
いくつか例題を元に説明しますが、スタイルブックではもっとたくさんのデザインが掲載されています。基本を解説しますので、下例の方法を頭に入れていただければ、多分大方のデザインは同様に操作できるでしょう。

前回までの説明で、問題点の見つけ方等が大分お分かりいただけたのではないかと思いますが、右製図もやはり同様の問題がありますので、部分活用を覚えていただくことをお勧めします。
右製図は、タイトスカートを変形してマーメイドラインを引いています。ダーツ、ゆとり、全体のバランスなどの問題が見つかりますので、右製図の方法は無視し、パタピッ ソフトの

右製図の裾の広げ方などの数値を参考に、パタピッ 製図を編集していきましょう。マーメイドに広げる基点(右製図のヒップラインからの25cm、20cmなどの位置)は、割合計算することをお勧めします。
スカート丈は当然着用者それぞれ異なりますので、メジャーでウエストからの丈を計って決めるか、お持ちのスカートなどを計って決めるなど、ご自分のご希望の丈を決めます。
脇側の基点は丈の約半分の位置ですから、スカート丈が仮に72cmなら、裾から36cmが基点になります。中心側も割合を計算して位置を決定しましょう。
裾の開き分量は、この数値を参考にして良いでしょう。ただ、ここも勿論製作者の意思を投影して構いません。素材が柔らかく、フレアを多めに出したい場合などは、この数値も変えてみましょう。

若い方のスカートに多いデザインです。ジャストウエストではなく腰で履くスカートです。少し裾が広がっていますので、

右製図では、ウエストから5cm落としています。
着用者が腰のどこで履きたいか、その位置にメジャーを回して測ります。
パタピッ に、計った腰回り数値とヒップ、スカート丈、裾の開き寸法(右製図では2cm)などを入力し、セミタイトスカートの基本をまず作成します。
※ ヒップハングスカートの操作は、パタピッでは「身長」操作で簡単に引けます。マニュアルが詳しく説明していますので、そちらをご覧ください。
この製図の様に、ジャストウエストの製図を引いてから5cm落とす引き方ですと、腰周りの寸法には個人差がありますので、思い通りの位置でぴったり仕上がりません。パタピッ 操作でヒップハングスカートの基本型を作成すると希望の位置で履けますから、その意味でもパタピッ で引きましょう。
残りの作業は、前中心のプリーツ分量(この製図では12cm)を足し、次に後ろスカートのフレア部分を引きます。
この2箇所は上の製図を参考に引いて構わないでしょう。
後ろスカートの第一ダーツの先端から直線で図の様に交差させて引きます。
(注意)上の製図では、前後中心からのダーツ位置を「9cm」「8cm」としています。パタピッ で現れた位置はその寸法と異なりますが、無理に直さないでくださいね。これも着用者のバランス計算で現れたダーツ位置です。そのまま裾に向かってフレアラインを引いてください。
※ ダーツ位置のバランスは、新バージョン(2006年版)のパタピッ がより信頼できますので、バージョンアップがまだの方は是非更新しましょう。更新の詳細はしてご覧ください。
パタピッ ソフトは、ダーツの本数は体型により一本だったり二本だったりします。これは、ウエストとヒップの寸法差をバランスを保ちながら計算し、一本、二本を内部で決定しています。「どうしても一本(或いは二本)にしたい」という場合は、ユーザーがCAD操作でダーツを移動したり寸法を変えたりしても構いませんが、それによりバランスを崩す場合がありますので、十分な知識の上で行ってください。体型的な癖がある場合以外は無理に変更しないのが賢明でしょう。
※ パタピッ で現れたダーツが一本であれば、その一本のダーツの先端から裾に向かって交差させるようにフレアを引いてください。

もう方法はお分かりでしょう。
そうです。

パタピッ で現れたダーツが一本であれば、そのダーツを図の様に降ろして引いてください。ダーツが2本でしたら、第一ダーツ(中心側から一本目のダーツ)を降ろして引きます。
二本目のダーツは消さないでちゃんと縫ってくださいね。そのダーツはその着用者にとって大事なダーツです。図の様な8枚はぎスカートの脇側のスカートにダーツがあっても何も問題ではありません。
※ この製図も上の2例の製図も次の製図もどれもゆとり分量が多いので注意してください。ゆったりが好きな方はパタピッ のヒップ入力を1~2cmプラスして操作して構いませんが、上製図の「2.5cm」のゆとりは多すぎます。気をつけましょう。

これももうお分かりでしょう。

斜めの切り替え線を引く位置は、割合計算をして決めます。
左右非対称製図ですから「両面製図」にして作業しなければいけません。プチCADユーザーは「ミラー複写」機能を使い反面製図のタイトスカートを両面製図にしてください。(手順は、「ミラー複写」をクリック → 右クリック(これで全ての線が選択できます) → 中心線の両端点を左クリック → 「複写」をクリック ・・・一瞬で両面製図になります。操作はとても簡単なので手書きで両面にするよりずっと楽です。)
切り離してから回転させてフレアを開いていく作業は、CADで行うのが面倒なユーザーは印刷後の紙面にはさみを入れて行ってください。
(右製図は後ろスカートです。前スカートも説明は同じなので、前スカートの図はここでは省略しました。)
最近のスカートは、切り替えたり広げたりとたくさんのパーツを組み合わせたものが実に多く、雑誌や店内のここかしこで見かけます。非常に複雑そうに見えるものもありますが、どれも基本製図からの展開ででき上がるものばかりです。
スカートに限らずトップスでも、デザインが違うと製図はまったく別物と思うでしょうが、どれも基本からの展開です。基本製図を展開して様々なデザインが生まれています。
どうぞパタピッ の基本を十分に利用してたくさんのデザインを楽しんでください。正しい基本製図から展開してでき上がった服は、着心地が良い上、仕上がりがきれいです。逆の意味で言うと、基本製図が不正確な場合は、そこからどんなにステキなデザインに展開しても、着心地も改善されませんし、おしゃれな服にもなりません。
パタピッ スカートソフトは操作が簡単で、初心者でもすぐに覚えますから、多分上の各例のデザインなどは、ソフト購入後でもすぐに引けるでしょう。(CAD操作は慣れるまでは飛ばして、パタピッ を印刷して紙面でデザインを展開してください。)
製図の引き方を頼りに、手書きで引いて思うようにでき上がらず 生地を台無しにしてしまった経験はありませんか。
最も難しいのは、着用者の身体にバランス良く合った正しい基本製図を引くこと です。この基本をパタピッ に任せるだけでも多くの失敗は確実に回避できます。
どうぞステキな生地でステキな服を作って楽しんでください。
