハウが乏しく集客の面でも効果が高いとみている。


●今日の気づき

 ★百貨店は変化の激しい時代をどう生き抜くのか大胆なチャレンジが始まっている。従来型の百貨店業態は時代に合わなくなっているが、日本の小売業を牽引してきた百貨店の動きは注目し続けなければならない。

 ★ダイエーやマイカルなど総合スーパーの経営破綻が新聞を賑わしていた頃。総合スーパーより前に百貨店の厳しさが言われていたが、百貨店より総合スーパーの方が早く破綻が来た。その理由について、こういう話を聞いた。スーパー業界は経営環境が厳しくなると、新業態開発などの議論が出てくるが、百貨店業界は、百貨店はどうあるべきか、という議論になるという。説得力のある話として記憶している。

 ★大丸心斎橋店北館のストアコンセプトはJ・フロントリテイリングのニュースリリースによると、~心斎橋らしいおしゃれさに、若々しさ、新しさ、買い易さ、品揃えバリエーションが増した~“エキサイティングな都心型ハイブリッドSC”である。ハイブリッドSC(ショッピングセンター)とは、百貨店VS専門店、プレステージVSボリューム、アダルトVSヤングなど、これまでの百貨店の特徴と強みに、異なる特性と魅力を加えることにより、都心型SCとして、ショッピングの多様で新たな価値と楽しさを提供する新しい百貨店の姿を表現している。また、新規の顧客層やマーケット拡大への取り組み、ショップ運営を中心とした新しいマネジメント体制・ローコスト運営の導入等は、同社が志向する「新百貨店モデル」への先行チャレンジでもあるという。

 ★現在の心斎橋店は50歳前後を中心に40代から60代を主要顧客層とした品揃えの充実を図る。一方、北館は「アラウンド30」と「ヤング」のマーケットに対応していくことにしており、売場の約半分を20~30代前後の女性ファッション売場にする。また、北館はローコスト運営の「新百貨店モデル」のスタート台と位置付けており、アパレル企業などから派遣される販売員のみで接客するショップ運営売場の売上比率を99%(通常店舗は約80%)に引き上げるという。百貨店の従業員は接客教育や店舗全体の広告販促に集中し、現在の従業員数は変えないで、北館のオープンにより2倍の規模になった店舗を運営することになる。

 ★「ハイブリッドSC」という表現を使っているように、「SC」のデベロッパー機能を強化していくねらいもうかがえる。店舗の「編集力」と「接客力」、「販促企画力」に蓄積してきた経験とノウハウを集中させる考えともみられる。百貨店の低迷は、一方では売場を構成していた専門売場が大型化した専門店に顧客を奪われたことによるとも言える。ブランドショップ化を進めることで差異化を図ってきた。すでに、1社直営の力ですべての売場を魅力あるものにできなくなっている。総合スーパーも同様である。

 ★大丸心斎橋北館はそうした百貨店の新しいチャレンジとして大いに注目される。三越はイオンモールが東京で運営する郊外型SC「むさし村山ミュー」に同社初の郊外店として出店したが早くも撤退した。食品売場を見ると、もう一方の核店舗であるジャスコとの違いを出し切れなかったし、三越のメイン顧客層と郊外型SCのメイン顧客層の不一致もあった。しかし、老舗百貨店の果敢なチェレンジは評価したい。

 ★このように、日本の小売業の近代化を牽引してきた百貨店が不断のチャレンジを繰り返している。巨大な底力のある百貨店のチャレンジには、これからも目が離せない。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第27回 改正薬事法と環境問題の関連性

2009年11月10日 12時15分49秒 | 今日の気づき
【2009年11月10日(火)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月10日(火) 朝刊 3面


◆記事の見出し

 《大衆薬 販売伸びず》《薬事法改正から半年》《薬剤師の説明を敬遠》
 《医療用成分の薬、1~2割減/規制緩和品は新規参入進む》


◆記事の内容

 ★一般用医薬品(大衆薬)の市場活性化に向けた改正薬事法の施行から今月で半年経つが、大衆薬の販売が伸びない。

 ★改正薬事法の目的は膨らむ医療費を抑制するために軽度の病気は病院にかからずに自分で治療・予防するセルフメディケーションを推進することである。

 ★そのために、大衆薬を副作用のリスクが高い順に第1類、第2類、第3類に分けて、病院で処方する医療用医薬品の成分を転用した第1類を拡大した。第1類は安全性を確保するために薬剤師が書面で副作用のリスクを説明するよう義務付けられたが、手間を嫌う顧客に敬遠されて売上が伸びていない。店舗側では、顧客が簡単に手を触れられないように施錠されたガラスケースやカウンター奥に陳列しなければならないことが売りにくくしているということもある。第1類の販売は前年比1~2割落ち込んでいる。一方、第2類、第3類は薬剤師でなくても登録販売者がいれば販売できるのでスーパーやホームセンターの参入が相次ぎ、一部で価格競争も始まっている。新規参入組みの売上がドラッグストアの売上に影響しドラッグストアが苦戦しており、第2類、第3類は前年比ほぼ横ばいのようである。進む新規参入が大衆薬全体の底上げにはなっていないという。


●今日の気づき

 ★セルフメディケーションの土壌ができていないのに制度だけ変えても効果が出ないのは当たり前。国民医療費の抑制という大きな目標があるのだから、マスコミも含めた積極的な対応が必要ではないだろうか。一方で、環境問題で「エコ」が世界的な関心事になっている。「エコ」はムダをなくすことから始まる。法改正の作業から、告知、実施と、官民それぞれの立場で膨大な人と経費をかけて取り組んできたはずである。まだ半年とはいえ、経費に見合う効果は出ていないのではないだろうか。このままだと、多くのムダを出したということである。

 ★大衆薬販売の現状とセルフメディケーションの現状との間に開きがあり過ぎるのではないだろうか。

 ★断っておくが、ドラッグストアが悪いという考えではない。現在のドラッグストアの売場を見て、陳列が工夫をされていて、表示がされていても、顧客は第1類、第2類、第3類の区別と意識が持てるのであろうか。国民はテレビのコマーシャルを見ても、第1類、第2類、第3類の区別を意識できているのであろうか。いきなり、6月1日より、この薬は薬剤師が書面で副作用のリスクを説明しなければ売れなくなりました、と言われると、戸惑いが先に来るのではないだろうか。面倒と感じてしまうかもしれない。まして、将来の国民医療費抑制の必要性はニュースで知っていても、今、この薬を1箱買うのにそういう意識を持てるのであろうか。まず、医療問題の啓蒙の必要性を感じる。

 ★セルフメディケーションへの意識も国民の間に浸透しているのであろうかと思う。軽度の症状でも救急車を呼ぶ人が多い現状を見ると、セルフメディケーションの土壌ができているとは思えない。いくら第1類の薬は病院の薬と変わらないと言っても説得力に欠けると思われる。いくら、よく利く薬がドラッグストアで売られていても、国民は病院とドラッグストアを使い分けている。その使い分けの基準を打ち壊さないと改正薬事法の効果は出ない。人がもともと持っている価値基準を変えるには大変な努力が必要となる。薬事法が改正されるとか、大衆薬の分類が変わるというニュースがあっても、それとセルフメディケーションの関係がテレビで大きく取り上げられたことはなかったのではないだろうか。テレビ番組をいつもチェックしているわけでもないので、もしかして、そういう番組を特集していたかもしれないが…。事の大きさを考えると、セルフメディケーションの問題を薬事法の改正や登録販売者制度の新設の10倍も20倍も多くテレビのワイドショーなどで取り上げるべきではなかったのではないだろうか。同じ「クスリ」の問題だが、タレントの覚醒剤問題は毎日のように取り上げられるが、実は、その何倍もの時間をかけてセルフメディケーション問題を取り上げ、大きな国民世論にまで引き上げる努力が必要ではなかったのではないだろうかと思う。マスコミということでは新聞、雑誌も同罪かもしれない。

 ★先ほども触れたが、環境問題はCO2の問題だけではない。あらゆるムダの排除が関係してくる。ムダの排除とは、かけるコストと労力をできるだけ少なくして大きな効果を出し、しかも、かけたコストと労力で得られる結果を最大限にする努力とも言える。薬事法を改正しても大衆薬の販売が伸びていない記事を見て、環境問題に発想が飛ぶとは思いもよらなかったことである。しかしながら、いつも感じていることは、環境問題は今後の社会変革の大きな大きな基軸、キーワードになっていくということである。これは間違いのないことと確信している。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第26回 「おひとりさま」生活は消費社会の成熟度を表す

2009年11月09日 14時38分41秒 | 今日の気づき
【2009年11月9日(月)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月9日(月) 夕刊 7面


◆記事の見出し

 《食事や旅行「求む相方!」》《割高なおひとりさま生活 ちゃっかり節約》《つかず離れずが心地よい距離感》
 《ちなみに 1人消費 90年代から拡大 キャンプも登場》


◆記事の内容

 ★相乗り、相部屋、相席など、見知らぬ人同士を結び付けるサービスが人気だという。

 ★終電が終わった後でタクシーの相乗り相手を探す会員制の携帯サイト、旅行会社の1人参加限定ツアーの会員組織や1人参加者向けに相部屋コースを設定した中高年向けスキーツアー、相席を勧めるレストランなどが紹介されている。

 ★単身世帯が3割を占め、様々な消費の現場で「おひとりさま」は珍しくなくなったが、グループと比べると費用が嵩む。面倒がないと相方を作ることで節約のメリットも出せるという。

 ★面倒がないなら相棒も欲しいし、1人の気安さを満喫しつつ話し相手も欲しいとの要望は少なくないという。

 ★記事は、「相方を求めるものの、深くは踏み込まない――。現代人の意識がにじんでいるように見える」と結んでいる。


●今日の気づき

 ★生活者の生活環境が豊になり、一人の生活者が消費シーンを使い分ける多様化、消費社会の成熟度がさらに高まったのではないだろうか。

 ★「おひとりさま」生活主義者が増えたわけではない。一方で複数人環境も平気である。家族を嫌っているわけでもない。家族も個々には事情は異なるが、家庭内での「個」が増えている。「単身」か「家族」かという二者択一ではない。多者択一であり、その「一」も場面場面で変わる。しかも、同じ場面でも前回と違う「一」が要求されることもある。すなわち、「一」は人の感性、心理、状況によって常に変化する。

 ★「一」への対応に固執すると外れた時の衝撃は大きい。しかし、「一」への対応はきちんとしていなければならないし、「多者」にもきちんと対応しなければならない。

 ★もしかして、顧客指向のさらなる見直しが必要な時に来ているのではないだろうか。極論すれば、顧客の求めていることに従順に対応していては、店舗が振り回されてしまう懸念がある。ここまでは徹底的に対応するが、それ以外のことを求めるなら他店に行ってくださいというようなメリハリも必要かもしれない。

 ★消費の成熟社会では、店舗が顧客を選び、顧客が店舗を選ぶという、顧客と店舗の関係性が確立されなければならない。店舗のポジショニングの明確化が求められる。それができないと、CRMなどできない。

 ★顧客は自由に行動するようになった。自由に行動する顧客は「固定客」として店舗に縛られたくはないだろう。選択肢を多く持ちたがる。店舗は「固定客」として顧客のどの部分を縛るのか、その方針の明確化が必要である。そこがきちんとできれば、顧客は、ここの部分はこの店舗でというようになるだろう。結果として、縛られたくないと思いつつ「固定客」になってしまっていると。「固定客化戦略」という表現が使われることがあるが、今や、「固定」とか「縛る」という表現が当てはまらなくなっている。店舗は顧客とどの部分で関係性を強くしていこうとしているのか。顧客は店舗のどの部分で関係性を強くしていきたいと考えているのか。「固定客化」はその結果において得られるもので、総論的に大きく戦略の看板に掲げるものではなくなっているのかもしれない。ただ、大きな看板に掲げないものの、その方針は以前にも増して明確に意識していかなければならない。消費社会の成熟度が着実に進展している。

(東)

【日替コラム】今日の気づき/新聞を読んで   第25回 電子マネーの普及は個店の魅力づくりを促進 

2009年11月07日 13時35分16秒 | 今日の気づき
【2009年11月6日(金)】

◆読んだ新聞

 日本経済新聞 11月6日(金) 朝刊 11面


◆記事の見出し

 《楽天 電子マネー参入》《「Edy」運営企業を子会社化へ》《ネット通販、利用可能に》


◆記事の内容

 ★楽天は電子マネーのEdy(エディ)を発行するビットワレットを子会社化し電子マネー市場に本格参入する。
 
 ★仮想商店街の楽天市場などでEdyによる決済を可能にする。

 ★楽天市場の楽天スーパーポイントをEdyが使えるコンビニエンスストア、飲食店などで使ったり貯めたりできるようにする。

 ★楽天は自前の決済手段を増やすほか、楽天スーパーポイントによる顧客の囲い込みも目指す。

 ★花井 健・楽天常務執行役員のコメント「Edyとの提携で、実際の店舗での購買という〝リアル〟を取り込み、楽天経済圏を拡大できる」


●今日の気づき

 ★利用者の立場で考えたい。

 ★電子マネーを貯める「入口」は、通常のチャージ以外に他のポイントサービスのポイントを電子マネーに変換できるなど、広い方が利便性は高くなる。

 ★電子マネーを使う「出口」は、どの店舗でも使えるようになるなど、広い方が利便性は高くなる。

 ★Edyや楽天スーパーポイントがリアル店舗とバーチャル店舗の間を行き来できるようになることで電子マネーの「入口」も「出口」も広くなり利用者の利便性は高まる。一方、店舗側は「入口」でも「出口」でも競争が激しくなり、店舗そのものの魅力の向上が重要になる。

 ★ポイントサービスのポイント提携も同じである。「入口」が広くなれば、顧客は同じ商品を同じ値段で売っている店舗であれば、ポイント付加率の高い店舗を選ぶ。ポイント競争の体力消耗戦になりかねない。ポイント付加率が少々低くても顧客を引っ張り込める店舗の魅力作りが体力消耗戦を回避させる。「出口」も同じである。「入口」の店舗で貯めたポイントを「出口」も同じ店舗で使ってもらう(再来店)ことがポイントサービスの大きなメリットである。「出口」でも激しい競争が待っている。顧客の利便性が低くなっても、それ以上の「何か」を顧客に提供できることが求められる。

 ★顧客の利便性が増すことは、競争が激しくなるということである。電子マネーを軸としたグループ化が進んでいくと予想されるが、グループ化はグループ同士の競争と同時に、企業間、個店間の競争を激しくさせることでもある。結果として、生活者の消費環境が良くなることは望ましいことである。

(東)