チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「雨の朝パリに死す(Babylon Revisited)/原作=スコット・フィッツジェラルド」

2010年12月21日 00時49分07秒 | 事実は小説より日記なりや?
映画のこの邦題はなんとも凄いの一言に尽きる。
原作は、Scott Fitzgerald(スコット・フィッツジェラルド、1896-1940)が
1930年に書いた短編小説、
"Babylon Revisited(ババロン・リヴィズィティド=再び訪れるバビロン)"
である。バビロンとは過去の栄華と退廃の町の象徴、つまり、
"当時"のパリである。
放蕩三昧の生活をパリで送ってた主人公チャーリー夫妻である。ある夜、
チャーリーは夫婦喧嘩した妻ヘレンを置いて一人先に家に帰る。
ヘレンも1時間後に帰ってきたが、酔いつぶれてたチャーリーは、
家の鍵を掛けて寝てしまってた。
閉め出されてしまったヘレンは雪(雨ではない)が降りしきるパリの街を
凍えながら彷徨い歩き、姉の家にたどり着く。が、
体力を失して肺炎を起こしてしまう。
このときは回復し、チャーリーとも仲直りするのだが、まもなく、
ヘレンは心臓発作で死んでしまう。亡き妻との間に生まれてた娘を
ヘレンの姉夫婦に預けて、チャーリーはパリを離れる。
そして、3年が経った。
再びパリを訪れたチャーリーは、娘に会う。そして、
娘を引き取る決心をする。が、
結局、過去の過ちが再び禍して娘を手放してもらえなくなる。
傷心のチャーリーはまたパリを離れる決意をする。
そして、こう思うのだった。
また、ここに来よう。
罪を償わなければならない日々はいつまでも続くわけではない。
ヘレンだって俺がこんなに惨めな思いをしてることを
望みはしないだろう、と。

このように、
本来は第1次世界大戦のときの話だったものを
第2次大戦時に置き換えて、
リズ・テイラー主演で1954年に映画化されたときの原題は、
"The Last Time I Saw Paris"
「雨の朝パリに死す」
のホウガ客入りはいいに決まってる。ちなみに、映画では
ジェイムズ・ボンドがテニス・プレイアーとしてパリを諜報活動してた(※)。
ちなみに、
フィッツジェラルドはこの自作を地でいくように"過去"の作家に落ちぶれ、
ハリウッドで映画の台本まで書くようになったのち、
1940年の年の瀬に2度心臓発作を起こした。
12月21日の朝、チョコスナックを食べたあと、
ヘレン同様に激しい発作を起こして死んだ。
44歳だった。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「名曲探偵『白鳥の湖』篇/藤... | トップ | 「護国寺と音羽ゆりかご会/み... »

コメントを投稿

事実は小説より日記なりや?」カテゴリの最新記事