1987年~2000年まで務めた会社を辞めて転職することにした。
大学を卒業し、会社に勤めることにした頃、朋輩は「勤め人になるとは思わなかったがな」などとからかわれ、「21世紀になったら辞める」などと息巻いていたことを思い出す。
その通りになった訳だがまだ勤め人を卒業したのではなく、小さな会社に鞍替えするのである。
規模にして社員数が4000分の1となる。
気分転換といってしまえばそれまでだが、しばしの自由な身を利用して京都に出かけてみた。
京都駅から三十三間堂。
智積院に寄って等伯の楓図、庭などみる。
東大路を五条坂に向かって歩いていく。
このあたりは昔、下宿していた今熊野から大学へ通う通学路であり思い出深い。
智積院の北、妙法院の北並びに京都専売病院という病院がある。
この病院は私にとってささやかな遺恨がある。
将軍塚方面から東山の裏を抜けて蹴上に到る山道を単車でよく行った。
単気筒のホンダCB250RSというモデルで軽く小さくよく走った。
さして飛ばすということもなかったが途中油断して山側にはみ出して側溝に突っ込んだ。
左足のふくらはぎが大きくえぐれ感覚がない。
その状態で病院に行くことにし、東大路まで戻ったところで専売病院の受付に行き、「緊急なんですけど」とお願いしたところ「ウチは緊急指定されてへんのでそっちに行きなはれ」とあしらわれ、再び動かぬ足で近くの病院に移動し、即手術、即入院と相成った。
(注 専売病院は移転、2016年5月現在、跡地はフォーシーズンズホテルとなっている)
東大路五条を越え、清水寺に行き、三年坂二年坂を抜け、霊山護国神社の坂本龍馬の墓参りをし、バスで銀閣寺まで行った。
この東山散歩は京都で暮らす以前から好きなルートであって想い出の道でもある。
安定した職を棒に振り、呑気に遊んでいる場合ではないと言えばそれまでであるが気持ちが軽くなった。
京都駅まで戻って大阪に向かった。
宿はNTT時代の先輩のところにお願いした。