フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

この人生を歩むすべての人 ALL WALKS OF LIFE

2007-05-02 00:22:26 | Weblog

今朝方、新入生と思われる学生が笑い声を上げながら学校に向かっている姿を見ている時、この言葉が浮かんでいた。それはもう20年以上前のことになるだろう。恩師KI先生の追悼集の巻頭にこの言葉を見つけた時の不思議な感慨と共に私の中に残っていたのだ。それは米国の恩師EAB先生がKI先生のために書いた追悼文の中に、次のような文脈で現れた。

"KI was a rare person, gifted with exceptional ability and the finest instincts of a gentleman. He combined these qualities with that sense of service and responsibility, of personal and collective worth, that appears so characteristically Japanese but is the aspiration of good men everywhere, in science no less than in other walks of life."

「KIは並外れた能力を持ち、生まれながらの素晴らしい紳士という稀有の男であった。彼は奉仕の精神と責任感をも併せ持っていた。これらの特質は日本人に特徴的なように見えるが、あらゆるところの善き人の目指すものである。他の職業にも劣らず科学の分野でも」

日本語にしてしまうと何も感じないのだが、"walks" という言葉がそれまで聞いたことのない意味合いで使われていたために、強い印象を残したものと思われる。そこには、この人生をそれぞれの道でひた向きに歩んでいる人という意味合いが込められているように感じられた。そう感じた時、この世の中を肯定的に捉えている心やこの世のすべての人に対する共感のようなものを感じているEAB先生の心が見えたのだ。

今朝会った彼らがこれから歩んでいく 「それぞれの道」 が頭をかすめ、この言葉が浮かび上がったのかもしれない。そこから進んで、今それぞれの道を歩んでいる人たちのひとりとして自分も歩んでいる、あるいはこれからも歩んで行こうという気持ちを確認していた。朝の何気ない風景が、その昔に覚えた共感のようなものを蘇らせてくれた。

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日本の方向 (ミコ)
2007-05-02 11:29:55
EAB先生のお言葉は素晴らしいです。
でも、高度成長、ことに70年代以降の日本はイノベーションの名で、取り返せない物も捨てすぎて来たと思います。

京都の街に親しんで52年になりますが、職人より技術者が幅を利かせ過ぎ、多くのものを失ったと痛感します。東京で建て急ぐ豪華?な建造物の数々が、EAB先生のお褒めの日本人の精神性をより豊かに深めるものになるのか?はなはだ疑問です。

ワルシャワの街が世界遺産に登録されたのは、破壊つくされた戦前の街を手塩と愛情をかけて修復した、その人々の努力に対しての評価でした。最近1夜で壊滅したドレスデンの1日を描いた映画「ドレスデン、運命の日」を観ましたが、半世紀かけて再現した聖母教会の完成式に出会えた夫は「技術」と「文化」に対する日本人の姿勢に強い危惧を抱いたと言います。

東京都庁が築17年で雨漏りしたことにびっくりしたわたしは、高校同期の建築家に「なんで?」と聞きましたが「よくあるこっちゃ」が返事でした。

新入生たちは、このような「文化」の東西の形をきちんと学ぶのでしょうか?教える教師は居るのでしょうか?
日本の芯 (paul-ailleurs)
2007-05-02 19:32:36
日本人の中に芯となるものが見つけられないのではないでしょうか。じっくり考えることを怠り、議論することを怠り、経済第一で外のものを丸呑みする思考停止、節操のなさが反映しているようにもみえます。ぽっかり穴のあいたその心に気付く人は少ないようです。先日書いた中に、今のフランスを決めているのはテレビである、歴史ではなくテレビ(「現在」の綱渡り)が人々を結び付けていると嘆いている人が出てきましたが、その中にいると気付くことなく行きそうです。状況はどこでも同じなのかもしれません。

ところで、ドレスデンの聖母教会のお話で思い出したことがあります。ニューヨークのロックフェラー大学にいるギュンター・ブローベル博士(1999年ノーベル賞)がその再建のための精神的な支柱になるだけではなく、私財(賞金も)を投げ打って努めているというニュースをかなり前に読んだことがあります。感傷ではなく深い思索から出ていると思わせるところがあり、記憶に残っていたのだと思います。

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