The days of pat woodworking

気持ち良く使い続けられる家具を目指して

色々試す。

2020-01-31 22:10:34 | Weblog


昨年の夏の初めに作った試作のスツール。
座面の成型合板とレザーを面一で仕上げた。

日常で使いながら、蒸し暑い部屋に放置したり、ある程度の時間直射日光にさらしてみたり、寒くなってからはストーブの前に置いて極端に乾燥した状態にしてみたり。
木と革だから収縮率が違うので剥離したり、段差が出てしまうかも、と思っていたが問題なさそう。

何とか商品化出来そうでほっと一安心。

悲しくも嬉しかったコト。

2020-01-10 23:07:30 | Weblog
ネットで海外のニュースを見ているとオーストラリアでの山火事の情報が出ていた。
昨年の夏の終わり頃から。
オーストラリアでは春から夏にかけての乾燥する時期にブッシュファイヤと呼ばれる森林火災が大なり小なり毎年起きる。
今シーズンのブッシュファイヤでの被害は大きいようで、12月になると映像とともによくニュースを目にするようになった。
高木が燃えるのは理解できても、短い丈しかない牧草地を大地を舐めるように火が這い回る様子は、湿潤な気候の日本ではちょっと考えられない。
12月の20日をこえた頃になると火事のニュースの中に「Kangaroo Island」という言葉が入るようになった。

カンガルー島はぼくにとってとても思い出深い場所。
羊と養蜂をしている農場で働かせてもらったことで「ヒトという生き物としてきちんと生きていくには技術が必要で、ちゃんとした技術を持つには知識が必要」だということを明確に教えてくれた大切な場所。
その時には掴みきれず、後々理解出来たことだけど「知識と技術の上に優しさを持つことができれば人として成熟していける」ということも教えてくれていた。
それは言葉だけではなく、態度と行動によって伝えられた。
10代だったぼくはまだイキがることしか知らず、己のあまりの不甲斐なさに愕然としたことをよく覚えている。
「このままでは絶対にアカン」と気づかせてくれたことに本当に感謝している。
島は環境も素晴らしく、カンガルー、ワラビー、コアラはもちろんのこと、ハリモグラや猛禽や大きな爬虫類、海に行けばイルカやクジラにアザラシ、ペンギンなどなどホントに多様。
毒ヘビに毒グモ、サソリなんかのちょっとおっかない連中もいたりする。
星空は圧巻。
カンガルー島を超える夜空をまだ体験したことがない。

そんなカンガルー島の人たちに何も起こらないようにと願いながら、年末年始、オーストラリアのニュース番組を流しながら仕事をしていた。
そして数日前、お昼を食べながらブッシュファイヤの映像を見ていると画面から知っている声が聞こえてきた。
それは、働いていたDavis farmの人たちの声で。

ボスだったピーターと息子のブレントンとベンは農場と家を守る選択をした結果、吹き荒れる火の中に閉じ込められてしまっている。
映像はブレントンが撮っている。

Escaping a Fire Storm on Kangaroo Island
クリックすると映像が見れます。

もう一つブレントンが撮った映像があったのでこちらもリンクしておきます。
Fire Twister on Kangaroo Island

大好きな人たちが沢山の物を失ってしまい、心が底の方から痛い。
彼らは今、ある種の絶望感や不安の中にいるはず。
自然の仕打ちに腹を立ててもいると思う。

でも、ぼくは知っている。
彼らはすぐに顔を上げ、今回のことを学びとジョークの糧とすることを。
そして、今までよりも自然と人間の歩調が合うトコロを見つけようとするだろうことを。
きっと今までよりもいい場所を見つけてくれるだろうと信じている。
彼らはブッシュの中で生きる生半可でない強いオージーなのだから。
ちなみにピーターの奥さんのルイーズも優しく強いオーストラリアンウーマンである。

そんな中、つい先程、こんな新聞の記事を見つけた。
DAILY MAILの記事

少し安心して、優しいいつもの顔のピーター。
まだ大分と怒っているベン。
わざと歯を見せるブレントン。

しかし、死が間近に迫った直後に「よし、記念に撮っておこう!」となったもんだ。
それはとっても彼ららしい気もするけれど。
3人の個性が良くでているいい写真。
顔の火傷がちょっと痛々しいけれど、予想していた通りの強い彼らが見れて心から安心した。

この事を知った時、気候変動に伴うことなので、色んな人に一緒に考えて欲しいと思いつつも、この出来事を書こうと思うと物語調の不幸自慢になってしまいそうで、書きようがないなと諦めていた。
でも、この記事の写真を見たらなんだか元気をもらえたので、ここでいくらかテキトーな雰囲気を交えて書いてもいいような気がした。
きっと彼らも許してくれるだろ。

Kangaroo Islandはホントに美しく学びの多い島です。
ピーターは僕がお世話になった頃は羊も養蜂もやっていたけど、今は蜂蜜専門でやっています。
とっても美味しい蜂蜜なので、オーストラリアに訪ねる際は是非探してみてください。
Island beehive

ブレントンは現在、観光業をやっています。
Kangaroo Island Outdoor Action
様々な動物や植物を紹介してくれると思います。
Naotoの紹介だというと、標準よりも手荒なツアーを組んでくれると思います。
オーストラリアに行ってみたいと思っている方、もう一度訪れてみたいと思っている方は是非カンガルー島に訪れてみてください。
島は広範囲にわたって燃えてしまったので、景色は一変していると思います。
しかし、そこにはこれからの在り方について教えてくれることが沢山あるはずです。

これから、沢山大変な事が待ってるだろうけど、三人三様の個性で、どうか乗り切ってください。
ぼくにも出来る事があるはずなのでしっかり探してみます。
まだしばらく乾燥した気候が続く。
今日も東海岸の方で新たに火が出たと報道されていた。
厳しい状況ではあるが、なんとか乗り切って欲しい。

最後に。
無茶するなと言ってもまじめに聞いてくれないだろうけど、ほどほどに。
生きていてくれて本当に本当に嬉しい。
ありがとう。
また会える日を楽しみにしている。