12月が訪れたアクセントみたいに今日は寒かった。
学校では今日から灯油の『配給』が始まり、ストーブが使用可能。
『配給』という言葉の重々しさ。使用できる灯油は限られている。
ストーブのおかげで美術室は暖かい。快適に授業ができる。
そんな中、3年では進路成績が生徒に配布され、放課後の3年フロアは興奮冷めやらぬ様子。
毎年、教科の先生に文句を言いに行く生徒や狂喜乱舞する生徒、
はたまた大声で泣き出す女子生徒がいて大パニックになる。
美術科にはまだ苦情は来ていないことにほっとしながら部活を見に行くと、
引退した美術部の3年生が、美術室に来て号泣していた。
私立の美術系高校を推薦で狙っていたのだけど、1ポイント足りなかったらしい。
「あと1ポイントだったのに。一般受験なんかムリ、絶対ムリ・・」としゃくりあげる。
英語が、思っていた評価と異なっていたらしい。その後、先生への恨み節が続く。
しかし彼女はたいして努力もしていなかったということを私は知っている。
自分のせいなのだ。この時期の3年の成績は進路に直結することはみな承知の上だ。
私はこういうとき、妙に気持ちが冴えざえ冷たくなるのを感じる。
努力しないで報酬だけ求めるのは好きではない。
働かざるもの、食うべからず、なのだ。世の中そんなに甘くない。
成績が出ちゃったからには、もう腹を据えて次の方策を立てるしかない。
彼女のデッサンはとても素晴らしい。ただ、描くのに時間がかかる。
彼女が受験したかった高校の推薦では、事前に描いた絵が審査されるのだけど、
一般受験はその場でのデッサンで、当然時間制限がある。
ならば今から毎日でも描いて、時間短縮できるように自分を慣らしていくしかない。
そして一番は教科の学習だ。英語は捨てた、と夏明けに言ってた、
だったら英語の評価が落ちて当然。気持ちを入れ替えてがんばるしかない。
ほんとに行きたいと思っているなら、泣いている場合じゃない。
そんなことをポツポツと彼女に話した。
しゃくりあげるのをやめ、彼女は少し落ち着いてきた。
本当に行きたいのだ。
よしよしと慰めるのが、女性的なやり方なんだろう。
けど、私にはできない。
最後はたった一人、頑張るしかないという事実をしっかりたたきつけて、
それでも君はできるか?と問う。
陸上競技をずっとやっていたせいか、そういう発想になった。個人競技だ。
怖くても逃げたくても、前に走りだすしかない。
誰でもいつかそういう冷たい場所に一人立つ日がやってくる。
自分の足で、意志で立てるように。
受験生たちは、心から冷たい場所にいる。
冬はとても、なにかと辛い季節だ。
学校では今日から灯油の『配給』が始まり、ストーブが使用可能。
『配給』という言葉の重々しさ。使用できる灯油は限られている。
ストーブのおかげで美術室は暖かい。快適に授業ができる。
そんな中、3年では進路成績が生徒に配布され、放課後の3年フロアは興奮冷めやらぬ様子。
毎年、教科の先生に文句を言いに行く生徒や狂喜乱舞する生徒、
はたまた大声で泣き出す女子生徒がいて大パニックになる。
美術科にはまだ苦情は来ていないことにほっとしながら部活を見に行くと、
引退した美術部の3年生が、美術室に来て号泣していた。
私立の美術系高校を推薦で狙っていたのだけど、1ポイント足りなかったらしい。
「あと1ポイントだったのに。一般受験なんかムリ、絶対ムリ・・」としゃくりあげる。
英語が、思っていた評価と異なっていたらしい。その後、先生への恨み節が続く。
しかし彼女はたいして努力もしていなかったということを私は知っている。
自分のせいなのだ。この時期の3年の成績は進路に直結することはみな承知の上だ。
私はこういうとき、妙に気持ちが冴えざえ冷たくなるのを感じる。
努力しないで報酬だけ求めるのは好きではない。
働かざるもの、食うべからず、なのだ。世の中そんなに甘くない。
成績が出ちゃったからには、もう腹を据えて次の方策を立てるしかない。
彼女のデッサンはとても素晴らしい。ただ、描くのに時間がかかる。
彼女が受験したかった高校の推薦では、事前に描いた絵が審査されるのだけど、
一般受験はその場でのデッサンで、当然時間制限がある。
ならば今から毎日でも描いて、時間短縮できるように自分を慣らしていくしかない。
そして一番は教科の学習だ。英語は捨てた、と夏明けに言ってた、
だったら英語の評価が落ちて当然。気持ちを入れ替えてがんばるしかない。
ほんとに行きたいと思っているなら、泣いている場合じゃない。
そんなことをポツポツと彼女に話した。
しゃくりあげるのをやめ、彼女は少し落ち着いてきた。
本当に行きたいのだ。
よしよしと慰めるのが、女性的なやり方なんだろう。
けど、私にはできない。
最後はたった一人、頑張るしかないという事実をしっかりたたきつけて、
それでも君はできるか?と問う。
陸上競技をずっとやっていたせいか、そういう発想になった。個人競技だ。
怖くても逃げたくても、前に走りだすしかない。
誰でもいつかそういう冷たい場所に一人立つ日がやってくる。
自分の足で、意志で立てるように。
受験生たちは、心から冷たい場所にいる。
冬はとても、なにかと辛い季節だ。